自分を大切にしよう:セルフ・コンパッションで幸せに
セルフ・コンパッションという概念には、様々な解釈法がありますが、心理学ではこれは自分自身に対してあまり批判的にならずに許容してあげられる能力を指します。これにより、自分の置かれた状況をより現実的に捉えることが可能になります。
セルフ・コンパッションとは、自分自身を思いやりを持って扱い、過ちを批判したり断罪することなく優しく己に向き合うことを意味します。こうすることで、自分が行うことあるいは行わないこと全てにおける成功や失敗について心配しすぎることなくモチベーションを維持できるようになります。
したがってセルフ・コンパッションは心の知能指数というスコープの中にある、内省的で成長に繋がる能力を象徴しているということです。この能力により自分自身について知るためのスペースを開き、自分の身に起こること全てを気にかけられるようになります。視線を自分の内側に向けられるようになるのです。
望んだものを手に入れたり、自分自身に課した期待値に達成するのが常に可能というわけではありません。そのため結果的に自らの現実を受け入れることができない場合、ストレスや不満、そして自己批判に苦しむことになってしまう恐れがあります。
一方でその現実をシンプルに人間らしさの一部として受け入れることができれば、思いやりなどのポジティブな感情を感じることができ、これが色々なシチュエーションを乗り越えていくための糧になるのです。
自分自身への思いやりが足りない
自分自身への思いやりを持てていないと、以下のような経験をするかもしれません。
- 怒りや、孤立してしまった自分と向き合う困難さ。
- 無責任さ、つまり自分の苦しみを他人のせいにしてしまうこと。人生を白黒の世界として捉えていると、自分にそれを変える能力があるという事実を受け入れづらくなります。その変化を起こせるかどうかは自分次第です。
- 軽蔑は、それを表現するための言語や非言語表現に伴う無力感や傷つきやすさの感情です。
- 絶望感により、一瞬一瞬を楽しんだり、今後何か良いことが起こるだろうと信じるのが難しくなります。
- 途方にくれたり、人生の意味を見出せなくなると生きる目的を失ってしまいます。
セルフ・コンパッションが欠如していると、どんな経験からも何かしら良い学びを得られることを思い出したり、それが将来似たような事象に遭遇した時の手助けになるという事実を認識することが困難になります。
コンパッションとセルフ・コンパッション
コンパッション(同情、思いやり)は他の誰かが苦しんでいることを感じとった時に湧いてくる感情です。これは、その経験を批評することのない、開放的な考え方から生まれます。ただ他人の苦しみを感じ取るのに加えて、その痛みを和らげようと率先して取り組むことでもあります。
コンパッションとは、苦痛を抱える人々に優しさを届ける能力であり、自分の助けを必要としている人に手を差し伸べることなのです。たとえそれが彼らの過ちや弱さに巻き込まれることを意味していたとしてもです。
セルフ・コンパッションとはそれと同じような態度や優しさを自分自身に向けて持つということなのです。以下は、これについてより良く理解するのに役立つ具体的な概念です。
- 親切心。これは自分には適性がなく、無能でアサーティブネスがない、と感じた時に自分自身を理解して思いやってあげる能力です。
- 人間性。これは、苦痛を感じている時に、自分と同じ境遇の人々もいると知ることで孤立を避けるという意味です。つまりそういった過ちや不完全さや痛みは人間としての経験の一部であることを理解する、ということです。
- 注意力。これは自らの経験を批評することなく客観的に、かつ開放的に観察する能力のことです。つまり痛みを否定したり抑えようとするのではなく、また痛みだけを自分の特徴だと捉えるのではなく自らの感情をバランスよく知覚し続けるということです。
- セルフ・コンパッションはレジリエンスと強力に結びついています。これはトラウマを乗り越え、それまでよりも強い自分になる力です。これにより冷静になる能力を高め、自らの過ちを認識し、それらから学びを得ることができます。
セルフ・コンパッションは情動的幸福感や楽観主義、人生の満足度、自主性、知恵などとも関連しており、不安やストレスや恥といった感情を抑えるのにも役立ちます。
セルフ・コンパッションがもたらす効能
自らに持つ期待が大きすぎたり、批判を自己に向けたりしていると、物事が自分の思い通りに進まない時の不快さがより強力なものになってしまいます。これは自分自身に課す完璧主義がフラストレーションや無能さといった感情を増強するためです。
物事が望んだ方向に行かない場合には、セルフ・コンパッションを持つことによって、自分自身とのバランスのとれた向き合い方を見つけることができるでしょう。心の声に耳を傾けたり、罪悪感や批判を脇に捨て去ることでこれを実現できます。
セルフコンパッションは、苦しんでいる時や自分は失敗してしまったと感じる時に批判ではなく自らを労わる方法を学ばせてくれるので、それにより自分を敬う気持ちや思いやる気持ちが向上します。
高いセルフ・コンパッションを有している人々は、自らの問題と向き合うのが上手く、自分は孤立していると感じることがあまりありません。また、不安は減少し、自分が困難な状況にあることに気づき安くなります。
セルフ・コンパッションにより情動調整力を鍛えられる上、ネガティブな思考をコントロールすることも可能になります。そしてポジティブな情動が増加し、社会との繋がりや人生への満足感といった感情を確立しやすくなります。
こうすることでクリアな考え方やより柔軟な認知を維持し、変化に適応する力をより強めることが可能です。