実質的性科学とは?
スペインでは、実質的性科学と呼ばれる科学の分野があります。「性科学」については聞いたことがあるかもしれませんが、実質的性科学は特別です。性を研究するのが、実質的性科学です。「セックス」ではなく、「性」という言葉を使うところが大事な違いです。
実質的性科学は、私達が「する」セックス(性的関係)や私達の「もつ」性別(性器)のみを研究するのではありません。人間の状態の一部としての性を研究します。
「性」は、男性と女性の生殖器をさすものであり、男性として、あるいは女性として生き、そして感じる、無限の方法でもあります。実質的性科学は、性を多様性のある因子として考えるのです。
なぜ「実質的性科学」なのか?
性科学は、他の分野が特化したものではなく一つの分野として認識されるようになってきています。それでも尚、性科学の知識は断片的で、分散しています。
より広いトピックのひとつとして性が研究されていることからも、全体的な研究ではなく断片化がみられます。性の心理学、性的健康、性的人間学などとして話題になるため、ひとつの分野として捉えられることが難しいのです。
性科学は、ベットで行うことの研究と関連付けられがちです。しかし、性科学はそれよりもっと包括的なものです。当然セックスも含まれますが、性のある人間としてのすべてが含まれるのです。
実質的性科学は、断片化した知識を一つにまとめ、構造化された分野にするという目的からこの名前がつけられました。性科学は、形容詞としてあるいは全体の一部として「性的」という言葉を使う他の分野とは違います。そうではなく性科学は、「性」を研究するのです。
実質的性科学の良い所
エピステーメー、歴史、方法論、特別なツールを伴うユニークな素性により、性科学は、問題をより効果的に、全体的に解決することを可能にします。科学としての性科学を再構築する利点には、次のようなものがあげられます。
- より訓練された専門家:実質的性科学は、特定の面に関する狭い理解ではなく、人間の性に関する広い知識をもった専門家を生み出します。
- 多様性:分化された素性として、また多様性のソースとして性を研究することで、性的多様性のあらゆる面の理解ができるようになります。またそれと同時に、より全体的に問題を解決することを可能にします。
- 学究的参加:議論を一つの分野にまとめることにより、実質的性科学は大学の専攻になりやすくなるでしょう。性科学の知識を一つの分野にまとめることは、目的を果たすための動機づけにもなります。
- 社会への貢献:セックスや性に関し、人々がもつ疑問を明らかにするでしょう。バージン、欲望、誘惑、実践などタブーとされているコンセプトへの偏見やステレオタイプもなくなるでしょう。実質的性科学の専門家が質の高い性教育を行うことにより、これが可能になります。
全体的アプローチ
この新しい性科学は、性的多様性や人間の性に関するあらゆる面をうまく表現します。それだけでなく、性やそれに伴う全てに関する議論を統合します。
さいごに、「実質的」という言葉は、性科学が何であるか、どうあるべきかを掘り起こすことを意味します。性科学が必要な認識や重要性を得ることができれば、それはすでに実質的であるため、その称号を与える必要はなくなるでしょう。