言語コミュニケーションにおける対人距離

25 2月, 2020
ジェスチャーは、非言語コミュニケーションの一形態であり、言葉を補完します。この記事ではさまざまなタイプの対面コミュニケーションをご紹介します。

テクノロジーの発達により、直接面と向かって会話をする機会は減っていますが、コミュニケーションの良い手段を確立することは依然として重要とされています。ジェスチャーは、非常に重要なサイレントコミュニケーターであるためです。実際、言葉より多くのことを伝える場合もあります。また、言葉では不十分であったものを補う役目もあります。

非言語コミュニケーションは、メッセージの送信において決定的です。それでは、効果的なコミュニケーションを確立するための最も適切な対人距離はどれぐらいなのでしょうか?

ジェスチャー

ジェスチャーは、非言語的コミュニケーションの一部です。ジェスチャーはコミュニケーションにおいて基本的なものであり、それを定義する最も一般的な用語はボディーランゲージです。これは、人間が近くの人間と理解し合うために使用します。

ジェスチャーは、心を表す表現力豊かな動きです。心で感じたことが体の動きを通じて外部へ発せられます。無意識か意図的かに関わらずコミニケーションツールとして役に立ちます。

言語コミュニケーション 対人距離

一般にジェスチャーは、正確な測定を行うのが困難とされています。ほとんど知覚できない微小運動の相乗効果を正確に検証するのは不可能だからです。

対面ジェスチャー

人間の相互作用におけるジェスチャーは、解読されるべき何かを表現および実証する象徴的な動きです。つまり、ジェスチャーは解釈の対象です。各対話者は、自分の信念に従ってコミュニケーションパートナーのジェスチャーを読み取ります。また、その価値、個人的な意味、互いの知識、相互作用、発生する状況に応じてそれは変化します。

顔、体幹、四肢のジェスチャーなど身体の動きに応じたノンバーバル言語はメッセージを送信するための自発的な要素になります。

聞き手の多くは相手の話に耳を傾けるだけでなく、話を聞きながら観察しています。話すときにその相手を見ることでより多くの情報が入ってきます。しかし、ほとんど意識はしておらず、顔を合わせてコミュニケーションをとる必要があることに気付いていません。すべての次元でメッセージを理解するには、直接会ってコミニケーションをとるのがベストでしょう。

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対人距離

ジェスチャー、表現、発話のトーン、抑揚、リズム、およびボリューム、体の動きなどはすべて、コミュニケーター間の限られたスペース内で発生します。このようなスペースは、2人以上の人とのコミュニケーションを確立するのに必要な距離です。

1966年、アメリカの文化人類学者のエドワード・T・ホールが、パーソナルスペースを4つのゾーンに分類しました。

距離の種類

  • 密接距離。これは、ごく親しい人に許される空間です。恋人や小さな子供と親などがこれにあたるでしょう。このスペースは、相手の体を抱きしめたり触ることができる距離で、感情的に自分を表現することを可能にします。
  • 個体距離。密接距離と同様距離は近いですが、対話者が個人的な境界を維持する距離です。手を伸ばせば届く範囲で、友人や職場の中でも比較的親しい間柄の距離です。また、共通の目標や関心を持っている2人の距離でもあります。お互いの表情が読み取れるだけでなく、触れ合おうと思えばすぐそれができる距離です。
  • 社会距離。このタイプの距離では物理的な接触はありません。手が届かず、相手に触れることはできませんが、問題なく会話ができる距離です。視線が唯一お互いをつなげるツールとなります。自分を守るスペースがあり、最終的な侵入や対話者からの干渉を避けます。これは、交渉や販売取引において最適な距離です。一般的に、両者の間には、机、窓、テーブルなどお互いに距離をもたせるオブジェクトが存在します。昔ながらの精神医学のカウンセリング治療は、このような距離を保ち机に向かい合って行われています。
  • 公共距離。複数の相手を見渡すことのできる距離です。親密さとパーソナライズは存在せず、直接的な関係はありません。関係性としては”個人対大勢”、”1対複数”であり、たとえば教授が生徒たちに講義を行ったり、講演会で舞台から参加者へ向けてスピーチする場合がこれにあたります。

距離について

個体距離において、会話をする相手とのスペースは約45cm~1.2mだと言われています。これは、標準のドアまたは廊下の幅とほぼ同じです。

建物を建てる際、ライフスタイルと人間の相互作用を考慮して作られます。家の設計をする際は、家族の要件に応じて様々なデザインが施されます。例えば最近のドアは、外部ドアが平均81cmであるのに対して内部ドアは広さが66cmと狭く作られています。一方、20世紀前半のフランスでは、外部ドアよりも内部ドアの方が広く作られていました。

ドアの例からも見られるように、非人間的な関係の時代に生きているにもかかわらず、個人的、社会的、公共の距離が縮まっている傾向があります。以前は、隣人、友人、家族とより密接な相互作用があったにもかかわらず、その距離はある一定程度、保たれていました。また、身体的接触は現在ほど受け入れられていませんでした。ドアと同様に、当時のパーソナルスペースの距離は今日よりも遠かったのです。

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関係における距離

この距離は、社会文化的文脈に依存します。各文化によってその許容されるパーソナルスペースも異なってきます。ある文化では、他の文化の親密な距離に相当する距離が、社会距離であったりします。これは、異なる文化を持った人々の間では誤解を招きます。何かを強調する唯一の方法が物理的な接触である場合はなおさらです。

対人距離 コミュニケーション

パーソナルスペースと社会文化的背景

1976年のポール・ワツラウィックによる実験は上記で述べた文化によるパーソナルスペースの違いを証明しています。彼は、リオデジャネイロ空港で調査を行いました。この空港には低い手すりのあるテラスがあり、多くの人がここから落ちると言う事故がありました。注目すべき事は、落ちた人のほとんどが主にヨーロッパ出身であったことです。

このテラスは、見送りや出迎えをするロビーにありました。研究者は、ブラジル人がヨーロッパの人と会話するとき、ヨーロッパの人は少し後ろに下がる行動に出たことを実証しました。これは、彼らが人と関わる際に適切なパーソナルスペースを確保しようとしたためです。ブラジルのパーソナルスペースは小さく、おそらく彼らの社会距離はヨーロッパ人の親密な距離に相当すると言われています。

ヨーロッパの人が距離を保とうと後方に歩き始めたとき、ブラジル人は彼ら自身の社会距離を求めて再び近づきます。その結果、ヨーロッパ出身の人が手すりから落ちると言う事故が起きたのです。

異文化によるパーソナルスペース以外にも個人によって異なるパーソナルスペースが存在します。他人とのコミュニケーションを確立するとき、それぞれ皆自分のペースを持っています。たとえば、標準距離とされる66cmは、話している相手の顔をしっかりと見ることができる距離です。また、自身の周辺視野を通して体とジェスチャーを観察することができます。

結論

ジェスチャーを習得するのは困難です。言葉であれば、表現したいことを意識的に習得できますが、ジェスチャーにおいては不可能です。

したがって、言語を超えたコミニケーションと距離に注意する必要があります。特に、自分がよく使うジェスチャーについて考慮し改善することで、相手との快適なコミニケーションを確立できるようになります。