軽躁病:その症状と、双極性障害との関係性

軽躁病の人々は決して休息を取りません。常に何かやるべきことがあり、考えるべきことがあるのです。彼らの内的世界は常に過活動状態で、感情は完全な多幸感と苛立ちとの間で乱暴に揺れ動きます。記事を読み進めてもっと詳しく見ていきましょう。
軽躁病:その症状と、双極性障害との関係性
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

多幸感、多動、無尽蔵の活力、頭が高速回転していて眠れないあるいは休息できない、過度の感情移入、喋り過ぎるなど…。軽躁病は、非常に特殊なタイプの双極性障害に見られる重要な特徴です。しかし、軽躁状態にある人々に機能的な問題は一切ないことが多く、必ずしも自分で気づくことができるようなものではないため、診断が難しい場合があります。

事実、適切な診断を受けたり、長年「自分は他人とは違う」という感覚の元になっていたこの病気に正しい名前を付けられるようになったりするまでに何十年間もかかってしまうこともあるのです。軽躁病を抱える人々の世界は、健常者のものと比べてずっと早いペースで進みます。心身を休めるための時間や余裕はほとんどありません。強烈な感情がごちゃ混ぜに存在し、それがその人の心をかき乱す場合も多いです。そのせいで、この病気に苦しむ人の多くが自己嫌悪に陥ってしまいます。

幸運なことに現在では医師たちの認識も深まり、軽躁病を双極II型障害の一部として正しく診断できるようになってきています。しかしながら、これが適切に特定されなかった場合、あるいは多動性障害やうつ病などと混同されてしまった場合、その結果は深刻なものとなり得ます。

それでは、この病気についてもう少し詳しく学んでいきましょう。

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軽躁病とは?どんな症状が出る?

人間なら誰しもが気分の変動を経験します。そのことに疑いの余地はありません。ある時は活力とポジティブな感情でいっぱいだったのに、その次の瞬間には世界が陰鬱で救いようのないものに見えてしまう、ということがあり得るのです。では、どこにその境界線があるのでしょう?健常な気分の浮き沈みと特別な治療が必要なものとの違いは何なのでしょうか?

その違いは、感情状態と行動が日常生活に与えるインパクトの中に存在します。これが複雑なものとなってしまうのは、本当は病的な状況や行動を「正常と見なして」しまう人が多いためです。また、人々は特定の行動を様々なパーソナリティタイプと結びつけて考える傾向があり、例えば誰かがある異質な振る舞いを見せたら、それはその人のパーソナリティのせいだろう、と信じてしまうのです。

こういった傾向は軽躁病の人々によく見られます。一つ例をご覧ください。例えばあなたの兄や親友、あるいはパートナーが絶対に仕事を休まない、あるいは夜眠らずにランニングに出かけてしまうとしましょう。それを見てあなたは「アイツはいつもものすごく元気だなぁ」と思うだけで大して気に留めない可能性が非常に高いのです。しかし、その人物の行動が実は精神疾患の存在を指し示しているという場合があるのです。これについてもっと掘り下げていきましょう。

軽躁病

これは気持ちが溢れ出さんばかりのエネルギーに満ちた気分状態と強烈な感情、外向性、クリエイティビティなどを特徴とする病状です。また、感受性が高まることも多く、他者の感情との結びつきが強まったりそれをまるで自分の感情であるかのように感じ取るようになります。

軽躁病を英語では「hypomania」と言いますが、前半部分「hypo」の役割を押さえておくことが大切です。「下、以下、過少」などの意味を持つこの接頭辞が存在することで、単なる「mania」との差異を示しています。この場合、hypomanicな状態(軽躁病エピソード)とはmanicなエピソード(躁病エピソード)よりも重度ではないということです。つまり、軽躁病が精神崩壊に繋がることはありませんし、軽躁病患者の行動は日常生活に支障をきたすものではないことがほとんどなのです。

また、軽躁病は双極II型障害の一段階として表出する傾向が強いという事実も強調しておく必要があります。

軽躁病の症状

前述の通り、軽躁病の人々は多くの場合問題なく日常生活をこなせています。しかしこれはどういうことなのでしょう?このことが意味するのは、軽躁病を抱える人は仕事で好パフォーマンスを見せられるだけでなく、しばしば創造性に長けている上、長時間働き続けることもできるということです。

以下に、その症状をいくつか挙げています。

  • 軽度の多幸感。
  • 多弁。軽躁病の人々は喋り過ぎる傾向があり、一つの考えから次の考えへと即座に飛躍する。
  • 創造性が非常に高い場合が多い。
  • 考えが次々に浮かぶ(観念奔逸)。
  • 衝動性。
  • 肥大した自尊心。
  • あまり眠らない。
  • 目標達成や社会的な成功(より多くの友人や恋人、性行為を持つ、仕事で成功する)を目指した活動。
  • 注意力散漫。
軽躁病:その症状と、双極性障害との関係性

正確な診断の重要性

先ほどお伝えした通り、軽躁病は双極II型障害の一段階です。それにもかかわらず、診断は容易ではありません。軽躁病の人々が医師の助けを求めるのは、ほとんどの場合その多動性や多幸感が理由ではなく、抑うつ状態に陥ってから病院に行く決意をすることの方が多いです。

その結果、うつ状態にだけ照準を絞った治療を受けることになり得ます。以上のことから専門家は、抑うつ症状を訴えて病院を訪れる人全員に対して軽躁病の兆候がないかどうかを確認するよう医療従事者たちに推奨しています。

さらに、マドリードにあるプエルタ・デ・イエーロ大学病院の精神科病棟で行われた調査などが、軽躁病の早期発見を容易にするような適切なツールの使用を推奨しています。

DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル)では、診断基準を以下のように明示しました。

  • 少なくとも4日間続く、活力の異常な増大を伴う気分の高まり。
  • 以下の症状のうち3つあるいは4つ以上が長時間に渡って持続する。
    • 自尊心の肥大、または誇大。
    • 睡眠欲求の減少(2、3時間眠っただけでよく休めたと感じる)。
    • 多弁。
    • 観念奔逸。
    • 注意力散漫。
    • 目標志向性の、集中的で強迫的なほどの活動。
    • 無責任な行動。
  • 軽躁病として分類されるためには、症状は特定の物質あるいは医薬品の作用によるものであってはならない。

治療

軽躁病は、これ自体が一つの精神障害というわけではありません。そうではなく、上述の通り、これは双極II型障害の表出なのです。また、精神異常の中でも、利用可能な治療リソースが特に多いものであるという興味深い一面もあります。

特定の処方薬は、軽躁病を治療してくれるのみならず、付随するうつ症状に対しても効果を発揮するのです。また、心理療法も、感情や思考の管理法や人間関係の改善法といった新たな能力を発達させる上で非常に大切です。

いずれのケースでも、適切な診断を受けることが何よりも重要となります。


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