適応性不安と病的不安障害の違いをご存知ですか?

適応性不安と病的不安障害の違いをご存知ですか?

最後の更新: 09 9月, 2018

不安には異なる種類があるということを知っておくことは大切です。一つは病的不安障害で、これは機能障害と呼ばれることもあります。もう一つは適応性不安で、「普通の」不安として知られています。全てのタイプの不安が悪いものであると考えがちなので、その違いを知ることが大切なのです。

一般的な言葉では、不安を何らかの害や不幸の結果としての心の状態だと定義することができます。言い換えれば、何か悪いことが起こると考えるときに不安は出てくるということです。こういった考えは私たちをとても心配させます。それは不快な感情として現れ、恐れと落ち着かなさと緊張が入り混じったようなものです。また心臓の激しい鼓動や吐き気、めまいなどの身体的症状が出ることもあります。

適応性不安では、予期している困難は現実に起こる可能性が高いものです。例えば、仕事に遅れることが分かっていて、そのために叱られることを予期しているときなどです。一方病的不安障害では、未来に起こる可能性はあるにしても、ほぼ起こらないだろうことに不快な感情を抱きます。そのため、この状態はおよそ永遠に続きます。つまり、何か悪いことが起こるのではないかと常に考えてしまうということです。

「その苦痛の激しさは、関わりのある人にとってその状況が持つ意味と同等です。それを感じている人がなぜ不安を感じているかをわかっていないとしてもです。」
ーカレン・ホーナイー

常に不安を感じてしまう病的不安障害

不安の役割

適応性不安は、私たちが生まれながらに持っているものです。これは私たちに自分の高潔さと生き残りを保証してくれる保護の役割を持っています。本当の脅威がやってきた場合、体と心の両方がそれに対峙する準備をしなければなりません。このように準備ができていないと、実際に危険が訪れた時に、どうしようもないという気持ちがあふれ出てきてしまいます。ですので、不安にもポジティブな目的があるのです。

病的不安障害は、その人が脅威に対峙できないと感じたときに起こります。そういう人は、現実にはない状況にも脅威を感じます。これが常に続いてしまうと、激しい苦痛の段階に入ってしまいます。この苦痛の中では、自分が何を恐れているのかさえわからなくなってしまいます。「何か」が起こるかもしれないので、ただただ怖いのです。

不安状態により、体に多くの生理学的変化が起こります。脅威に対峙するためには、いくつかの臓器(心臓、腎臓、肺など)が激しく活動している必要があります。そのため、頻繁に不安を感じていると、体によくない影響が出てしまうことはとてもよくあります。このタイプの不安の結果として、病気になってしまう事例が多いのです。

病的不安障害の性質

病的不安障害で苦しんでいる人には深刻な問題があります。肩を優しくたたいてあげたり、すべてがうまくいくよ、と伝えるだけでは不十分です。この状態から抜け出すためには、他の人の親切な気持ちよりずっと多くを必要とするからです。

問題解決の第一歩は、今あなたが抱えているものが病的不安障害かどうかを知ることです。正確に分析するために、あなたが感じている緊張が以下の性質に当てはまるかどうかまず見てみましょう。

  • 激しさの頻度。病的不安障害では、不安が頻繁に起こります。それはたいてい長い間続き、しかも程度も激しいものです。一方適応性不安では、それが起こることも珍しく、すぐに過ぎ去り程度も激しくありません。
  • 反応。病的不安障害では、それが現実だろうが妄想だろうが、その状態を引き起こす刺激に対して不相応な反応をします。例えば、泥棒が家に入ってくるのが怖いので、それを何としても防ぐために一晩を丸々費やしてしまう、などです。
  • 苦しみ。不安が病的であるとき、深くずっと続く苦しみを感じます。適応性不安では、苦しみは一時的で跡を残すこともありません。
  • 機能できるかどうか。病的不安障害は日常生活に悪影響を及ぼします。一定の行動を起こさせなくしたり、あるいは別の行動を起こさせたりします。私たちの日課が変えられ、制限されたように感じ、生活が混乱と恐れで満たされてしまいます。
程度と頻度の激しい不安

なぜ不安が病的になるのか?

実は、この質問へ答えようと思ったら、本が数冊書けるほどです。しかし、まとめると、このタイプの不安の背景には未解決のトラウマがあると言うことが言えるでしょう。トラウマと不安の関係は直接的であることもありますが、そうでないこともあります。

例えば誰かが交通事故に巻き込まれた場合、その出来事は、身体的なものだけではない傷を残す可能性が高いでしょう。毎回車に乗るときや、あるいは道を歩いているときでさえも、事故に巻き込まれた人が不安を感じることは普通です。この場合、実際の脅威の可能性を考えると道理にかなっていませんが、トラウマと不安が直接つながっています。

その他のケースでは、病的不安障害を引き起こすトラウマが隠されていたり、無意識に抑えられていたりすることもあります。 幼いころ受けた拒絶や虐待などがその例です。

不安とトラウマ

上述したことから、病的不安障害は、たいていの場合克服するために外部の手助けが必要な状態です。最もお勧めなのは、精神医や精神分析医に連絡し、この問題を解決するのがよいでしょう。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。