オンライン学習:親、子ども、教師の間の混乱
現時点でも、生活の多くの部分がまだ自粛状態です。まるで家庭が世界の全てであるかのような状況ですが、実際にそうなのです。各家庭には異なる生活様式があり、それぞれのパーソナリティも異なり、人間関係も少しずつ違っています。
整理整頓ができておらず、決まったスケジュールなしで生活している家族もいるでしょう。食事の時間が夜遅かったり、習い事の場所へ子どもを迎えに行くのを忘れてしまう親などもいるかもしれません。また一方で、もっとお堅い家庭もあります。例えば、食事のメニューを厳しく決めていたり、睡眠や食べる時間をいつも同じ時間にするなど、きっちりしている家庭です。言葉を変えれば、彼らはルーティーンを非常に重視しているということになります。
しかしながら、孤立しているのは家族だけではありません。一人暮らしをしている人々も同じです。もちろん、それぞれ変化の仕方には違いがあるでしょう。ただいずれにしても、子どもがいようといまいと、そして独り身だろうとパートナーがいようと、コロナウイルスによってもたらされたこの異常事態は、地球上で私たちが経験するあらゆるものと同じように、非常に主観的なものなのです。
外出自粛によってライフスタイルの変更を余儀なくされたのは年配者だけではありません。実は、若い世代も大きく打撃を受けているのです。おそらく皆さんもご存知だと思いますが、若者たちは学校へ通えなくなり、日々オンライン学習を行なっています。しかし、オンライン学習への移行はいったい何を意味しており、どんな影響が起こることが考えられるのでしょうか?
学校を始めよう!
大人たちはいつもテクノロジーについて、このせいで体を動かす機会が減り、コミュニケーション不足になるのだと文句を言います。さらに、子どもが自ら一人きりでいようとする主な理由もテクノロジーである、と考えるでしょう。そんな中、それほどまでに批判されてきたリソースこそが、現在ではコミュニケーションの最前線の手段となっています。コンピューターを使えば、実際に外出することなく自宅から外の世界に行けるようにさえなるのです。つまり、基本的に物理的には家にいながらも、心は様々な場所へと飛び出せるということです。
大学教授である私にとって、実際に現地へ行くことなく海外や別の地方で教える際には、いつもバーチュアリティが役立っています。最近ではこのタイプの指導の方が10倍ほど重要性を増していると言っても過言ではありません。現在、バーチャル授業は学年度を継続するためになくてはならない存在なのです。
オンライン学習:小学生の場合
今や、オンライン学習はこれまでとは全く異なるトピックとなっています。もちろんこれが素晴らしいリソースであることは間違いありません。しかし、オンライン学習のせいで親同士の間に、あるいは親とその子どもたちとの間、夫婦間、そして教師同士の間にまで複数の対立構造が生まれています。外出自粛だけでも十分にストレスフルだというのに!
一つには、一人か二人、あるいはそれ以上の数の子どもがいて、それぞれ別の学年だという家族の存在が挙げられます。そして子どもの数が増えれば増えるほど、問題の複雑さも増していくのです。これは第一に、全ての家庭に一台以上のコンピューターがあるわけではない、という事実から起こります。
コンピューターを使用させる優先順位を決められず、親同士が互いに対してイライラしてしまいます。また、異なるコースを同時間帯に組まれるなど、スケジュール面に関して教師への怒りが湧いてくる場合もあるでしょう。最初の問題に関しては、実は子どもたちにまで影響が及びます。誰が初めにコンピューターを使うべきかについて、親と子どもとの間で口論が起きる事態にまで発展しかねないのです。そしてこれはまた、兄弟間のケンカにもつながります。簡単に言えば、数多くの問題が引き起こされているということです。
それぞれの受講しているコースがもう少しうまく調整されていればありがたいのですが、そんなことは滅多に見られません。学年に応じて別の時間帯に授業スケジュールが組まれているのが理想的なのは確かです。
もう一つ、些細ながらも問題なのが、ほとんどの親たちがコンピューターなしで育ってきた世代だという点です。つまり、親がテクノロジーに精通しているわけではないのです。事実、子どもたちにネットサーフィンのやり方を教わっている親たちも多数存在しています。
このようにして、多くの子どもたちが、自分には親よりも優位に立てるほどの権限があるのだと感じるのです。なぜなら親たちはWordやExcelやFacebookの使い方しか知らず、Instagramですら理解していないのですから。そしてもちろん、こういった子どもたちの行動に対して親からも何らかの反応が起こります。
