恋愛での期待と失望:愛しているけど何かが足りない?
現代社会における恋愛がらみの問題の中で、特によく見られるのが「期待が満たされないこと」です。ほとんどの人にとって恋は盲目であり、心をさらけ出したまま相手との関係に浸ります。そして「遂に出会えた、やっと人生を共にできるような、安定した感情状態のまま付き合える人と出会えたのだ」などと信じ込みます。しかし、そういった期待は打ち砕かれることが非常に多いのです。即座に恋人から裏切られることもあれば、長年連れ添った末に現実を知る羽目になることもあるでしょう。恋愛がらみの期待と不満とは表裏一体のことが多いのです。
人はよく、「君は夢を見過ぎている、もっと現実的になれ」、「期待しすぎだよ、だからあなたはいつも失望させられるんだよ」などという言葉を口にします。それは正しいのかもしれません。恋に溺れる人々は単純に、ディズニー映画やロマンティックコメディが数十年間かけて形成してきた理想のような、実在しない何かを探し求めているのかもしれません。まだ100%理解しているとは言えない、本当は欠点もあるはずの人物に対して、あまりにもたくさんの希望を押し付け過ぎているのかもしれないのです。
ただし、一つはっきりさせておくべきことがあります。それは、期待を持つことは本来、健全で良いことであるという事実です。期待することで、自分が自分自身のために何を望んでいるのかが明確になりますし、最初に出会った相手に落ち着いてしまう以外の選択肢を選べるようにもなります。幸せになりたい、愛されたい、正当に扱ってもらいたいという願いはみな、ポジティブで現実的な期待なのです。常に完璧を望まないようにすることは重要ですが、理想を実現するために挑戦することには意義があります。
パートナーがそういった期待を満たしてくれない時、人は何かが欠けているかのような感覚を自然と抱いてしまうのです。
期待と失望の問題に対して、どんな対策を取ることができる?
期待は、人間関係の構造を形成します。それは、恋愛関係だろうと友人関係だろうと、あるいは家族との関係だろうと同じことです。期待は、短期的・長期的にその人が手に入れたがっているものと、欲求や希望を明確にさせます。簡単に言うと、安心感や満足感、幸福感を感じるために不可欠だと見なしているもの全てがそれに当たります。そして先ほど申し上げた通り、自身の抱く期待を特定し、それを他者に求めるのはある程度のレベルまでなら完全に正常なことです。
問題は、期待したものと手に入ったものとが合致しない時に生じます。パートナーが期待に応えてくれなかったという事態を引き起こす原因は、以下の二つのうちのいずれかです。まず一つ目は、その人の想定するパートナーとの未来が非現実的で不適切なものであること、つまり不可能なことを期待するという、自分で自分の首を絞めるようなことを行なっているという場合です。
二つ目の原因は明白で、その人の期待は健全で正常なものであるにも関わらず、期待している事柄から少しも満足感を得られていないこと、がそれに当たります。時折、失望によって足元の地面がひび割れ、安定性が失われてしまうということが起こります。要するに、その人の生きる日常が本当に期待しているものとは異なっているのです。愛はそこにあるのですが、何かが物足りないように思えてしまいます。
では、もう少し掘り下げていきましょう。準備はよろしいですか?
恋愛に期待するのは悪いこと?
最近、期待を持たずに生活しよう、という考え方が大いに人気を集めています。人々は、予期せぬ出来事を受け入れる余裕を持つこと、そして対人関係のみならずあらゆる物事に対する期待を手放すことのメリットを押し売りしたがります。もしかしたら、彼らの言うことは正しいのかもしれません。しかし理性を持つ生き物として私たちは、自分の身に降りかかる物事を、ほんの少しだけでも自分でコントロールできるはずだ、と感じずにはいられないのです。
期待とは個人的な信念、つまり、将来起こって欲しいと願うことについての仮説を指します。これはまた、特定の事象を予測あるいは想像してそれに対してどう反応すべきかを知っておくことを可能にする精巧なメカニズムでもあります。そうは言っても、恋愛に関する、あるいは恋人に関する期待を抱くのは悪いことなのでしょうか?
- 一言で言うと、その答えは「ノー」です。自分が望む恋愛の形についてあれこれ期待を思い描くことは悪いことではありません。
- ただし、その期待は現実的かつ適切で、できる限り客観的なものにすべきです。
- 例えば、恋人が浮気をしないことを期待するのは至って正常です。また、二人の関係が2ヶ月以上続くこと、辛いことがあった時に恋人が支えになってくれること、恋人が心から信頼できるような相手になってくれることなどを期待するのも健全だと言えます。
恋愛がらみの期待や失望との向き合い方
自分の恋愛に不満を抱えている人は多くいます。期待していたたくさんの物事が実現しないと、失望を感じたり、さらには騙されたとまで感じてしまうのです。愛は確かに存在しており、パートナーが自分を愛してくれていることもわかっているのに、二人の関係を狂わせてしまうものが山ほど出てきます。
そういった状況でできることとは何でしょう?
- まず第一に、「私は現実的な考え方ができているだろうか?」と自問してみるべきです。その関係性のあり方についての不合理な理想に執着してしまってはいませんか?それらの理想を明確にし、一体なぜそこにこだわってしまうのかを明らかにすることが重要です。自分の抱く期待の多くが不適切あるいはおとぎ話から出てきたようなものである場合には、修正が必要になります。そうすることが、フラストレーションや失望の回避につながるはずです。
- 自分の期待は、パートナーの期待と合致していますか?不満を抱いていて、物事が願っている通りに行っていないと感じるのであれば、パートナーと話し合うべき時が来ているということです。自分たちが互いに何を期待し合っているのかをはっきりさせる必要があります。時には、そういった会話からそれぞれの期待が大きく異なっていることを発見できたり、重要な事柄を無視していたことに気づくきっかけが生まれたりするのです。
- 期待に応えるために、自分そしてパートナーはどんなことをしていますか?二人の期待が似たようなものだった場合は、それを満たし合えているかについて、そしてそのやり方について考えてみましょう。互いの存在を当たり前のものと見なしていて、関係性をより良いものへ育んでいく努力ができていないという場合があります。
期待を持つ余裕、未知の出来事を受け入れる余裕
期待が満たされない状態は、破局につながる場合が多いでしょう。パートナーが、自分との旅路を歩むのではなく別の方向へ向けて旅しているかのように感じられるのであれば、一緒にいることへのモチベーションは失われて行くだけですよね。困難な状況ではありますが、ほとんどの人が人生のいずれかの時点でこのようなことを経験をしているはずです。
そんな時にベストなのは、自分の欲している/いないことにまつわる現実的かつ適切な期待のいくつかを明確にすることです。自らの優先事項と、絶対に譲れない条件(浮気、思いやりの欠如、嘘をつくこと、心を閉ざすこと、など)が何なのかを特定しましょう。自分の抱く期待をはっきりさせ、それをパートナーに共有できたら、次は予測できない事態が起きた時のための余裕を持つ努力をすることが必要です。驚きに対して寛容になり、自分とパートナーとが共に成長し、共に変化できるように準備しておきましょう。
100%期待に応えてくれるような完璧人間を見つける必要などありません。事実、そんなことは不可能です。自分の歩む道を補ってくれるような相手を探すことがカギとなります。
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