有益な嫉妬なんて存在するの?
嫉妬は私たち人間の状態の一つです。これについての引用文は星の数ほどあり、いつでも存在する中で最も破壊的な力の一つだと考えられてきました。
聖書の神話の中では、宗教の歴史上初めての兄弟であるカインとアベルの間の兄弟愛を嫉妬が壊してしまいます。ギリシャ神話では、一時の嫉妬がトロイア戦争の火種となりました。
同じように、全ての文化において、嫉妬の様々な面に関する何かしらの神話や伝説が存在します。ときにそれはうらやましい気持ちの表現だったり、度の過ぎた疑いや不安であることもあります。一般的には、嫉妬は否定的な感情であり、それゆえに避けるべきものであると考えられています。
「嫉妬は愛し合う二人の間で生まれる。過去に吹いた風や二人に降り注ぐ太陽の光、そして足元の地面からでさえも。」
―ミゲル・デ・セルバンテス―
一回も嫉妬を感じたことのないという人間を想像するのは難しいですよね。 ちょっとうらやむ気持ちや、 恋愛における疑いのひと悶着を経験せずに生きるのはほとんど不可能です。ときにそれがとても激しいこともあれば、そうでもないこともあります。
こういった感情によって、愛する人を失うのではないかと恐れたり、ナルシスト的な傷に苦しんだりします。これは少なくとも楽しい経験ではありません。
恋人はお互いに嫉妬しあいます。兄弟や友達、同僚も互いに嫉妬を感じます。この感情的反応の悪名についてはさておき、ある疑問を持つことには価値があります。
それは、嫉妬は有益なものになりえるか?ということです。すべての否定的な感情が持っている肯定的な要素はどこにあるのでしょうか。実は、嫉妬が人の精神的健康のサインとして現れることがあるのです。
以下でお話する状況で、その意味を説明していきます。
嫉妬は警告として働くときに有益になる
例えば誰かがあなたの彼女や彼氏を奪いたいと思っているとします。理論的には、不安になるということはあなたが自分を信じていないか、自分たちの関係を信じていないということなので、こういった場合に不安になる必要はないはずです。
しかし、実際には、こういった状況で少しも怖くならないのは難しいですよね。このケースでは、嫉妬が警告としての役割を果たします。
二人の関係が経験している弱さや困難につけいるという人もいます。または純粋に惹かれた人が、すでに真剣な交際を他の人としていたということもあります。
あるいは、他の人から愛されている人を自分は奪うことができるのだということを、他の人に見せたり証明したりしたいだけという人もいます。さらに、今はあなたのものである所有物を自分が所有するためという場合もあります。
こういった場合に嫉妬心を抱くことは完全に理解できますし、いたって健全なことです。これはあなたの領域や愛情を守るためにアラームが鳴っている証拠です。
私たちの誰もが、不注意により愛する人や物を失ってしまう可能性があります。この場合、嫉妬心を抱くことはこの可能性を思い知らせてくれ、その人や物を失わないために何でもするという必要なエネルギーをあたえてくれるかもしれません。
他の人が欲しいと思うかもしれないものを、あなたが持っているということは不思議なことではないということを心に留めておきましょう。だからといって他の人が悪い人であるという訳でもなければ、あなたが何かの策略の犠牲者にさせられるということでもありません。あなたが、嫉妬を引き起こす仕事の地位や何らかの特権を持っているというだけなのです。
否定的な面は、誰かがあなたの物を奪おうとした時です。その物的証拠があるなら、嫉妬が現れることは明らかです。
この場合は、あなたが自分のものだと思っているもので、脅威にさらされているものへのあなたの注意力が反映されます。それが有益なのは、あなたに自分の物は守らなければということを思い出させてくれるからです。
落ち込んでいるときに、他人が自分の幸福を自慢してくるとき
このタイプの状況は、人としての成熟度を反映しますが、だからといってイライラしないわけではありません。これはあなたが困難な状況にある時に、誰かがあなたの目の前で自分の成功について自慢するときに起こります。このような状況で、ハッピーでいるのが難しいのは当然のことです。
成功したニュースを共有することと、それについて自慢することの間には違いがあります。その違いは、あなたを不快にするかどうかということです。
ここでは、嫉妬があなたが不快だと思う態度への明らかな反応です。あなたがハッピーでないからといって、誰かがあなたにハッピーであることを止めるよう強要したわけではありません。
しかしあなたを不快にするためだけに、何かを指摘するというのは配慮に欠けていますよね。いずれにせよ、あなたはその感情にあまり注意を払ってはいけません。
その気持ちを膨らませてはいけません。そんなことをする価値がないからです。また、その気持ちを感じることを悪いと感じる必要はありません。人間なのですから。
わざと無視されたとき
これは恋愛や家族、またはどんな場所でも起こりえます。これはあなたが自分の気持ちが無視された、あるいは正当な価値を与えられていないと感じたときのことです。
例えば、あなたの大切な人が、他の人がどんなに魅力的に見えるかということについて話したときです。または、あなたはチームのプロジェクトの一員で、あなたの努力が認められず、同僚の努力ばかり認識されているときなどです。
このケースでは、嫉妬はあなたが軽んじられているために発生する不快感です。あなたには自分に見合うと思っている重要な地位を与えられる必要があるため、いざこざが生じるのです。あなたはあなたの価値を認めてもらう必要があるのです。
この不快感を無視してはいけませんが、それを増幅させてもいけません。嫉妬はこの問題に関して自分は不快に思っているということを示しているだけかもしれないからです。
大切なことは、いかなる場合においてもあなたの嫉妬心を不必要に大きくさせてはいけないということです。嫉妬にあなたをコントロールさせたり、あなたの振る舞いを決定づけさせることもあってはなりません。これは大きなダメージにつながる恐れがあります。
嫉妬は多くの状況で有益な感情になる可能性もありますが、そのコントロール方法を知らないと自分にとっての最悪の敵になってしまうかもしれないのです。