しかし、その対立はさらに進んで行くでしょう。平常時であれば、普通の学校はオンライン授業のシステムを整備する必要などありません。それがパンデミックの結果、全ての授業をカバーできるよう何とか方法を模索しなければならなくなったのです。
これまでは親たちを満足させていた学校も突然、混沌としたフェーズに入り込もうとしています。その原因は知識を伝えるためにウェブを利用しなくてはならなくなったことだけではなく、何もわからない手探りの状態で子どもたちのための授業の編成を試みなければならないためでもあるのです。
オンライン学習の試練
今や、これまで誰にも知られていなかったような学習用プラットフォームが多数存在している時代です。全ての子どもたち、そしてその母親たちがそれらについて知っていると言ってもいいでしょう。例としては、Jitsi、Webinar、Sakai、Moodle、EdModo、そしてもちろん、あらゆるシステムの王者であるZoomなどがあげられます。
これは一貫したシステムです。全員が学校でそれぞれのシステムの使い方を学ばなければなりません。そのあと、それを自分の親にも教えます。そこから知識を得た親がまた同じことを子どもに対しても行います。このように、全体がチェーンのような感じなのです。これにより、個人間の問題が出てくるであろうことは言うまでもありません!
さらに、生徒たちは科目の内容のみならず、これらの教育プラットフォームの使い方までをも学ばなければなりません。加えて、親がそれらについて理解するのを助け、時には教師にまで使い方を教えなければならない場合もあります!そしてそれだけに留まらず、子どもたちは作文の課題をそのプラットフォームにアップロードしなければならないのです。
これでは、何をすべきなのか理解している人が一人もいないような状況に至ってしまいます。子どもたちは宿題をアップロードする方法を知りません。もちろん、親たちにもわかりません。結果として教師に助けを求めますが、彼らもまたプラットフォームの使い方をマスターできていないのです。
さらに、全ての子どもたちがこれらのオンラインプラットフォームを使用しているので、サイトが落ちてしまう場合があります。あまりにも多くの人が同時に一つのウェブサイトを使用しているのです。時間通りにあるプロジェクトをアップロードする必要がある時に、そのページがロードされない状況を思い浮かべてみてください。かなりストレスフルですよね?
そしてもちろん、生徒たちがまだ子どもであるという事実を忘れないようにしましょう。子どもは常に授業に集中してくれるとは限りません。飛び跳ねたり、親とおしゃべりをしたり、カーペットにおもちゃを投げつけて遊んだり、テレビを見たがったりするものです。しかしそんな中で親たちもまた自身の用事があって忙しいはずです。これでは間違いなく家の中が混沌としてしまうでしょう。特に親が疲れ切っている場合はなおさらです。
少しの間立ち止まって
どうか、少しの間お休みを挟んでください!この混沌を止められないままでいると、それが当たり前になってしまいます。状況をコントロールし、それぞれに指示を与え、あらゆるルールを定める役目を担っているのは親であるあなたです。
他の全員と同じように、あなたも全力を尽くしていると思います。しかしもし課題を完成させることができないのであれば、教師や学校側もあなたの家庭の事情を理解してくれるはずです。今は非常時ですので、何があったとしてもそれは誰のせいでもないのです。
また、あなたは今二つのストレスフルな状況を経験しているのだということを忘れないでください。一つ目は、外出自粛が強いられた中での生活から生まれるストレス、二つ目は子どものオンライン学習をうまく進めなくてはならないことへのストレスです。したがって、そのストレスを減少させることは、学習プロセスを改善するために時間を先延ばしにしたり遅らせたりすることを意味します。ここで私が言いたいのは、各教科の内容を学習することについてではなくむしろ、この新たなオンライン学習システムに慣れていくことが大切だということです。
自分がさもインターネットの達人であるかのように振る舞うのはやめましょう。前述の通りあなたは全力を尽くしていますし、日々学びを深め続けられるのですから。
最後に、私たち全員がこの歴史的状況から学びを得なくてはなりません。辛抱強さを持ち、自分自身に無理を強いるのはやめましょう。自分の気持ちも子どもたちの気持ちも楽になるよう、チェックを怠らないようにしてください。