精神分析学の父ヨーゼフ・ブロイアー
ヨーゼフ・ブロイアーは精神分析学の起源において重要な役割を果たした、才能ある医師で心理学者です。友人ジークムント・フロイトは、彼を父親のように慕っていました。二人はお互いに讃え、尊敬しあい、その関係はとても大切なものでした。
二人は協同し、精神分析学の基礎であるヒステリーに関する研究を始めて発表しました。また、精神分析学メソッドのためフロイトの実験台になったとして有名な患者アンナ・Oを初めに治療したは、ヨーゼフです。彼女と出会い、フロイトを紹介したのです。
この優秀なオーストリアの医師は、呼吸と体温、内耳とバランスの関係も発見しました。歴史家は、彼をカタルシス法や精神分析学の自由連想法の先駆者であると評価します。ここでは、ブロイアーの人生と素晴らしい功績を簡単にご紹介します。
早期のヨーゼフ・ブロイアー
1842年1月15日、オーストリア、ウィーンでヨーゼフ・ブロイアーは誕生しました。父親はユダヤ人コミュニティで重要な人物でした。ブロイアーは宗教的ではありませんでしたが、ユダヤ教からわざと距離をとるということもしませんでした。
母親はブロイアーが4歳の時に亡くなりました。母親の死後、父親と母方の祖母に育てられます。1859年、19歳の時、ウィーン大学で医学を専攻します。当時の偉大な科学者、カール・ロキタンスキーやヨセフ・スコダと共に学びました。
さらに、ウィーンの有名な臨床内科医ヨハン・フォン・オッポルツァーの指導を受けました。そして、フォン・オッポルツァーはブロイアーをウィーン総合病院で助手として雇います。その後色覚の研究で知られる生理学者エヴァルト・へリングの研究室で働きます。
その研究室で、呼吸を通じた体温調節における迷走神経の役割を発見しました。この発見により、ブロイアーは医学界で有名になりました。また、内耳とバランスの関係もここで解明しています。
ジークムント・フロイトとの出会い
1871年、ヨーゼフ・ブロイアーは開業します。フランツ・ブレンターノ、ヨハネ・ブラームスなど名声のある患者を担当しました。さらに、ウィーン大学の心理学部と薬学部では、教授と研究を行いました。1877年、一人の生徒と親しくなります。それがジークムント・フロイトです。
1870年代後半、ヨーゼフ・ブロイアーは心理学にのめりこみます。そして、当時流行していた催眠術に興味を持ちました。彼の患者の多くがヒステリーの症状をもつ裕福な女性であったことから、彼はメンタルヘルスに興味をもったのだという人もいます。
フロイトも同じく興味を持ち、時とともに彼らは親しくなりました。ブロイアーは未来の精神分析学の父フロイトが開業できるよう、多額の金銭を貸しています。また、医学を勉強するように助言しています。そして、彼らの関心と好奇心により、二人は意図することなく、精神障害に特化した道を開いたのです。
アンナ・Oとヒステリー
後にジークムント・フロイトと共に歴史に残る人物となった患者アンナ・Oと始めに出会ったのは、ヨーゼフ・ブロイアーでした。ブロイアーは催眠術を使った治療を行い、経過は良好でした。しかし、アンナ・Oが医者好きであったことから、ブロイアーは不快感を抱きます。そして、興奮したアンナ・Oがブロイアー先生の子どもを産むと言い始めた時、患者と医師としての二人の関係は終わりました。
そこで、ブロイアーはフロイトを紹介しました。これが、精神分析学の理論的発達と実践における大きな反響となりました。また、この出来事は、有名な二人のオーストリア人の友情を壊すことにもなりました。アンナ・Oの治療が終わった時、フロイトはヒステリーに関する最終的理論を発表しようとしていました。しかし、ブロイアーはフロイトのその理論に反対したのです。
友情が壊れたサインのひとつが、ブロイアーがフロイトに貸したお金を返すよう求めたことです。さらに、理論に関する意見の不一致が、わずかに残っていた友情を壊すことになりました。それでも、ブロイアーは、この優秀な生徒の功績を見守るのをやめることはしませんでした。
1925年、ブロイアーが亡くなった時、フロイトはブロイアーの息子にお悔やみを述べます。その息子は、父がフロイトの功績と精神分析学の前進への興味を失うことはなかったと答えます。さらにフロイトは、「私の後の仕事と父親との関係に関しあなたが言ったことは、私にとって驚きであり、それは、癒されることのなかった痛みのある傷を癒すものだ」と答えています。
当時の実りの多い関係のひとつは、ほろ苦い終わりを迎えました。彼らの静かな称賛が止むことはなかったのですが、二人の違いは友情より大きかったのでしょう。今、一般の人にはフロイトの名前の方が有名かもしれませんが、二人とも名が知られています。ヨーゼフ・ブロイアーが精神分析学にもたらした大事な功績を忘れずにいたいものです。
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- Bedó, T., & Rocco, I. M. (1976). A propósito de la contribución de Josef Breuer a los Estudios sobre la histeria. México: Siglo Veintiuno Editores.