誰かを亡くした時にやってくる怒りの段階ってどんなもの?
残念ながら、この非常に強い悲しみを感じたときに「怒り」もまた生じやすく、多くの人が陥ってしまう段階です。感情が崩壊してしまい、誰かを亡くしたという悲しみからくる怒りを克服できなくなってしまうのです。もちろん、あなたを変えてしまったツラい出来事や怒りを持った気持ちのほつれを対処するのは簡単なことではありません。
シェイクスピアは泣くことは痛みを和らげてくれると言いました。しかし、もしその感情を対処できなければどうなるのでしょう?それはあなたを暗い奥底に沈めてしまうでしょう。精神科医のエリザベス・キューブラー=ロスは、誰かを失った時の感情の段階で、怒りやフラストレーションは最も困難な壁となると述べています。
これは、誰かを亡くしたという事実を本当に受け入れていく段階ですが、受け入れずにいると怒りになってしまうのです。そして、何かに向けて攻撃してしまいます。あなたの心と体に不公平、憤り、そして激しい怒りが蓄積されていくでしょう。
このような強い感情はあなたを苦しませることになります。怒りはやがてさらに強いものになり、本来のあなたを変えてしまうこともあります。本当は自分の人生をコントロールしたいのに、自分にはできないと感じでしまうでしょう。
「抑圧された悲しみはあなたを窒息させ、胸の中で激しくなり、その強さはさらに膨れ上がる。」
-オウィディウス-
怒りの段階
基本的に、この怒りの段階は誰かを失った事実を強く拒絶することです。なので、悲しみや怒りも人間の脳が生存するための一つの反応だということを忘れないでください。
悲しんだり、怒りを感じることは変わったことではありません。コロンビア大学のジョージ・A・ボンナノ博士は悲しみに「普通」はないと述べています。先ほど述べた精神科医のエリザベス・キューブラー=ロスは明確な段階を説明していますが、一人一人がそれを異なった形や順序で経験するのです。
つまり、悲しむことはとても複雑で、その感情が遅れてやってきたり、凍ったように固まってしまうこともあります。両方のケースとも、解決することなく長年悲しみを引きずることで起こります。残念なことに、これはうつ病に繋がる確率が非常に高いのです。では、怒りについてもう一度話を戻してみましょう。
答えのない問いに陥ってしまう
誰かを亡くすと、自分自身にたくさん問いかけてしまう傾向があります。その中でも、自虐は特に頻繁的に起こり、そこには怒りも存在します。例を挙げると、「なんでお父さんが死ななければいけなかったのだろう。まだ若かったのになんですぐに亡くなってしまったんだろう。」などの問いがあります。
このような考えは固定され、あなたの心にとりついてしまうでしょう。亡くなったことから抜け出せず、何かを責めたり、問いの答えを探そうとするのは怒りや悲しみのループの一部なのです。
過敏症
悲しみにおける怒りの段階は激しい過敏症と関係する傾向があります。予期せぬ刺激やニュース、出来事が急にあなたに影響を及ぼすことになり、ネガティブな気持ちで埋め尽くされて破滅してしまうのです。
人格や気性の変化
また、怒りはあなたを変えてしまうことがあるというのも覚えておいてください。自分が嫌いだったような人、自分がなりたくなかったような人など、まるで違う人格に変えてしまいます。
同時に、やる気を失うこともあります。今まで熱中していたことに興味が湧かなくなったり、忍耐力や好奇心、他人との繋がりを失ってしまいます。最も悲惨なのは、苦しみが自分自身だけに集中させてしまい、共感が持てなくなることでしょう。
無関心、肉体的痛み、そしてうつ病
さらに、この類の怒りは心身に影響を及ぼします。なので、頭痛や胃痛を患ったり、肉体的、および精神的な疲労、不眠症、感染症のリスクなど様々な危機にさらされることがあります。また、軽度のうつ病を患うこともあり、放っておくと重いうつに発展してしまうこともあります。
怒りを乗り切る方法
怒りが危険なのは、それがあなたを有害な行動に導いてしまう恐れがあるからです。飲酒やギャンブルなど、誰かを失った痛みを忘れさせてくれるものに走ってしまうことがあります。
ですので、この段階を乗り切り、癒す方法はセラピーを受けることです。また、単にその段階を切り抜けるだけでなく、あなたの人生をもう一度コントロールできるよう助けてくれるでしょう。では、その詳細について見ていきましょう。
怒りの段階を乗り切るための方法
- セラピーを受ける前には、まず他に何も症状がないかメディカルチェックを受けておきましょう。
- セラピーに行く場合は、以下のようなことも試みてみましょう。
- まずは認知の再構築です。これはあなたの限界や不合理な考えを識別するのに利用できます。これを行うことで、感情を導き、解放感が生まれるので、痛みを和らげてくれるものが見つけやすくなります。
このようなセラピーはあくまで一部で、その治療方法はあなたのニーズによって異なります。また、すぐによくなると期待しないようにしましょう。これは長期的な治療プロセスでセラピストと患者の間には強い信頼関係が必要なのです。
しかし、あまり心配しすぎないようにしてください。このようなセラピーで治療に成功する確率は非常に高いと言われているのです。また、大切な人を亡くした後のプロセスについて書かれた本を読むのも良いアイデアです。もし苦しんでいるのならぜひ試してみましょう。
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