自分自身に対する責任を持つことで人は自由になれる
私たちには自分自身への責任があります。いついかなる時にも、自らの行動や決断の結果をきちんと受け入れねばなりません。何をすべきで何をすべきでないのかを教えてくれるのは、自身の頭脳と心のみです。つまり、人は自分の運命を自分で組み立てることのできる自由な個人なのです。
ヴィクトール・フランクルは、責任という感覚なしに自由を考えることなどできないと述べました。明白な事実のように思えますが、多くの人がこのことを考慮できていません。自分のことを成熟した、設定した目標に確実にたどり着ける能力の持ち主だと考えている人はたくさんいます。
しかし、こういった人は嫌な経験や失敗、苦しみなどをいつも他人のせいにするのです。信じるか信じないかは自由ですが、そういった態度が招く結果は不幸なものであることが多々あります。中には、例えば「私が不安定で恐怖心を抱いているのは権威主義的な保護者に育てられたことが原因だ」と主張する人もいるでしょう。それでもやはり、前に進むためには成長の妨げとなっている(と自分自身が思っている)物事に向き合う必要があるということを理解していないように思えます。そして代わりにただそれらを障害としてしか認識していないのです。
誰にでも少なくとも一度は、自分に責任があることについて他人を責めてしまった経験があることでしょう。心理療法士のアルバート・エリスは「人の人生で最も素晴らしい日々というのは、自らの抱える問題が自分自身のものであると判断できている日々なのだ」と述べています。繰り返しになりますが、私たちには自分自身に対する責任があり、これに気づくことで自らの運命をコントロールできるようになるのです。
自分自身への責任を認識できれば、変化に向けて前進できる
責任感というのは非常に有益な心理スキルです。毎日責任感を持って暮らしている人々は強い安心感を持てていますし、自らの生活に対して真剣です。懸命に自身のミスを見つけ出して改善し、全ての過ちを学びの機会に変えて個人的に成長していくことができるのです。
教育を受けたおかげで、あるいは自身のパーソナリティにもともと備わっていたおかげで責任を持つことの大切さを理解できている人はたくさんいます。しかし、シンプルにそれを生活の中でどう実践すべきかが分かっていない人が多いのです。この点については、セラピーの中でかなり重点的に対処していく必要があります。
ただ、それほど簡単に実現できるわけではありません。患者に、自分の生活の中で最も重要なのは自分自身なのだと分からせることは難しいのです。
「私なんかにできるのでしょうか?」と疑問に思うかもしれません。「私の上司は私に対する要求がとても多いし、義理の父親からはストレスを与えられるし、友達はナルシシストだし、十代の息子はお金をせびる以外に何もしてくれない」などと不平を言う患者もいるでしょう。この例からお分りいただけるように、外部要因にばかり目を向けて、それらに自身の罪悪感や不幸を投影させてしまうのはいとも容易いことなのです。
では、こういったあらゆる葛藤に対処するにはどうすれば良いのでしょうか?
私たちには、自分自身や自分の身に降りかかることへの責任がある
「責任」を意味する英語、“responsibility”はラテン語の“responsum”に由来します。このラテン語の言葉には「何か、あるいは誰かに対応すること」という意味があります。また、心理学的立場から考えても、責任を持つという力は積極的に行動を起こそうとする姿勢に関連しているのです。
したがって、自分自身への責任を持つということはつまり、ウェルビーイングや個人的な満足感の獲得に繋がるような意志決定の仕方を学ぶということなのです。さらに、自らの行動がもたらした結果を受け入れ、身の回りで起きたことに対して他者を責めることなく対応する方法を知ることでもあります。
また、自身の問題を他人に解決してもらうのを待つようなこともしてはなりません。そのため、心理療法において絶対的に重要な目的は、患者に自分を変えるための積極的な取り組みをさせること、自分自身に対して責任を持たせること、そして恐怖を感じずに行動する方法を学ばせること、の三つとなります。複雑なプロセスではありますが、これらが実現するよう奮闘することで驚くほど素晴らしい自由な感覚を手に入れることができます。
個人的な責任感を持てば、望み通りの人生を創り上げることができる
アブラハム・マズローは、責任という感覚は人間の欲求ピラミッドの中でも重要な側面であると述べました。事実彼は、個人的な責任感を上手く発達させることにより目標を達成できるようになり、それが自己実現(ありのままの自分や所有物、そしてこれまで成し遂げてきたことを肯定できる、ピラミッドの頂点に当たる状態)に繋がる、という考え方を確立しています。
この頂点にたどり着くためには、以下のような点を心に留めておかねばなりません。
- あなたには、望んだ通りの人生を生きる自由があります。しかしそれを実現するためには全ての素質やエネルギー、そして希望を自分自身に集中させる必要があります。他の誰にも、あなたが何かをするのを手伝う義務などありません。その唯一の責任はあなた自身のものなのです。
- 日々の目標を設定し、その達成を目指して取り組みましょう。あなたには、自分自身のウェルビーイングや愛する誰かの幸せのために努力する力があるということを毎日証明し続ける必要があるのです。
- 何かに煩わされてしまい、そのことについてばかり考えてしまうのであれば解決策を見つけましょう。できる限り早く対策してください。先延ばしにしたり、他の誰かに助けてもらおうとしたりはしないでください。
- どんな時でも、どんな状況下でも自分や他人に対して正直になりましょう。
- 自らの過ちを認め、そこから学んでください。
- より良い自分になり、自律性を高めるために日々努力しましょう。恐れているものに向き合う勇気を持ち、自分を守るためにアサーティブになり、他人から何かを学ぶ謙虚さを身につけ、自分や周囲の人を尊重してください。もし他人が自分の思い通りに行動してくれなかったとしても、です。
まとめると、自分には自分自身に対する責任があるのだと気づくことは非常に重要で、積極的な取り組みが求められます。しかし一度それに気づいてしまえば、気軽に実行できるようになるでしょう!
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- Maslow A. (1966) El hombre autorrealizado. Kairós