メンタルヘルスに欠かせない静寂と休息

体や心の休息、深い眠り、一人で過ごす時間…昨今、静寂と休息は、贅沢なものです。しかし、自分の健康を考えるのであれば、これに時間をとるべきでしょう。
メンタルヘルスに欠かせない静寂と休息
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

静寂と休息という2つの貴重な要素は、絶滅の危機にあります。スケジュールや自分の抱える仕事が許す時のみ自分に与える贅沢なご褒美になってしまっています。しかし実は、これはわがままとは程遠く、精神的健康のための基本的ニーズなのです。

有名なローマの詩人オウィディウス「休息のない人生はすぐに消失する」と言っています。疲労やストレス、過剰な刺激のある環境は、あなたの健康やクオリティオブライフを少しずつ削り落としていきます。

私達の多くが、いつも騒音のする環境にいます。車、会話、機械音、電車、飛行機、テレビ、さらに、いつも小さな音を出すパソコンがそばにあります。止まることのない騒音により過活動になり、気分が変化します。イライラし、疲れ、集中できなくなってしまうのです

非常に興味深いのは、人はこの現実に慣れていくということです。「こんなものだ」と自分に言い聞かせ、それを受けいれます。過活動で、速く、目まぐるしい世界で、静寂と休息は手の届かない贅沢品になっているのです

 

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静寂と休息は脳を元気にする

働き過ぎで死ぬことがあります。英語にはまだこれを表す言葉はありませんが、日本では過労死、中国では過勞死、韓国ではクァロと言われます。このように産業化が進んだ国では、人生のすべてにおいてビジネスや生産性が求められ、静寂や休息は単なる贅沢でさえありません。乏しくなるばかりです。

睡眠不足やストレスが直接死につながるのではありません。睡眠不足やストレスが自殺のリスクを高める原因となり、過労死という結果になります。疲れ、絶望し、死ぬしかないと考えるのです。西洋では少し異なります。

ヨーロッパやアメリカでは、自殺や働きすぎに関するデータはみられません。しかし、働きすぎと心臓病、うつ病、不安、ストレス、不眠症は繋がりがあります。クリーブランド・クリニックのチーフ・ウェルネス・オフィサー、マイケル・ローゼン氏などの専門家は「睡眠はもっとも過小評価されている健康習慣だ」と言います。

 

脳は平穏と静寂を必要とする

継続的な音は、健康や気分にネガティブな影響を与えるという研究結果があります。例えば、1975年、“Environment and Behavior Magazine”で発表された研究によると、マンハッタンの地下鉄の側の学校に通う子どもは、同じ年の子どもより1年近くの遅れがみられました。多くの子どもが都会の学校に行っていることを考えると、これは非常に恐ろしいことです。

外的騒音のみが脳に影響するのではありません。やむことのない声も健康にネガティブな影響を与えます。内なる対話のことです思考、心配、「○○しておけばよかった」「○○しなければよかった」など一日中、頭の中を駆け巡ります。この「音」も不健康で、気分に影響します。

静寂と休息は、現代生活の解毒剤です。それにより脳を調整し、真の自分と共鳴し、調和を取ることができます。

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睡眠、絶滅の危機にあるもうひとつの「贅沢」

酩酊状態と睡眠不足を関係づけて考える人はあまりいないでしょう。しかし、ロサンゼルス・カリフォルニア大学のデイビッド・ジェフェン氏の研究によると、睡眠不足はアルコール摂取と同じ影響を脳に与えると言います。神経の伝達がうまくいかなくなり、集中できずに仕事がはかどらず、気分が変化し、イライラしたり落ち込むこともあります。

睡眠不足の心理的影響は明らかです。それでも、現代の多くの人が十分な睡眠を得ていません。ライフスタイル、電子機器、画面のブルーライトが脳を刺激し、眠れなくさせているのです。

また、やっと眠りについても考えや悩みがあるため、眠りが浅くなります。夜中に何度も起きていては精神的健康に必要な休息を得ることができません。

状況は悪く、睡眠不足をビジネスに利用する会社もあります。静寂や休養をお金にしているのです。脳波やREMを見るマスクや昼寝を助ける薬、すぐに眠りにつけるように、落ち着かせる睡眠センターやスパがあります。

このような仕掛けや高額の治療は必要ありません。休息は命であり、絶え間のない内的・外的騒音の中で、静寂は健康だという事実を意識するだけです。これを頭に入れた上で多忙な生活の中で静寂と休息の時間を見つけましょう。


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  • Dong-Woo Choi, Sung-Youn Chun (2018) Association between Sleep Duration and Perceived Stress: Salaried Worker in Circumstances of High Workload. Int J Environ Res Public Health. doi  10.3390/ijerph15040796
  • Vago, D. R., & Zeidan, F. (2016). The brain on silent: mind wandering, mindful awareness, and states of mental tranquility. Annals of the New York Academy of Sciences1373(1), 96–113. https://doi.org/10.1111/nyas.1317

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