強迫性障害(OCD)のための曝露反応妨害法

曝露反応妨害法(ERP)は、最も経験的な実証に支えられたOCDの治療法のひとつです。ここでは、この療法の利点と欠点についてお話します。
強迫性障害(OCD)のための曝露反応妨害法
Alicia Escaño Hidalgo

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Alicia Escaño Hidalgo.

最後の更新: 21 12月, 2022

強迫性障害(OCD)は(思考、想像、感情の)強迫性、衝動性を含む精神疾患です。衝動性は、OCDの患者が強迫観念が引き起こす不安を緩和し、考えられる脅威から逃れるために行う精神的、身体的行為です。曝露反応妨害法は、OCDに効果的な治療法です

 

思考が正常でない時

誰もが強迫性を経験することがあります。意識のある存在として、心に不条理で、非現実的で、過剰なシナリオやアイデアが浮かぶことがあります。こうなった時、ほとんどの人がこの思考に重要性や価値をおきません。気にせず一日を過ごします。ほとんどの人がそれは思考であってそれ以上の何でもないと分かっています。現実とはほとんど、またはまったく関係ないと考えます。

OCDを抱える人は、このように道理づけることができません。その反対で、その思考について心配し、重きをおきます。

このような考えが大きな不安を生みますOCDの人はこの思考に悩んでいても、それに気づかなくても、それを信じているのです。そのため、不安を緩和し、起こりうる脅威から逃れるために何かをしなければならないという必要性を感じます。

OCD患者が衝動を満たすと、安心を覚えます。不安が消え、強迫性もなくなります。そして、起こりえた悲惨な状態を「避けられた」と感じます。このように、実際多くのOCD患者はとても賢いのですが、推論プロセスが完全に偏っています。

強迫性障害 OCD 曝露反応妨害法

思考そのものが実際の脅威を生み出すことができないというのは、皆分かっているでしょう。しかし、この思考パターンがOCDの人の心にあり、それに厳密に従います。そのためOCDの人は強迫性から本当に逃れることができず、疲労し、希望をなくすのです。

これを踏まえた上で、曝露反応妨害法(ERP)は、専門家がOCDの治療のために考えた最も成功しやすい治療と言えるでしょう。

 

強迫性への曝露の重要性

一般的に、高レベルの不安行為を含む障害の治療に曝露法が選ばれる傾向があります。事実、状況、刺激を脅威として解釈し、自分や人の命をおびやかすものだと考えた時に生じる正常な精神的反応が、不安です。不安は、人生につきものである問題と向き合うのを助けてくれるのです。

特定の状況で助けになる不安が、危険のない状況にある時に機能することがあります。このような時、不安は問題になります。これは実際のものに対する反応ではなく、非現実的予想に対する反応なのです。

強迫性のある人は、害を及ぼす、非道徳的、責任の欠如の反映である何かが起こると誤って考えます。この強迫性は現実ではなく、それ裏付ける証拠もありません。それでも、OCDを抱える人は衝動行為に変えずにその思考を頭から離すことができないのです。

そのため、害を及ぼすと考えている刺激に患者が触れることが必要です。こうすることで、患者は衝動行為を行わなくても、恐れる何かが実際には起こらないと実感することができます。

馴化

患者が衝動行為を実行することなく、強迫性に耐え、管理し、コントロールすることができるようになるというのが、曝露反応妨害法の考え方です。馴化(じゅんか)と呼ばれる過程を通し、これは行われます。

ERPとは、例えば、エレベーターのボタンを押しても何も起こらないと患者に示すことです。ERPを通し、現実が予想を崩し、これはその予想がなくなるまで繰り返されます。

OCDの人が常に衝動行為を行っていると、彼らのもつ非現実的思考が反証されることがありません。そのため、自分の行為が悪いことが起こるのを防いでいると考えます。合理的ではなく、その恐怖が現実になることはないのです。

 

OCDのための曝露反応妨害法

ERPはOCD患者に最もよい結果を示している治療だと研究により立証されています。強迫的儀式を行う患者に一番合っています。

ERPを実施する上で難しいのは、OCD患者が、ERPの初めに経験する高いレベルの不安を嫌うことです。不安を抱くということは、それを隠すのではなく、患者は不安にさらされているということなので、治療が効いている印です。

患者が不安にさらされることの重要性を理解してもらうため、ERPについてよく説明することが非常に大切です。患者の問題が消えないのは、儀式が原因になっていると知らせることが必要なのです。

強迫性障害 OCD 曝露反応妨害法

まず、患者は不安要因刺激の階層を通らなければなりません。患者が自ら行うと自分に甘くなる可能性があるため、セラピストが階層を作ります。このリストには、不安を誘発する物事が含まれている必要があります。患者は、1~100まである主観的不安尺度(SUDS)に基づき、その要因を評価します

SUDSスコアの中度(40~50)から始めるのが理想的です。患者の不安は、診療室内で少なくとも50%下がらなければなりません。下がらなければ、次に移ります。そうしなければ、刺激に馴化するのではなく、患者をより敏感にさせてしまう危険があります。

セッションはできるだけ長く続けましょう。例えば、特定の刺激を患者の家に移行するなど、曝露法は24時間にわたることもあります。これは馴化の過程を助けます。

 

曝露反応妨害法の難しさ

ERPは非常に効果的ですが、OCDを抱える人がこの治療を最後まで貫くことは難しくもあります。儀式を行わずに強迫性の原因となる不安に耐えることを非常に嫌います。

質の高い精神的教育を行い、治療を信頼してもらうため、患者と良好な関係を築くことがカギです。セッションの間、そして、その後も、できる限り、患者はこのプロセスにしがたい、すべてのエクササイズを行わなければなりません。

患者の家族や配偶者、友人と共同し、患者が強迫的・衝動的行為を強化しないよう見守ることも非常に大きな助けになります。また、患者と親しいセラピストがいると、ERPを正しく行い、儀式を避けるようにモチベーションを高めてくれるため、これも助けになるでしょう。


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  • Vallejo, P, M.A. (2016). Manual de Terapia de Conducta. Editorial Dykinson-Psicología. Tomo I y II.


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