同情は新しいセラピー:自分に優しくなりましょう

思いやりからの同情は、今日失われつつある態度です。しかし、思いやりに焦点を当てたセラピー・モデルがあり、一定の効果を示していることはご存知でしょうか。
同情は新しいセラピー:自分に優しくなりましょう

最後の更新: 13 2月, 2024

同情と言う言葉は、これまで軽んじられてきました。最近では、これはたいてい慈善とか憐れみの意味で使われます。同じことが、「自己同情」という言葉についても起こっていて、被害者主義的な考えをほうふつとさせます。しかしこれはこの概念の本質とはかけ離れており、本当はその人の価値を下げることとは程遠く、実際はその価値を高めることなのです。

ですので、同情に焦点を当てたセラピーの形式が流行っています。名前からわかるように、これは苦しんでいるたくさんの人々の状況を改善するための方法として同情をとらえるセラピーのやり方なのです。これは特に自分や他の人をとても厳しく、そして頻繁に非難してしまう人に効果があります。

この新しいセラピーの最も興味深い点は、その効果が研究室で科学的に測られてきたということです。そして、同情は学習し、鍛えることができるということが証明されました。また、そうすることで脳が変化し、改善するということもわかっています。これら全てのことからわかるのは、同情的であることは平穏や喜び、人生の様々な分野におけるモチベーションを高めてくれるということです。

「全ての真実の愛は同情であり、同情的でない愛は全て自己中心的である。」
―アルトゥル・ショーペンハウアー―

同情に基づいた実験

アメリカのウィスコンシン州にある健全な精神研究センター(Center for Investigating Healthy Minds)で、ある実験が行われました。のちに、これはサイコロジカル・サイエンス誌に掲載されています。この研究の指揮者は、ボランティアのグループに「同情の瞑想」あるいは「トンレン」と呼ばれる瞑想法のトレーニングを行いました。

この瞑想は、他の人の痛みを特定し、それを理解することに基づいたテクニックを使用します。そしてこれを呼吸法と組み合わせて行います。息を吸うときに、他の人の苦しみが視覚化され、内部化されます。そして息を吐くときに、他の人の幸福を可視化し、それに光を当てるのです。

同情のセラピー

この実験で、参加者は誰かの苦しみを想像し、その痛みを取り除いてあげたいと願うように言われました。 「あなたの痛みから解放されますように」とか、「あなが幸せになりますように」などのフレーズを使ってそれをやりやすくしました。

最初にこの練習をしたときには、被験者は愛する人のことを考えるように言われました。その後、知らない人について考えてるよう言われ、最後にはもめている人についてこれを行わなければならなかったのです。

研究者は機能的磁気共鳴断層装置(fMRI)を用いて参加者の脳を観察しました。トレーニングを行う前と後で行われています。こうすることで、参加者の脳の中に変化があったことが証明されたのです。特に、下頭頂葉とその他の領域においての活動が活発になっていました。つまり、同情や優しさは、まさに筋肉のように鍛えることができるということが示されたのです。

同情と人の幸福

他人に対して極端に批判的な人が、自分に対しても批判的であるということはよくあります。その反対もまたありますね。これは自分のエゴを過大視している人に起こることです。すると他の人に対してだけでなく、自分に対しても同情を感じることができなくなってしまうのです。これが、たくさんの苦しみをもたらします。

また、人生をリラックスしたポジティブな観点から見ることを不可能にしている、限りないプライドも存在します。全ての出来事が、最も大切なことは人に勝ることだという闘いになってしまうのです。

同情に焦点を当てたセラピーでは、他の人の苦しみを感じ、それから回復することを祈る能力を鍛えます。同じように、この鍛錬を根本的に自分自身にも適用するよう教えられます。自分自身に対して同情的になるということは、自分を哀れんだりかわいそうだと思うことではありません。人より劣っているとか、無能であると感じて泣いたり愚痴を言うことでもありません。

これはミスや欠点、悪い決断について自分を責めないようになるということなのです。また、結果がわかっているからといって、自分を厳しく批判しないようにするということです。

自分に同情するということ

同情的になることのたくさんの利点

東洋の人は、他人や自分に対しての同情の美学を、何千年も実践してきました。同情に焦点を当てたセラピーは仏教の教義を再び採用することですが、そこには神経科学的な要素もあります。先ほど触れた実験で、同情のトレーニングをすることで、脳の中でオキシトシンが分泌されるということが示されたのです。

オキシトシンはいわゆる「ハッピーホルモン」です。また、島葉、海馬、脳下垂体にも変化が起こります。これにより、人の穏やかさ、安心、幸福のレベルが向上します。

現在、私たちを競争や成功へ向かうよう駆り立てるメッセージが、この世界にはたくさんあります。これは多くの人にとって重荷になっているのです。これにより、いつかは圧倒されてしまい、不安やうつに苦しむことになってしまうのです。 同情に焦点を当てたセラピーは、人の最もすばらしい価値観としての優しさを取り戻そうという呼びかけなのです。このセラピーでは、優しさは自分自身を癒してあげることから始めるべきだということをちゃんと理解しています。


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