言語の心理学
コミュニケーションの大切さについて、よく考えてみることはどれくらいあるでしょうか?言語能力が落ちると、認知的、感情的、そして行動にまで影響がでてきます。ですから、色々な分野から言語を研究し、理解を深めることが大切です。その分野の一つが、言語の心理学、心理言語学です。
この記事では、心理言語学の分野を探り、どのように心理学と異なるのか、何を研究するのか、その研究によって何が可能になるのかを紹介します。
コミュニケーションはコミュニティーにつながる。すなわち、理解、親密さ、相互の尊重につながるのである。
―ロロ・メイ―
言語の心理学とは?
最初に、心理言語学とは、心理学と言語学の2つの学問からなっています。心理学は人間の考え、感情、行動に関する学問で、言語学とは言語とその表現に関する学問です。
どちらの学問も人間の言語を研究しますが、ただ単に両者を足したものが心理言語学ということではありません。2つの学問からの学説とアプローチを取り入れ、新しい事柄についても研究します。
ジェィコブ・ロバート・カンターは心理言語学の父であり、著書「文法の主観的心理学」の中で、心理言語学という言葉を初めて使った人物です。しかし専門家の間でこの用語がよく使われ始めたのは、N.H.プロンコの「言語と心理言語学:レビュー」という記事が発表されてからのことです。
心理言語学とは、人間がどの様にして言語を身につけ、理解し、使用するのか研究する学問です。また、言語に関する病気や問題も研究し、脳が言語情報をプロセスする際に起こる、認知メカニズムを重視します。
心理言語学では、言語に影響を与える心理学と神経学の要素を研究します。理論的であり実験的な学問なのです。
心理言語学が他の学問とどう違うのか?
言語の心理学は、言語へのアプローチの仕方が他の学問と異なります。つまり、心理言語学は下記の要素からなっています。
- どの様に言語が使われているかの研究:心理言語学は知識の使い方、またそれに関する心理学的なプロセスを重要視します。
- 行動:心理言語学は、知識が、言語の生産そして言語的表現の理解力に適用されるプロセスを評価します。
- 行動のプロセス:言語的本能を行動に移すことにも焦点をあてています。
他の学問も言語を研究しますが、これらとは違った方向からの研究です。例えば、社会言語学は言語現象と社会文化の関係についての学問です。言語学そのものは、言語の源、進化、言葉の構成を学ぶ分野です。
言語と心理言語学は同じものだと思われがちです。ザビアー・フリアス・コンデの「心理言語学への入門」はその違いをわかりやすく説明しています。下記はその違いがわかりやすいリストです。
- 理解:言語学では音素が区別される音の最小単位であり、心理言語学では、それは音節である。
- 生産:言語学での研究対象は、ネイティブスピーカーであり、一方で心理言語学での研究対象は、リアルスピーカーである。
- 学問の目的:言語学では、綺麗な、正式で観念的な言語の使用が目的であるが、心理言語学では言語の運用の原理の研究が目的である。
基本はわかっていただけたでしょうか。ではどのようにして心理言語学者が研究を行うのでしょうか?一般的には2つのアプローチがあります。
- 観察:研究者が言語行動のテストの結果、または関連する日常の状況からデータを収集し、研究する方法
- 実験:科学的な方法を使用し、心理言語学の研究者が実験を行う方法
他の第二世代の学問のように、心理言語学は慎重に研究手順を踏んで、研究を進めます。その結果、この分野の実験は、大変よくデザインされて、実行されていることがわかります。心理言語学の研究は常に新しい問いを生み、さらなる研究に繋がっています。このようにとても活発に研究が進む学問なのです。
心理言語の能力
心理言語の能力は、人がコミュニケーションをとる際に利用するもので、人間のコミュニケーションには欠かせないものです。それは、
- 言語
- 考え
- 文書
- 聴覚理解
- 継続的聴覚記憶
- 視覚理解
- 口語表現
- 運動表現
- 視覚的統合
- 聴覚統合
- 継続的視覚運動記憶
研究者はこれらの心理言語のスキルを、認知心理学の研究パラダイムである、唯心論者、機能主義者、計算理論、制限理論に基づいて査定します。
まとめると、心理言語学が近代の学問です。この学問のおかげで、徐々に複雑な人間の言葉の理解に近づいてきました。人間がどの様に言語を生み出し、体系化して、コミュニケーションツールとして使用しているのか、日々ますます理解が深まっています。
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- Frías Conde, X. (2002). Introducción a la psicolingüística. Revista Phiologica Romanica.