快ストレス:ポジティブなストレスがもたらす10の効能

ストレスには少々悪名高い存在で、常に共存しなければならないものであるにも関わらず人からは嫌われがちです。しかしあなたはこれまでに、日々の試練に全く対処しなくてよかったとしたらどんな感じだろう、と考えてみたことはありますか? 実は、生活の中にポジティブなストレスが存在しないと、まさにその通りのことが起きるのです。
快ストレス:ポジティブなストレスがもたらす10の効能
Sara Clemente

によって書かれ、確認されています。 心理学者とジャーナリスト Sara Clemente.

最後の更新: 21 12月, 2022

多くの人にとってストレスは生活の一部になっています。そしてそのネガティブ版である不快ストレスと呼ばれるものは、人体に有害な影響を及ぼすという特徴があります。しかし、それとはまるっきり異なる、私たちに有益な種類のストレスも存在するのです。今回はそのポジティブなストレス、「快ストレス」から得られる効能を10個紹介します。

快ストレス、あるいは「良いストレス」という用語はハンス・セリエによって生み出されました。快ストレスは、ポジティブな人間発達の一大要因であると考えられています。この点が、苦痛や不調を引き起こしがちなもう片方の種類のストレスとの違いです。

モチベーションやコーピングにおける快ストレス

快ストレスという心理学的概念は、コーピング能力を向上させる上で非常に役立ちます。実は、快ストレスのおかげであらゆる種類の試練に対しもっと力強い気持ちで挑むことができるのです。ここでいう試練とは、ありふれた一般的な問題かもしれませんし、対処するのに苦労してしまうようなもっと厄介な日々訪れる状況かもしれません。もしくはそれ以外の、住環境内で折に触れて遭遇しがちな困難の場合もあるでしょう。

ストレスに対して力強い気持ちで対処できる状態というのは、やる気を大いに引き出してくれます。支えられていると感じることは、人生のあらゆる側面に好影響を及ぼすのです。

快ストレス ポジティブなストレス 効能

順行性、生産性、創造性

快ストレスが非常に有益な領域の一つは仕事ですが、これは、このストレスのおかげでどんな種類の試練に対しても順行的に対処できるようになるからです。このポジティブなストレスのメリットには、エンパワーメントスキルに加えて創造性をも高めるというものが含まれます。また、順行性や生産性も向上させてくれます。これはつまり、快ストレスによって変化に向けてのギアが入るということです。さらには、視野が広がって以前までは見落としていたような事柄を考慮に入れることもできるようになるかもしれません。快ストレスは不快ストレスとは異なり、人を突き動かしてくれるのです。また、不快ストレスのように人に害を与えることもありません。

快ストレスとリスクが制御されているアクティビティ

快ストレスは、リスクが制御されている状況において人の反応を引き出します。リスクが制御されている状況には例えば、バンジージャンプや急流下り、雄牛との並走、遊園地の絶叫マシン、パラシュートジャンプなどが含まれます。こういった類のアクティビティにワクワクを感じる友人や知人があなたにもいるはずです。

しかし、そういった人々であっても、上記のようなアクティビティに挑む前にはかなりの不安を感じている場合が多いでしょう。実は、このスリル感覚には心拍数の上昇、ふるえ、あるいは息の詰まりそうな感覚といった典型的な不安症状が付随することがあります。しかし、いざそのアクティビティが始まると、こういった感覚は消え失せてしまうのです。

別の例として、今まさに誰かがパラシュートジャンプに挑戦しようとしている瞬間について考えてみましょう。その人物は本物の不安感を感じている場合が多いはずです。しかし、飛行機から飛び降りた瞬間にその不安は減退し始め、下降していくにつれてさらに消えていきます。

快ストレスと、安心感や情緒の安定性

快ストレスによるもう一つの効能は、心の中の統制の所在が改善されるという点です。これはつまり、自分の行なっていることが自らの生活に直接的な影響を及ぼしていると感じられるようになることを意味します。さらに、自分自身を制御できているという感覚も持てるようになります。これは、自分がそれほど弱々しくて無力だとは感じなくなるという意味です。

このように所在の統制が改善されることは、情緒の安定性の高まりにも繋がります。 快ストレスは永遠に存在するものではなく、特定の場面でしか生じません。つまり、心の健康が危険に晒されることがないため、情緒が不安定だと感じることが減るということです。

快ストレスと、エネルギーやバイタリティ

快ストレスのもう一つのメリットは、人が自身のコンフォートゾーンから抜け出した瞬間に生じるものである点です。コンフォートゾーンとは、安心や安全を感じられる場所のことを言います。つまり、新たな試練に遭遇すると、このポジティブなストレスが人に反応を促すのです。警戒状態に保ってくれるという言い方もできるでしょう。さらに、反射神経のスピードも加速させてくれます。

快ストレスはエネルギーやバイタリティを与えてくれるので、もっと身体的アクティビティを行いたいという気持ちになる可能性が高いです。そうすることで、今持て余しているエネルギー全てを発散させることができます。また、快ストレスは幸せホルモンとしても知られるドーパミンの生成にも関わっています。

快ストレス ポジティブなストレス 効能

低活性レベルは自分のためにならない

覚えておいていただきたいのですが、ストレス値がゼロという状態はオススメできません。ストレスとは適応のための仕組みですし、特定の状況でストレスに頼ることがなくなると、完全なる行き詰まり状態に陥ってしまうだけだからです。また、警戒モードが活性化されることがなくなると、創造性も減退していく恐れがあります。つまり、退屈を感じることが増え、次第に自身に負担がかかるようになっていくということです。

これで快ストレスの効能をお分かりいただけたと思いますので、このストレスを生活の中で作動させる戦略をいくつか実践してみてはいかがでしょうか。例えば、深く意識的な呼吸やスポーツを実践しながら、ネガティブな思考に対処したり視野を広げたりしてみてください。


引用された全ての情報源は、品質、信頼性、時代性、および妥当性を確保するために、私たちのチームによって綿密に審査されました。この記事の参考文献は、学術的または科学的に正確で信頼性があると考えられています。


  • Gibbons C, Dempster M, Moutray M. Stress and eustress in nursing students. Adv Nurs. 2008; 61 (3): 282–290.

  • Gutiérrez García (1997): La promoción del eustrés. Psicologia.COM [On Line], 1 (2), 38 párrafos. Disponible en: http://www.psiquiatria.com/psicologia/vol2num1/art_3.htm [1 Febrero 1998]


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。