薬物使用による認知機能低下

精神作用物質の摂取は、認知プロセスに短期的にも長期的にも悪影響を及ぼします。
薬物使用による認知機能低下
Sergio De Dios González

によってレビューと承認されています。 心理学者 Sergio De Dios González.

によって書かれた Francisco Pérez

最後の更新: 09 3月, 2024

薬物使用に関連する認知機能低下はあるのでしょうか。答えは明白です。あります。遅かれ早かれ、薬物使用は脳へ何らかの影響を及ぼします。そして、この影響は脳には常に悪影響を及ぼすのです。

研究によると、毎年2万人以上の人が過度のアルコール摂取により若くして死亡していると言われています。アルコールも薬物の一つだということを忘れてはいけません。しかし、アルコールは社会的に標準化されたものです。それでは、他の薬物はどうでしょうか。

毎年、スペインでは4000人以上の人々が薬物誘発性精神病のために入院しています。そして、その数字は増え続けています。薬物撲滅のための国家戦略行動計画によると、過去10年間で薬物誘発性精神病の入院患者数は103%増加しました。頻繁な薬物使用は多大なダメージを与えるという研究は多く存在します。そして、薬物使用の影響は不可逆的なものが多いようです。それは治療介入がどんなに早くてもそうなのです。

なぜ人々は薬物を使用するのか?

これは難しい質問です。実際に、すべてを一つの原因に結びつけることは不可能です。薬物使用は社会的に問題視されていますが、詳細はあまり知られていないのが事実です。薬物や薬物使用については頻繁に取り上げられるものの、ただ話しているだけのことが多いのです。人々は適当なことばかり繰り返し、間違った情報だけが拡散してしまうのです。

また、「薬物」と聞くと、人々は「若者」と「犯罪」という2つの言葉を思い浮かべます。このような言葉を連想するということは、最初から薬物に関しての情報が偏っていることを意味します。薬物使用は深刻な健康上の問題を引き起こします。それだけでなく、多くの犯罪や家庭内の問題の根源でもあるのです。

薬物使用者

頻繁な薬物使用や薬物乱用は間違いなく体に影響を与えます。一方で、このような娯楽的な薬物はその乱用を可能にした社会から切り離すことが難しいのです。また、社会は薬物使用を簡単にするだけでなく促進する役割も持ち、私たちの社会は薬物使用を標準化しているのです。薬物使用の悪影響だけでなく、その人の避けようとしている問題が薬物使用によって悪化することは話題には上がりません。

薬物使用がどのように認知機能の低下を引き起こす?

薬物使用は脳構造に形態学的変化をもたらすことがあります。この変化で次のような影響が見られます。

  • 脳の体積の減少
  • 灰白質の割合の減少
  • 脳脊髄液の減少
  • 大脳皮質腔と両側脳室の拡張
  • 神経細胞数の減少
  • 神経細胞死
  • 脳萎縮

同時に、薬物使用はシナプス結合回路の代謝の再プログラム化に悪影響をもたらします。代謝の再プログラム化は、薬物耐性、薬物禁断、休薬の結果起こります。

これらの過程は全ての薬物中毒に共通しています。これはドーパミン、セロトニン、およびノルアドレナリンを制御するシステムの生化学的適応を起こします。この神経伝達物質は、グルタミン酸受容体と相互作用します。そして、海馬と側坐核における長期的な強化及び制御メカニズムを遮断することもあります。

また、脳血管新生での変化、血管収縮、脳実質内及び脳下垂体での出血、ならびに脳梗塞が引き起こされることもあります。薬物の脳への影響は重大なのです。

薬物使用による脳損傷の研究は?

薬物により脳へダメージが起こることは分かりましたが、薬物使用は認知能力にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

記憶に関しては、アルコールと大麻をコカインや他の薬物より多く使用する人は、短期記憶に低下が認められました。使用期間が長ければ長いほど、作業記憶への影響が大きくなります。

薬物中毒の女性

 

遂行機能では、大麻やアルコールを長期にわたり使用していた患者はコミュニケーション能力の低下が認められました。これは、自動反応の制御能力が低下しているということです。

また、薬物使用者は転換性注意機能も低下していることが分かっています。これは、逐次的で論理的な思考をする際、より長い時間を要するということです。しかし、アルコールと大麻使用者は他の側面では軽度の低下のみが認められます。例えば、言語的な流暢性は保たれます。

ご覧いただいたように、薬物使用は神経心理学的及び神経解剖学的変化を引き起こします。これらの変化は、認知面、動機面、行動面、感情面において機能的な神経適応を誘導します。

その結果、薬物使用者の日常的な心理社会的機能や生活の質に影響を与えます。

これは、持続性注意、集中力、情報統合機能、情報処理、計画の遂行などに影響を与えます。これに加え、生物心理社会的には、このような変化は非常に重要な意味があるのです。薬物中毒についてより客観的で表意的な視点で考えると、このような変化は薬物使用を支える変数として機能しているのです。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。