「今日一日だけは」:自尊心を高めるテクニック
自尊心を高めるための方法を探し始めると、複数の異なるアプローチが見つかることが多いと思います。結局のところ、自尊心ほど人間心理学の世界で重要なことなどほとんど存在しないのです。 例えばアブラハム・マズローなどは、自尊心を人間の基本的な欲求であると定義しました。そのため、自尊心を育むという工程を経ないでいると、自己達成の域に到達したり真の幸福を見つけることなど不可能だというのです。
事実、不安障害やうつ病、恋愛問題、その他の日常的な苦しみなどを含む人間の抱える問題の多くが、結果として自尊心が極度に低い状態を作り出しています。長年に渡って多くの心理学分野や学派がこのトピックを研究してきました。その結果、自尊心を修復し、向上させるのに役立つ詳細な知識やリソースがもたらされています。
私たちが自尊心という精神的側面をおろそかにし続けてしまうのには、二つの主な理由があります。 一般的に、その一つ目の原因は幼少期にあるとされています。どんな育て方をされたか、親たちは正当に扱ってくれて、自分は価値ある存在だと感じさせてくれたか、安心感を抱かせてくれたか、そして自分には人生の成功を手にする能力があると思わせてくれたかどうかに左右されるということです。
そして二つ目の理由の方は特に心に留めておく必要があります。自尊心とは安定した概念ではありません。つまり、一度獲得すれば一生涯に渡って持ち続けられるというわけではないということです。自尊心という頭脳的・精神的建造物は、非常に変化しやすいものなのです。たった一度の恋愛における失敗や悪夢のような経験、そしてその経験の誤った解釈の仕方が、すぐさま自尊心を引き下げてしまいます。
自尊心は庭園と同じで、ほぼ毎日ケアとメンテナンスをしなければなりません。雑草を取り除いたり良い種をまいたり、花々に水をやるために日々たくさん働く必要があるのです。これを頭に入れた上で、こういったセルフケアを促進するためのシンプルなテクニックを見ていきたいと思います。
自尊心を高めるためのテクニック
多くの人が、他人からどう思われているのかを心配しています。時には、他人から受け入れてもらえるように、そして批判されるのを避けるために自らのパーソナリティの何らかの側面を隠さねばならないほどその懸念が強まることがあります。さらに、共に暮らしている人物がナルシシストだというシンプルな事実のせいで自尊心が奪われることになる場合すらあるのです。
このケースでは、その相手(ナルシシスティックな親や恋人など)からの愛情や承認を得ようとすることに時間をかけ過ぎてしまい、自尊心はゆっくりとすり減ってなくなっていきます。そのトラウマから抜け出し、自己を尊重する感覚を建て直すことができるように、このような有毒な人物との間に距離を保つことが大切です。
先ほど述べたように、これは毎日のように行わねばならない取り組みです。ヒューストン大学(テキサス)でクロッカー・J、パーク・L・Eによって行われた研究プロジェクト(2004年)のなかでは、私たちは自らの自尊心を強めるのに役立つ源泉を探しながら暮らしているということが指摘されています。その源泉というのは新たな相手との感情的結びつきかもしれませんし、仲の良い友人グループや良い仕事などかもしれません。
しかし、このように外の世界に源泉を求めるのは限界があり、得られる成果はほぼ皆無です。そうではなく、自尊心を高めるための最善の方法とは、その努力を心の中の方に向けることなのです。自分の内側から見つかるものを探しているのに外を眺め続けていても意味はありません。
「今日一日だけは」 − 内側の自己と和解するのに有効なメンタルエクササイズ
自尊心の正反対にあるのが、自己破壊です。私たちのアイデンティティや精神の健全性にとって非常に有害なこの自己破壊行為は通常、ネガティブでダメージを生み出すような心の声として現れ出ます。例えば、「どれだけ頑張っても私は決してこれを上手くやれるようにはならないだろう」、「失敗することがわかっているのだから、他の何かに挑戦する価値などない」、「私は周りの人ほど決断力も能力もない、きっと私はあの人たちを失望させてしまうだろう」などです。
やがて、私たちの脳がシンプルにこのような考え方に慣れてしまう時が訪れます。これこそ、修正し、無効にし、壊さねばならない魔のサイクルなのです。そのための方法の一つに、自尊心を高めるための「今日一日だけ」テクニックを使用するというものがあります。以下がその内容です。
- 人生に対する姿勢を改めるための、シンプルな、けれど強力な一連の考え方を用います。そうすることで自己との和解が実現し始めて潜在能力が目覚め、時間をかけて自ら培ってきたネガティブな考え方を変えることができます。
- これらの考え方や決意は、ネガティブな心の声を切り替えるのに役立ちます。
- 自尊心に含まれる異なる側面には毎日取り組まねばなりません。
以下は、皆さんにも取り入れていただけるであろう決意表明の具体例です。
- 今日一日だけは、自分自身に対して優しくなってみよう。私は勇敢だということ、そして私は自分のことを適切に愛すべきだということを思い出そう。
- 今日一日だけは、自分自身に目標を課してみよう。その目標を叶え、私は有能で勇敢で才能のある人物だということを思い出そう。
- 今日は、自分を傷つける物事や疑念、不幸を生み出す元になる物事からは距離を置こう。今日一日だけは、私を笑顔にさせてくれて自尊心を高めてくれるような好きなことをして過ごすことを自分自身に許可してあげよう。
自尊心を向上させる最善の方法は、恐怖や不安から己を解き放つこと
不安定な感覚や失敗することへの強い恐怖、あるいは他人の期待に応えられないことへの強い恐怖、そして自分の能力への疑念という常について回る苦悩などといった感情とともに暮らしている人は、自分自身のことをあらゆる形で傷つけています。これは非常に個人的な思考プロセスですので、本人にしか変えることはできません。そのため、このような習慣を打ち破りたいのであれば、こういったネガティブ思考に自分自身で気づけるようになっていく必要があるのです。
精神を鍛え、感情を調和させ、自分は有能であると感じさせてくれるような行動をし、そして人生を豊かにしてくれる人々、潜在能力を発揮する手助けをしてくれるような人々と触れ合わねばなりません。自尊心を高めるための「今日一日だけ」テクニックをぜひ覚えてみてください。シンプルですが効果的なこの手法で、ついには人生を変えることができるかもしれませんよ。
引用された全ての情報源は、品質、信頼性、時代性、および妥当性を確保するために、私たちのチームによって綿密に審査されました。この記事の参考文献は、学術的または科学的に正確で信頼性があると考えられています。
- Crocker, J., & Park, L. E. (2004, May). The costly pursuit of self-esteem. Psychological Bulletin. https://doi.org/10.1037/0033-2909.130.3.392