過剰なトレーニングは人を衝動的にさせてしまう

運動は、私たちが取り入れることのできる習慣の中でも最も健康的なものの1つです。しかし、運動に熱中しすぎて、運動が持つネガティブな側面があることを考えもしないまま、限界まで自らの身体を酷使してしまうことがあります。今日はそれらについてお話ししていき、過剰なトレーニングがどのように人を衝動的にさせてしまうのかを説明していきます。
過剰なトレーニングは人を衝動的にさせてしまう
María Vélez

によって書かれ、確認されています。 心理学者 María Vélez.

最後の更新: 21 12月, 2022

運動は、身体にも心にもたくさんの利益をもたらします。フィットネスレベルを向上させて筋肉を強化し、肌の調子を整えてくれます。さらに、心臓血管系や認知能力にまでも効能があります。しかし、過剰なトレーニングを行うことで人は衝動的になってしまい、ネガティブな結果がもたらされる可能性もあるのです。

合間にほとんど休憩を挟まずに過剰なトレーニングを行うと、たくさんの問題が生じる危険性があります。1つには、運動が中毒状態になってしまうことが挙げられます。そのほかのよくある疾患は、身体醜形障害や走ることへの依存状態です。また、筋肉の損傷や心臓・呼吸器系の問題、免疫系の悪化、関節の老化、そしてオーバートレーニング症候群などにも繋がってしまう恐れもあります。

過剰なトレーニング 衝動的

過剰なトレーニングは人を衝動的にさせる– 症候群

時に、スポーツのトレーニングは少し行き過ぎてしまい、オーバートレーニング症候群やステイルネス症候群に発展してしまうことがあります。この症候群は仕事での燃え尽き症候群と似ており、休息を取っている時であってもアスリートのパフォーマンスがグンと低下してしまいます。そして、一連の身体的・精神的症状を伴って発現します。

症状を確認することで、身体的なオーバートレーニングなのか精神的なものなのかを区別することができます:

身体的なオーバートレーニング

この症候群によって現れる身体的・生理的な症状:

  • 血圧や心拍数の上昇
  • 高体温
  • 高血圧
  • 体重の減少や食欲の減退
  • 胃腸疾患
  • 筋肉の痛み
  • 感染症への脆弱性、防御機能の低下
  • コルチゾールの増加
  • 脂肪酸の増加
  • 鉄分、ヘモグロビン、グリコーゲンの減少
  • 精神的なオーバートレーニング症候群

さらに、以下のような心理的症状も起こり得ます:

加えて、最近の研究で、過度なトレーニングは衝動性の増長に繋がることも明らかになっています。これがこの特性にシンプルに影響するというわけではありませんが、行動や健康面に非常にネガティブな結果をもたらす恐れがあるのです。

衝動性とは、内部刺激あるいは外部刺激が与えられた際、素早く、不意に、そして過度に行動してしまう事態を引き起こすような特性です。したがって、衝動性のある人物は考えたり結果を考慮することなく行動してしまいます。

過剰なトレーニングに関する調査

去年の9月、フランスの研究チームが過剰なトレーニングが衝動性にもたらす影響、特にオーバートレーニングが認知コントロールに与える影響についての調査結果を発表しました。

この研究のために、チームは38人のトライアスロン選手を集め、彼らを2つのグループ:トレーニングを増やすグループと制御するグループに分けました。したがって、選手のうち19人が3週間にわたって一度の練習でのトレーニング時間を40パーセント増やし、もう一方の19人は同期間に、通常通りのトレーニングを行いました。

トレーニング(通常通りのもの、あるいは強度を増したもの)の試験期間が終わると、参加者たちは次の評価セッションに移ります。研究者たちはこのセッションを以下のように区分けしました:

  • アスリートたちはfMRIのなかで50分間、3つの意思決定タスクが点在する認知コントロールタスクを行います。ここでは、彼らは目先の報酬か長期的な報酬、どちらかの経済的報酬を選ばなくてはなりません。
  • 過剰なトレーニング状態を引き起こすための、45分間に及ぶ自転車走行セッション。ここで、疲労の兆候を見つけます。
  • 50分間、再度1つ目のものと同じ認知タスクと意思決定を行います。

このようにして、研究者たちは大脳皮質の興奮度合いや、特定のタスクでのパフォーマンス、そして即座の報酬と後々の報酬のどちらを選ぶか、などを観察しました。

研究者たちが発見したこととは?

研究者たちが関心を抱いたのは、衝動性に関わる大脳皮質の活動と、一時的な意思決定タスクの結果でした。認知タスクは主にこの脳の領域を活性化させるために含まれました。

45分間の急性運動での脳の活動とセッションの第一パートでの脳の活動とを比べると、意思決定の間、前頭前皮質の活動が減少していることがわかりました。これは、認知パフォーマンスタスクの間は減少していませんでした。

これはつまり、過剰なトレーニングは潜在能力を使い切り隠してしまうので、主観的な意思決定タスクに悪影響を与えるということです。

また、オーバートレーニングを行なった後のトライアスロン選手たちは、より少ない額の報酬を選ぶことが格段に多いことも分かりました。これは、事前に行われた制御グループの同じタスクでの結果や、トレーニング前の彼ら自身の結果と比較したものです。

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過剰なトレーニングが人を衝動的にさせる– 健康への影響

これらの結果には、あらゆる意味で関連性がありました:

  • 一方では、衝動性に対する認知コントロールはタスクを方向付けられた意識的な形で実行するのに役立ちます。スポーツにおいては、認知コントロールが欠如していることで、安全性への感覚が大きくなり、身体にその限界を超えさせることができるようになります。したがって、必要な時に止まらないあるいは休息を取らないこと、またはより早く手に入る報酬に重きを置くことは、選手たちをより危険な行動に導き、怪我のリスクを増やすことにつながります。
  • 他方では、目先の満足感の方を好むのはドーピングと類似しています。これは有機体を傷つけ、長期的な目標を諦めさせるような恍惚状態なのです。そのため、その人物の身体的・そして精神的健康状態に直接影響します。

まとめると、ほとんどの活動で、オーバートレーニングによって蓄積された疲労は短期的にも長期的にもネガティブな影響をもたらしかねないということになります。したがって、適切な決断を下す方法を学び、自らの肉体を酷使したり精神的にも限界を超えないようにすべきだということを知るという健全な習慣を身に付けることが重要です。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。