不安を抱える人に言ってはならない言葉とは?
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不安を抱える人にどんな言葉をかけるべきなのか、私たちにはわからない場合が多いですよね。まずはアドバイスしようとするのではなく、共感を見せてみてはいかがでしょう?親密さや理解しようとする心を持つことがいつも良いスタートを切らせてくれます。
不安を抱える人には何と声をかけるべきなのでしょうか?あなたの大切な人がパニック発作を起こしそうになっていたらどう反応すべきなのでしょう?人々は急いで「落ち着いて」と伝え、心配いらないと声をかけます。しかしそう言った言葉は、彼らにとって全くの逆効果として働いてしまうかもしれません。心からその人のことを気にかけていたとしてもです。
不安は、自分自身で自由にコントロールできるようなものではありません。なぜなら、不安を抱える脳は正常な脳とは異なっているからです。オンとオフを切り替えるボタンもありません。実はそのメカニズムはそれよりもっと繊細であり、したがって上記のようなアドバイスはかえって相手を追い込み、不快にさせるだけなのです。
アルバート・エリスは自著『性格は変えられない、それでも人生は変えられる–エリス博士のセルフセラピー』のなかで、不安とは精神的苦痛の一形態である、と指摘しています。ここで興味深いのが、不安をコントロールするためにはこれを阻害しようとするのではなく、その存在を受け入れることがはじめの一歩となるという点です。なぜなら情緒的な痛みは人間のあり方の別の側面であり、誰も逃れることができないものだからです。
したがって、不安に苛まれている人に直面しても、リラックスするように伝えたり、それほど考えすぎるな、心配するな、などと声をかけるのはやめてください。特に、不安など気のせいだ、本物ではない、などと言ってはいけません。こういった言葉はコミュニケーションの妨げとなるだけなので、彼らに一体何が起こっているのか、正確な説明を聞けなくなってしまいます。
不安を感じている人に「心配しないで」と言ってはいけない
不安に苛まれている人は、心から平静を取り戻したいと思っています。彼らがやりたいことが何かあるとすれば、それはお腹の内側で感じている痛みを止めることでしょう。筋肉の緊張状態や頻脈を感じ続けたい人などいませんよね。コントロールが難しい不穏な思考が入り乱れている状態は良い気分であるとは言えません。そのため、この心理状態を経験している人々はしばしば、自分は心臓発作を起こしそうになっているのではないか、と感じてしまいます。もしくは、気を失ってしまうかのように感じてしまうのです。
したがって、不安を感じている人に心配するなと伝えることは、溺れている人に水から逃れろと言っているようなものなのです。不安を感じてしまうのは彼らにとってどうしようもないことであり、彼らはもっと確かなサポートを必要としています。ここで頭に入れておかねばならないのが、不安は警告なしに現れることが多い、という点です。つまり、困難な状況やストレス下に追いやられなくても不安は生じ得ます。
実は、不安という悪夢はもっとも無害で予想もしていなかったような状況下で現れます。そしてそれが起こった時に、彼らのそばにいる人が「何も心配いらない」と強調してしまうことが極めて多いのです。「全てはうまくいっているのに、自分自身を追い詰めているだけだ」などと伝えてしまいますが、皆さんもお分かりの通り、このような助言は状況を悪化させるだけです。
助言ではなく、思いやりを
不安を抱えている人には「心配するな」とは言わないでください。また、リラックスしなよ、起きてコーヒーの匂いを嗅いでごらん、などの言葉も不適切です。これらをしてはならないのには、あるシンプルな理由があります。それは、不安に囚われた脳は、注意を払えている時のようには助言を聞くことができないためです。この状態の脳は命令や提案、意義深い助言などを処理することができません。もしアドバイスの言葉を述べてしまったとしても、自らの助言の無力さにすぐに気づくでしょう。不安を抱えている人物が期待しているものがあるとすれば、それはあなたの思いやりです。
何の言葉も発さないことが、時には最善策となります。彼らにとっては誰かがそばにいてくれて、必要な時に頼っても良いのだ、と分からせてくれるだけで十分なのです。そうすればすぐに適切な戦略を見つけるためのチャンスが訪れるでしょう。
しかし、時には相手にとって灯台の光のような存在になってあげることが一番です。彼らが潮の干満や危機、嵐などに襲われる前に、バランスを整える堤防のような存在になりましょう。
パリのChemin de Ronde大学の精神薬理学科によって行われた研究では、不安に陥った人の脳はコルチゾール、アドレナリン、そしてノルエピネフリンのコントロール化にある、と指摘しています。彼らによると、このような状態では思考が難しくなるため、こういった状況下ではどんな助言もほとんど意味がないのです。
不安を抱えている人には何と声をかけるべき?
不安状態の人に言ってあげるべきことについて考えているなら、その答えはシンプルです。言葉は減らし、行動を増やすことです。意義深いアドバイスをするよりも、相手を観察し、近くにいてあげましょう。彼らが何に苦しんでいるのか理解しようとしてみてください。特に、不安には様々なタイプがあることを理解しましょう。そのため、ある人には適切なものが別の人には不適切な場合があるのです。
したがって、ベストなのは「私に何かしてあげられることはある?」や「あなたが今ストレスを抱えているのはわかっています、自分でもコントロールできていないようですね。一緒に深呼吸してみましょう」などといった言葉をかけてあげることです。時には、穏やかで安心できるような存在が近くにいてくれるだけで十分な場合もあります。そしてしばらく経ってから助けを求めるのを手伝ってあげられるかもしれませんが、その間、どうすれば相手に愛情や共感を与えられるか学んでいきましょう。一見難しそうに見えますが、意外と簡単なことかもしれませんよ。
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- Millan, M. J. (2003). The neurobiology and control of anxious states. Progress in Neurobiology. Elsevier Ltd. https://doi.org/10.1016/S0301-0082(03)00087-X