アルコール依存症の心理的治療

06 12月, 2019
今回は、アルコール依存症に対する効果的な心理的治療法について説明します。 禁酒または制限された飲酒に焦点を当て、選択される治療法は患者によって異なります。

アルコール依存症の心理的治療のほとんどは、認知行動モデルを基盤としています。このモデルは、アルコール依存症を自己治療によって克服する強化メカニズムとして扱います。アルコール依存症が病気であると仮定する従来のアプローチに代わる方法を提供しているのです。

アルコール依存症に対する心理的治療の目的は、アルコールへの関心を減らすことです。同時に、他の活動に対する興味を高め、長期的な適応機能の維持を可能にします。

患者、個人のリソース、および家庭環境によって、アルコール問題を解決できるようにトレーニングします。専門家はこれを「コントロール可能な飲酒」と呼んでいます。

現在、アルコールの心理的治療にはニつの主要な方法があります。一つは完全な禁欲を達成することに焦点を当てています。もう一つは、安全でコントロールされた範囲内で飲酒することです。以下でそれぞれについてご説明します。

行動モデルは、アルコール消費に関連する行動を変えることを目的としています。このアプローチは、問題の責任を個人に直接課します。変化できるかどうかは、自分にかかっているのです。

アルコール依存症 心理的治療

こちらもご参考に:
アルコール依存症の神経生物学

禁酒を目的としたアルコール依存症の心理的治療

社会的スキルまたは自制訓練

専門家は、適切な対人スキルや個人スキルを欠く患者にこの治療法を使用する傾向があります。また、アルコールを使用しないと感情を制御できない人を助ける良い方法です。これを実施することで、ストレスの多い社会的状況でアルコールを消費が減ることが証明されました。

Monti 及びその他(2002)によるマニュアルでは、患者と支援グループの両方に社会的戦略を​​提供します。これらにより、患者はアルコールを飲む機会を避けることが可能になります。

コミュニティ強化アプローチ

このアプローチは、アルコール消費に関連するライフスタイルを変えることを目的としています。問題解決、家族行動療法、社会的カウンセリング、および求職訓練などのテクニックが含まれます。また、飲酒のコントロールにおいても活用することができます。

行動カップル療法

これは、強化メカニズムとしてアルコールの消費を減少させ最終的に禁欲させることを目的としています。カップルが一緒に満足のいく活動に従事することを勧めます。いかなる種類の飲酒も伴わないアクティビティの方が良いでしょう。

シッソンとアズリンのプログラムが良い例です。これは、アルコール中毒のパートナーに対処するスキルを教えることを目的としています。身体的虐待の可能性を低下させ、飲酒を減らし、パートナーに治療を求めるように奨励する方法を教えます。

嫌悪療法

この治療法の目的は、アルコールに対する欲求を軽減または排除することです。さまざまな刺激や画像を使用します。アルコールの特性(色、匂いなど)に対する否定的な反応を条件付けるのです。

また、さまざまな有害な刺激ツールを利用します。1929年にカンタロヴィッ​​チが使用した古典的な電気ショックから、化学ツールまたは単なる視覚化まで様々な方法があります。

この治療法の一例は、1970年にカウテーラが提案した潜在的感作アプローチです。

再発防止

再発防止において最も有名なのは、G・アラン・マラットです。行動を変える責任は、アルコール依存に苦しむ本人にあると考えます。さらに、行動を変えられた後も、それを維持する責任があります。

ハイリスクの状況では問題に対処するための戦略を強化する必要があることを考慮しなくてはなりません。

ご存知でしたか?:
アルコール依存症と習慣の違い

通常の飲酒レベルを目指す治療

専門家は、身体的な問題を抱えておらず、完全に飲酒をやめたくない場合にこの治療法を採用します。最も代表的なプログラムは、Sobell and Sobell(ソベル&ソベル)プログラムと呼ばれています。

このプログラムは、問題のある飲酒者を慢性的な飲酒から遠ざけることを目的としています。簡単な手助けだけで、自分で管理出来るようにすることを目標とします。当事者ははセラピストが教える多くの戦略を自分自身で実践しなくてはなりません。

このプログラムを行う飲酒者は若く、教育レベルが高い傾向があります。仕事をしており、アルコールが抜けた後もそこまで深刻な事態には陥りません。5年から10年アルコール依存で苦しんでおり、社会的および経済的資源の面では、一般の人々と大差ありません。つまり、あまり多くの問題に直面することなく、生活に重要な変化をもたらすことができる状態にあります。

アルコール依存症 心理療法

Sobell and Sobellプログラムは4週間かかり、専門家が外来で管理します。患者が診療所で行う作業はそれほど集中的ではありませんが、多くの宿題を伴います。最終的には、患者が自分で行えるようにします。

Sobell and Sobellプログラムのガイドライン

このプログラムではいくつかのことが提案されています。例えば、1日あたり純粋なアルコールを30ml以上消費してはいけません。また、1週間に3日以上飲んではいけません。この規則に従えば、アルコールに対する許容度は低くなります。また、リスクの高い状況では絶対に飲まないでください。1時間に1杯以上飲まないでください。もう1つの重要なアドバイスは、飲むことを決めてから実際に飲むまでに少なくとも20分待つことです。

このプログラムでは、問題解決と再発防止のトレーニングが非常に重要です。患者がアルコールを摂取する生活の中で状況を識別するのに役立ちます。その後、学習した戦略を使用して状況に対処します。

結論

今回ご紹介したアルコール依存症の治療の目的は、患者が代替対処戦略を学ぶことです。これらの戦略は、アルコールを飲む衝動にブレーキをかけるのに役立つはずです。飲酒を促す人に「ノー」と言える社会的なテクニックもその一つです。アルコール依存者が問題を効率的に解決する新しい方法を学ぶことに重点を置いています。

こういった治療により、アルコール中毒を断ち、新しいスタートをきるサポートをすることを目指します。その過程は容易ではありませんが、問題に直面しても解決する方法を身につけられる可能性があります。

今日、アルコール依存症の心理療法、特に制御された飲酒に焦点を当てたものは非常に重要です。問題や感情に対処する方法としてアルコールを摂取する若者が大幅に増加したためです。

大きな目標は、これらの若者が病的な飲酒者になるのを防ぐことです。代わりに、アルコールを摂取せずに人生にプラスをもたらす効果的な方法を学ぶことが大切です。

  • Vallejo, P, M.A. (2016). Manual de Terapia de Conducta. Editorial Dykinson-Psicología. Tomo I y II