愛情とわがまま:求めるばかりの関係
求めているような愛情をなかなか手にすることが出来ない人が、世の中にはたくさん存在します。自分の得のため、欲望を満たすため、生活の穴を埋めるためだけに誰かと一緒にいようとする人がいるからです。愛情におけるわがままは、2人の関係にとって大きな打撃となり傷痕を残します。このタイプの関係を断ち切るには、早めに行動することが肝心です。
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愛情におけるわがままは、まさに人的災害です。大の大人が事あるごとに、まるで子供のように振る舞います。子供じみたエゴを持っている人は、2人の間の感情的な繋がりは自分のニーズを満たすためにあるのだと勘違いします。求めてばかりで、相互関係といったものを全く理解していない、または理解する気のない未熟な人々なのです。
アブラハム・マズローは、わがまま全てが悪いわけではないと言っています。少なくとも、なぜわがままを言うのか、またそれがどこから沸き起こって来るのかがはっきりするまでは。例えば、時折時間を見つけて自分のために何かをするのは大切なことであり、自尊心の向上のためにもおすすめしたいことです。ですが、それと対照的に暗く、不健全で、有害なわがままというものが存在します。
エーリヒ・フロムは愛情におけるわがままについて記した最初の著者の1人です。彼が書いた「自由からの逃亡」や「愛するということ」という本では、愛情をギブアンドテイクだと考えている人について触れています。自分自身が大切で、それ以上の枠を超えることの出来ない男女のことです。
「わがままとは生きたいように生きることではなく、自分が望むように生きることを他人に求めることである」
- オスカー・ワイルド
愛情におけるわがまま:5つ目の要素
ワシントン大学心理学名誉教授ジョン・ゴットマンは、人間関係の崩壊の原因となる「4つの騎手」という有名な理論でカップルの別れについて詳しく説いていますが、愛情におけるわがままについては言及していません。彼によると別れの原因となる最も大きな要因は、無関心、防衛的な態度、批判、軽蔑です。
「わがまま」がその5つ目の要素になるとも言えますが、ゴットマン教授はそれを除外しています。なぜならこれはその他の4つの要素の中全てに見受けられるからです。批判、侵害、他人への軽視、責任からの逃避など、これらは全て酷いタイプのわがままなのです。
わがままはどこにでも存在しますが、目の前に現れるまでなかなか気づきにくいものです。愛情が痛みへと変化するには時間がかかります。なぜなら関係が始まった当初は、誰しも盲目になっているからです。
誰でも、誰かに対して全てをなげうつような危険を冒したことがあるでしょう。パーフェクトで魅力的に見えた相手に自分自身の全てをかけて愛情を注ぐ、、そしてそれは感情を崖から突き落とすような結果に終わる…。なぜならわがままで利己的な人は、始めは神秘的に見えうまく人を欺くので、これに引っかかってしまうのです。
彼らは欲しいものを手に入れた瞬間、正体を現します。感情的な脅しを使って相手を支配し全てを奪い取ろうとします。そしてもちろん自分は何も与えようとはしません。与えてくれるものがあるとしたら、それは失望です。
利己的な人は自分を愛せない、だから人も愛せない
このフレーズは一見矛盾しているかのように見えるかも知れませんが、よく考えてみてください。愛情におけるわがままは、自分を愛せないことによる結果がもたらすものなのです。どういうことでしょうか? ナルシシズムのように、自分しか愛せない人のことをわがまま、利己的だと考えるかも知れません。ですがここで隠されている現実は、そう簡単に見つけることは出来ません。
エーリヒ・フロムが著書「愛するということ」の中で指摘しているように、わがまま、利己的な人は実は自分自身のことが大嫌いなのです。自分への愛情が欠如しており、そのためその欲求不満やニーズを他人との関係で満たそうとします。
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「利己的な人は自分自身があまり好きでなく、それどころか憎んでいる。このような自分への愛情と配慮の欠如は、その人の生産性の欠如に他ならず、それは空虚感と欲求不満をもたらす。結果、不幸な気持ちが増し、自分自身が手に入れることを妨げている人生における満足感を得ることを切望するのだ。」
- エーリヒ・フロム
利己的な人は自分に足りないものを相手から奪おうとする
数年前、ニューヨーク大学の心理学科で、ある研究が行われました。利他的な人の行動と利己的な人の行動とを比較したのです。この実験で利他的な人の方が、個人的、また感情的満足感が高いということが分かっています。彼らは見返りを求めることなく相手に与えます。時間やリソースを惜しみなく人に与え、それが幸福感へとつながっているのです。
対して利己的な人は他人から何かしら奪おうとします。そして何も与えようとしません。なぜなら与えるものがないからです。自尊心と自信の欠如がそうさせるのです。愛情におけるわがままは、熊を捕まえるベアトラップよりも巧妙でたちが悪いもの。なぜなら捕まえた人から、愛情全てを吸い取ろうとするからです。
このようにわがままで利己的な人との関係は毒となります。このことは愛におけるとても大切な教訓を思い出させてくれます。それは「他人を愛するカギは自己愛である」ということ。自分を正しく健全な形で愛しましょう。不健全なわがままは、まるで帆のない船のようなものです。決して安全な天国を見つけることはないのです。
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