甲状腺異常があるときに体に起こること
甲状腺ホルモンのちょっとした増加や減少で、人のふるまいは大きく変わります。あなたの優先順位、性生活、食欲、姿勢などに影響を及ぼします。甲状腺とムードの関係はとっても親密なのです。
どんぐりぐらいのサイズで、蝶のような形の甲状腺は、人間の体で最も重要なパーツのひとつです。そして、甲状腺に関係した問題があると、肉体的・感情的障害が発生する可能性が高まります。
記事を読み進めて、甲状腺とムードの親密な関係について学びましょう。
甲状腺の機能と機能障害
甲状腺は、代謝を制限する役割を担う腺です。基本的な機能を行うために必要なエネルギーを供給する場所でもあります。
簡単に説明すると、どのくらい細胞が早くカロリーを燃やすか、どれくらい早く心臓が鼓動するかなどを決めるのが甲状腺の仕事です。首の前側の喉頭のすぐ下に位置し、3つのタイプのホルモンを分泌します。
そのホルモンのひとつが、血中のカルシウムのレベルを制御するカルシトニンです。 骨にこのミネラルを蓄積する能力で骨粗鬆症などの病気を治療することができます。
他の2つは、体温を上げる甲状腺ホルモン (T4)とトリヨードサイロニン (T3)です。T4は、血中の甲状腺ホルモンのメインです。T3は神経システムの成長と発展に影響し、心拍数を安定化させます。
最もよくある甲状腺の異常:
- 甲状腺機能低下症(甲状腺の働きが遅い):腺があまりアクティブでなく、ホルモンの分泌量が不十分なときです。
- 甲状腺機能亢進症 (甲状腺が活発すぎる): 腺が活発過ぎて、ホルモンの分泌量が極端に多くなります。
どちらの症状も腺の通常機能への変化から起こりますが、全く異なる影響を及ぼします。身体的にも心理的にもです。
甲状腺の病気の身体的症状
身体的な症状は、どちらの病気かによって異なります。この2つの病気では症状が全く正反対のこともあります。しかし、どちらにも共通することは、体の異なる臓器の刺激が不十分ということです。
甲状腺機能低下症の身体的症状
- 体重増加
- 寒い環境が我慢できない
- 生理不順
- 低心拍数
- 疲労感
- 便秘
- 乾燥肌
- 抜け毛やつめのヒビ
- 筋肉の痛み
甲状腺機能亢進症の身体的症状
- 上の空
- 体重減少
- 暑さに耐えられない
- 高い/不規則な心拍数
- 甲状腺腫
- 疲れまたは筋肉の弱まり
- 下痢、吐き気、嘔吐
- 不眠症
- 手の震え
甲状腺の問題のムードへの影響は?
すでにお話ししたように、甲状腺と感情的な状況の関係は密接です。ホルモンレベルの変化は、直接、物理的だけでなく認識的にも感情的にも影響を受けます。
このような理由から、心理的な症状とそれによって起こるムードへの影響はどちらも重要です。
事実、心理的な障害は、甲状腺機能低下症の患者が精神科医の診察を受けに来る主な理由です。全体的なメンタルプロセスがスローダウンしているため、主導性や興味の喪失を訴えます。
これによって、記憶障害、知能低下、集中力の低下(特に計算)が起こります。思考に大きな混乱ももたらします。甲状腺は、心理的な刺激にとても敏感なのです。
そのため、甲状腺機能が低下している患者の感情活動は、悲しみ、ノスタルジア、憂鬱で溢れています。
最悪の場合、適切に治療がされないと、この障害は痴呆に発展します。
一方で、甲状腺機能亢進症は、いらだち、緊張感、ハイパーアクティビティー、短気、突然のムードの変化などを起こします。不安、精神的動揺、感情的信頼性(泣きやすくなり、涙をコントロールできなくなります)、不眠症の可能性が高まります。
このような症状が治療されないと、妄想や幻覚を起こし、深刻な心臓、骨、筋肉、生殖器官の問題を発症するかもしれません。
鬱と甲状腺
興味深いことに、甲状腺機能低下症と甲状腺機能亢進症には共通のことが一つあります。明らかな鬱の症状です。
甲状腺の異常を鬱と混同しないように気を付けなくてはいけません。多くの人が鬱になりやすい傾向にあるだけです。明らかな鬱のサインがあっても、必ずしも実際の鬱状態であるとも限りません。
甲状腺機能低下症のケースでは、臨床的鬱状態のサインはもっと明らかです。ホルモンの生産と体の代謝が低下するため、脳内のセロトニン、ノルアドレナリン、γ-アミノ酪酸(GABA)のレベルも同様に低下するからです。
甲状腺機能の変動は、深刻な心理的障害と切っても切り離せないということをお分かりいただけたかと思います。それゆえに、誤った診断をしないよう気を付けなくてはいけません。鬱の治療を始める前に、甲状腺の動きもチェックしてください。
あなたの甲状腺とムードは密接に関係
甲状腺のレベルが上がったり下がったりすると、身体的・感情的不安定さが簡単に見られます。甲状腺障害が適切に治療されれば、心理的・精神疾患性の障害は改善し、なくなることすらあります。
甲状腺とムードの関係は、より明確な科学的事実になりつつあります。だから、予防と早い診断が重要です。
わたしたちの体が正常に機能していないことを知らせるたくさんのサインと症状があります。同じ事をしているときの急激な疲労感の変化やいらだちや不眠症などがその一例です。
少しでも疑ったら、専門家の診察を受けてください。簡単な血液検査だけでも甲状腺が機能しているかを知ることができるということを覚えていておいてください。
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