パニック障害に対処するための曝露療法
パニック障害は、人の人生を制限する力が非常に強い病気の一つです。なぜかと言うと、日常生活が「次の発作はいつ起きるのだろう」という巨大な懸念に飲み込まれてしまうからです。このため、日々の活動を自ら制限する傾向があります。薬の服用が役立つ場合もありますが、本当に変化を生むのは心理療法と曝露療法です。
パニック発作とは、様々な身体的・認知機能的症状を伴う突然の強烈な恐怖のことを言います。初めての発作で経験した強い苦痛から、パニック障害患者は恐怖を感じることに対して恐れを抱くようになり、新たな危機に怯えて警戒モードで過ごし始めるのです。
彼らが恐れているのはあらゆる不快な感覚の表出です。しかしその恐怖心自体が逆説的に全ての正常な身体感覚を誇張させ、過大化させてしまいます。そして恐怖の対象に過度に注意を払いすぎていることが、一連の不適応な思考も相まって、新たなパニック発作に繋がるのです。
“不安発作に関して最悪なのは、それが不合理で時には説明のつかないものだと自分で気づいていながらも、その事実を知っていることは何の役にも立たないと言う点です。「自分でもこれが不合理なものだと分かっているなら、なぜ私は発作を止められないのだろう…ああ、私にはこれを止めることができない」と悟り、自分は自らの心をコントロールすることができなくなっているのだと思い込み始めると、ほとんどの場合その不安はさらに深まっていきます。それなのです。そのことこそが恐怖なのです”
-アミ・デス-
内部感覚曝露
パニック障害を抱える人々は、実際には無害な何らかの身体兆候を危険で警戒すべきものであると見なすようになります。動悸を心臓発作のサインだと捉えたり、息切れを命に関わる窒息状態と解釈したりするのです。また、めまいは失神の前触れだと考えます。そしてパニック発作が起きている間に感じているのは、気が狂ってしまうような、コントロールが失われるような、あるいは死んでしまうような感覚です。
このような苦しい状況を防ぐために、一連の回避戦略に従い始めます。つまり、パニック発作に関連していると思われるアクティビティや場所を避けようとするのです。さらに、常に水筒を持ち運ぶ、公共交通機関や公共の場では絶対に出口の近くに座る、などの安全行動を実行します。
これらの回避行動全てが永遠に危険を解釈し続けることに繋がり、自身の感覚が無害なものだと認識できなくなるのです。したがって、治療の主要な構成要素はこれらの身体感覚を患者に感じさせるというものになります。また、ここには様々なエクササイズを通じてこれらの身体兆候を引き起こすという作業も含まれます。これら全ての目的は、患者をこういった感覚に慣れさせ、これに対して恐怖を抱くのをやめさせることです。
パニック発作治療のための曝露トレーニング
パニック発作を予防するために行われる練習法としては、以下のようなものが一般的です。
- 呼吸亢進はめまいや痺れ、現実感の喪失などを引き起こすことがよくあります。このため、1分間に30回呼吸できるようにすべきです。
- 吐き気や息切れ、そして速い心拍と動悸の状態を作るために2分間ストローを介して呼吸を行います。
- めまいと不鮮明な視界を作り出すために頭を左右に素早く振ります。また、でんぐり返しをしたり重いものを持ち上げることでもこの状態を作り出すことが可能です。
- 突然起き上がるなど、急激に姿勢を変えます。これにより低血圧状態が引き起こされ、それが過剰活性化に対する予防壁として機能します。
- 窮屈な感覚や胸の痛みを模倣するには、強制的な呼吸が有効です。これを行うには、深く息を吸い込んでから胸筋の緊張を保ちます。そのあと最小限の空気を吐き出して再び深く息を吸います。これを数度繰り返さなければなりません。
- 息苦しさや喉が詰まったような感覚を作り出すには、襟の高い服を着たりネクタイをキツめに締めるだけで十分です。また、歯ブラシや木製の舌圧子などで舌の裏側に圧力を加える方法でも良いでしょう。
- 厚着をして非常に暑い環境に留まることで、パニック発作に似た身体を乗っ取られてしまうような圧倒的な感覚を作り出すことが可能です。
その他の有効な曝露療法
身体感覚に慣れることだけでなく、想像上で曝露療法を行うことも有効な場合があります。つまり、パニック発作の際の身体感覚を思い描き、逃げたり回避することなくそれに立ち向かう自身の姿を想像するというトレーニングです。
また、患者はパニックのきっかけになると思われるそれまで避けてきた場所や状況にもゆっくりと足を向けるようにしなければなりません。曝露療法が嫌悪感や不愉快さを伴うのは明らかです。しかし、長期的に見ればこれが最も効果的な治療法であることが証明されています。事実、この方法からは薬物治療からよりも優れた結果が得られているのです。
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