心の距離:関係が冷めるとき
二人の関係が終わろうとする時、態度が悪くなる人がいます。心の距離を感じ、何も言わずに去る人がいます。関係が終わろうとしているサインを認めなかったり、言い訳をする人もいます。
二人の関係は、骨と同じように壊れることがります。しかし、大抵の別れは一晩で起きるものではありません。普通は、二人が別れを決めるに至るまで、少しずつ、しかし確実に、二人の心の距離が開いていきます。最初のサインは、二人が一緒だという感覚が無くなる、一緒に笑わなくなる、お互いの目を見なくなるといった場合が多いでしょう。
心の距離は痛みを伴います。ひとりが関係に望みをもち続けている時は、尚、辛いものです。しかし、もう一方が苦しまないということを意味するわけでもありません。もう一方は後悔したり、罪悪感を感じることが多いようです。どちらにしろ、はっきりしていることがひとつあります。それは、私達は、関係を終わらせることが得意ではないということです。
もし、関係をうまく終わらせることができれば、新たなステージに進むことがより簡単になります。しかし、うまくいかない、特にゴースティング(相手が突然、何も言わずにいなくなること)の場合、その反対になってしまいます。実は、このような体験に対処するためのツールが私達にはあるのです。
「私はとても孤独で、自分と自分の衣の間にも距離を感じる。」
-フェルディナンド・ペソア-
何が起こったかを理解する
失望、興味の喪失、ニーズの変化、観点の変化などにより、関係は弱くなります。炎が消えてしまうと、何かが失われたようになります。次に何をして良いか、何が起こったのか、誰が悪いのか分かりません。
これに関し、ケンブリッジ大学のシャーリーン・ベルーとブレンダ・H・リーが研究を行いました。そこで、人が関係を去ることほど複雑なものはほとんどない、と言うことが分かりました。私達が前へ進むことができるようになるためには、物事がうまくいかなかった理由をしっかり知る必要があることがよくあるのだ、ということがこの調査で示されました。
別れに明らかな理由がないと、人はまた一緒になろうとする傾向があります。これにより、全プロセスがより難しくなります。尊厳や誠実さをもって新たなステージを始めるプロセスが複雑になります。また、この研究では、関係が終わりに向かっていることに気づき始めた時、態度が悪くなる傾向にあると示されました。
関係を終わらせる誤った方法
初めにも言ったように、最悪の別れ方は、跡を残さず消えることです。現代、友情であっても恋愛関係であっても、ゴースティングは一般的になっています。
- あなたじゃなくて、自分だ:ジョークにもなるような有名な言い訳です。相手を責任から「解放」するために言います。「あなたにはもっとふさわしい相手がいる」「私は、どうしていいか分からず、あなたの必要としているものを満たしていない」などと言います。これは、あるシンプルな真実を隠すために言っているのです。それは、厳しく聞こえるかもしれませんが(嘘をつくのもそのためなのだが)、相手をもう愛してはいないのです。
- 壊れた氷山:氷山ストラテジーも一般的です。何も行動を起こさず、関係をただ凍結させるものです。サインを無視し、氷の塊が勝手に沈むまで待ちます。
心の距離:難しいクロスワード
関係が冷めたからといって、絶対に終わりが避けられないことを意味するのではありません。心の距離により、しばらく道をはずれるかもしれませんが、必ずしも関係が終わりに向かっているとは限らないと頭に入れておくことは重要です。問題に対処するための正しいツールをもっていれば、その関係に暖かさと輝きを取り戻すことができます。
心理学者はいつも不安障害やうつ病の治療をしています。これらの状態は、人の関係の質に直接的に影響します。重いストレスやうつを抱えている時、人との付き合いを楽しむモチベーションやエネルギーがあまりない傾向にあります。
関係が冷めている、または、感情的に相手と離れていると感じる時は、それに対し何かしましょう。どんな関係も、困難なステージがあり注意を必要とします。関係を育みたければ、えさを与え、水を与えなければなりません。衝突や問題は、関係を進化させ、より強いものへと成長させます。
関係を生き返らせたい場合も、終わらせたい場合も、どちらにしろ、あなたが感情的に有能になる必要があります。残念なことに、これは学校で教わることではありません。あなたが日々訓練すべきものです。敏感さ、尊敬、品格をそなえ、人と関わることにより、感情的有能さが高まります。
最後に、それが恋愛関係であっても友情であっても、あらゆる関係が尊ばれるべきです。誠実さや尊敬をもって手放すことも、人間性を大きく語ります。
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- Belu, C. F., Lee, B. H., & O’Sullivan, L. F. (2016). It hurts to let you go: Characteristics of romantic relationships, breakups and the aftermath among emerging adults. Journal of Relationships Research, 7 doi:10.1017/jrr.2016.11