夜間に悪化する不安感の原因と対処法について
不安感は、多くの人を苦しめています。実はその原因や発現の仕方はかなり多様で、中には午前中はより不安感が高まってしまうという人々や、一日中それが続くという人もいます。しかし、夜間の不安感に悩まされている人々にとっては、日中も同じように不安を感じていることが一般的です。その不安感は真夜中になるといっそう深刻になります。
頭脳は自身の考えに思いを巡らせ、緊張状態を作り出してしまいがちです。そのため、不安が休息を阻害するという現象は非常に多く見られます。そしてこれにより日中の不安感も増殖してしまい、悪循環が生み出されるのです。
“不安というのは揺り椅子のようなものだ。やるべき課題を人に与えはするが、それをこなしても大きく前進するということはない”
-ジョディ・ピコー-
不安
「不安」という用語は、何らかの病気の症状やパーソナリティ特性、あるいは不安障害に言及する際に用いられます。そうは言っても、本来不安という感情は潜在的な脅威に直面した際に人間を警戒状態に保つための自然のメカニズムです。この働きにより人は集中力を発揮することができ、目の前に立ち塞がるどんな障害にも立ち向かっていけるようになります。
しかし私たちは、何らかの刺激からもたらされる本当の脅威とは不釣り合いな、適応目的としては役に立たない不安感を感じることがあります。つまり、ジャングルの中でライオンと対面している時に感じる適応目的の不安と、日常生活の中で精神的に参ってしまった時に感じる非適応目的の不安とは全くの別物だということです。そして後者の不安が頻繁に生じるようだと心理的・生理学的な変調が引き起こされ、それが深刻な健康問題に繋がる恐れがあります。
不安感がもたらす主な症状は、神経過敏、筋肉の緊張、恐怖心、心拍数の上昇、呼吸亢進、発汗、震え、めまい、疲労感などです。また、集中しづらい、心配ばかりしてしまう、なかなか眠りにつけない、認知レベル・行動レベルでストレスフルな状況を避けようとする、といった症状も見られます。
夜間の不安症状
夜間に不安症状が起こる原因は様々で、人によってその感じ方も感じる条件も異なります。実は、専門家もまだ夜間の不安症状の原因についてははっきりとした見解を持てていません。
しかしながら、一日の終わりの不安感の度合いを上昇させてしまう要因はいくつか存在します。
- ストレス。生活の中の一つあるいは二つ以上の側面(私生活や仕事など)でストレスを感じていることが原因で不安感を感じてしまう、という人がたくさんいます。そのため、日中に出くわすストレッサーが強烈あるいは頻繁だった場合、そのことについて一日の終わりになっても考え続けるので、不安の度合いも上昇してしまうのです。
- 注意散漫。日中の活動を終えた後は、ほとんどの人が忙しさから解放されます。そして時間が余っているために、脳があらゆることについて考え過ぎてしまうのです。一方で日中は忙しく過ごしているので、それがある種のシェルターになってネガティブ思考から守ってくれています。
- 何らかの事象とベッドタイムとの関連付け。不安感は連想によって起こります。つまり、不安をもたらす思考や不安症状を特定の場面と結びつけて考えることで、実際に不安が生じてしまうのです。したがって一度か二度夜間に不安を感じたことがあるだけで、それが再び起こったらどうしようという不安が増大してしまいます。しかし残念ながら、そんな風に危惧しても再発の可能性が高まるだけです。その結果夜になると自動的に不安を感じるようになります。
- 身体的反応。中には、夜になると身体的な痛みやそれ以外の類の苦痛を感じる人々がいます。これにより、気を紛らわしてくれるものが何もない状態も相まって、そういった痛みをさらにネガティブなものだと解釈するようになるため、不安感の増大につながり、世界と自分を切り離して睡眠に入るのが難しくなってしまうのです。
夜間の不安感を阻止するには
その他のタイプの不安と同様に、一番大切なのは自分は問題を抱えているのだと自覚し、変化を目指す姿勢を保ち続けることです。少しの努力と適切なツールがあれば、不安感を克服するのは難しいことではありません。しかし、どんなやり方に従えば良いのか確信が持てない場合には専門家に助けを求めるのが良いでしょう。
とはいえ、自分一人で挑戦することももちろん可能です。以下のシンプルなガイドラインに従ってみてください。必要なのはやる気と忍耐力だけです。
夜間の不安に対処するためのガイドライン
- 身体運動は、心理的にも精神的にもたくさんのメリットをもたらしてくれます。特に、身体を動かすことによってセロトニンなどの気分を良くしてくれる神経伝達物質が放出されるので、心の状態が改善されることが期待できます。さらに、運動にはストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールを減らす効果もあるため、午前中あるいは午後の早い時間にエクササイズを行い、不安感を減らしましょう。
- 健康的な習慣は、どんなものであれ気分の改善に役立ちます。食生活もその一つです。これに関しては、一日の最初の食事と最後の食事が特に重要だと考えられています。
- カフェインやニコチンを摂取すると生理学的システムが変調し、心拍数が増え、睡眠サイクルにも影響が出て結果的に健康に支障が出てしまいます。そのため、夜間の不安感に悩まされている人がこれらの物質を摂取するのは望ましくありません。特に夕方やそれ以降は控えましょう。
- 夜間の不安症状は、睡眠問題も組み合わされて悪循環を生みます。従って、適切な睡眠衛生を保つことが重要です。
- 睡眠衛生を良好なものにするためには、部屋を清潔で快適に保つ必要があります。寝室は睡眠や休息以外の目的では使用しないようにして、ベッドに入る前には何らかの慣習的行為を行いましょう。眠りは神聖なものですので、入眠の際には携帯電話やタブレット、あるいはコンピューターには触れないでください。これらのデバイスのスクリーンはコルチゾール値を変容させるので、ストレスや不眠に繋がってしまいます。
夜間の不安感に関するまとめ
最後になりますが、夜間の不安症状は非常に痛ましく、厄介なものになり得ます。しかし、上記のような一連のシンプルなタスクを実行するか、専門家にサポートしてもらうことで、思っているより早く解決することが可能です。自分の問題を認識し、自分自身をケアしてあげることが特に重要になります。