難しい感情の認識、解釈、表現
難しい感情とは、単純な状態では存在しないものです。大抵の感情は、どこかしら難しいものです。例えば、愛と憎しみを同時に抱くことは、思っているほど珍しくありません。他には、哀れみと怒り、悲しみを伴う怒りなどの組み合わせもあります。私達は、経験を一般化して分類し、単に負担になるものとして見る傾向があります。しかし、様々な感情的状態の原因となる感情を認識する方法を学ぶことは重要です。
このような感情を認識するよう努力し、思考へと翻訳し、それから、外へ表現することを必要とする場合もあります。これらのステップはすべて複雑なことがありますが、私達がとどまりたくない感情の状態からの抜け道でもあります。
ひとつ、はっきりしていることがあります。それは、難しい感情を表現するのに、十分な言葉はないということです。そのために、詩が存在するのかもしれません。詩は、単なる芸術的表現ではありません。詩を書く人は、詩は世界の人と難しい感情を分かち合う素晴らしい方法だと考えています。また、その他の芸術のカタチで感情を表す人も同じです。
「言葉は必要でなく、芸術のカタチを通して自分を表現するという単純さが最善のコミュニケーションになることもある」
-エマニュエル・ジャル-
難しい感情と表現
異なる言語間で、感情を表す言葉を直訳するのが非常に難しいという事実は、難しい感情を認識して表現することがどれだけ難しいかを表しています。以下がその例です。
- Freizeitstress:時間をつぶすために何かを行う時に経験するストレスを表すドイツ語です。
- Lítost:取返しがつかないほど悲惨であることに気づいたときの感覚を表すチェコ語です。
- Gigil:何か可愛らしいものを「ぎゅっと」したいという意味のフィリピン語です。
- Sukha:幸せの一種で、儚くないものを表す時に使われるサンスクリット語の表現です。強烈で、長く続く幸せを意味します。
このような変わった言葉を、長い説明を付けることなく他の言語へ翻訳するのが不可能なことは良くあります。難しい感情に関しても同じです。まだ、これらを認識、解釈、表現する方法は見つかっていません。これは、とても落ち着かない状態です。それは、感情を表現できることは、その感情を認識することから始まるからです。
難しい感情を認識する方法
私達の多くは、感情を次の基本グループに分類します:幸せ、悲しみ、怒り、恐怖、嫌悪の5つです。通常、感情はこれらの基本的な感情のいずれかに当てはまります。ところが、感情が広すぎて、正確に表現したくてもできないことがあります。例えば、恐怖はショックをうけやすいことで、怒りは臆病なのかもしれません。
何が難しい感情を作り出しているかと言うと、非常に異なるたくさんの感情が混じり合っていることです。それを認識するために、まず、思考のプロセスを柔軟にする必要があります。「通常」の感情には当てまらないため、これを分類することは不可能だと理解することが重要です。
また、倫理的視点から感情を評価することを止めましょう。本当のところ、良い感情、悪い感情というものは存在しません。実際は、状況により一つの感情が素晴らしいものであったり、悪くもなります。
最終的に、ひとつの感情の主な特性を決める要因となるのは、私達がそれにどう対応しエネルギーを注ぐかです。言い換えると、感情が行動に先立つかもしれませんが、それを正当化してはいけません。悲しい喜びを感じても良いのだと理解する必要があります。ひとつの感情が他の感情を支配していなくても良いのです。つまり、わたしたちは感情をありのまま受け入れるべきだということです。
感情を定義し表現することの重要性
自己表現は、あなたを自由にします。反対に、すべてを内にため込むと、ストレスや不安の原因になります。同じように、感じることを言葉にすることで、人とのコミュニケーション力は高まり、内なる対話の質も上がります。また、(自分自身と人との両方の)理解、共感、内的/外的平穏を生みます。
難しい感情を言葉にするには、全体の状態を作ることになった感情を分け、ひとつひとつの感情の影響を分析しなければなりません。
激しい喜びを感じる時、私達は、喜びと怒りと向き合っています。ショックを受けるような恐ろしい悲しみがあれば、これには、2つの基本的感情と1つの特別な感情が含まれています。これらすべての概念をより上手く定義することは可能です。例えば、怒りは苛立ち、厄介、欲求不満などと同義語です。自分が感じているものに一番合う言葉を見つけることが重要です。
難しい感情の認識、解釈、表現のプロセスを完成させるためのエクササイズをご紹介します。次のフレーズを使ってみてください。「〇〇の時、私は〇〇を感じる。」〇〇を埋めましょう。あなたが感じている全ての感情をこのフレーズに当てはめ書き出してください。そして、書いたものを見直し、すべてを集めます。これはとても興味深いエクササイズで、詩のような結果になることもあり、感情の状態の理解に良い答えを出してくれます。
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- Montañés, M. C. (2005). Psicología de la emoción: el proceso emocional. Universidad de Valencia.