ストレスとパーソナルスペース − プライバシーを侵害されるとき

2019年5月23日

パーソナルスペースはプライベートで個人的で特別な領域であり、誰もそこに侵入したりその権利を主張することはできません。そして、パーソナルスペースとは物理的なものだけを指す用語ではありません。その他の刺激がこの領域に侵入してくることにも関わりがあります。例えば、他人から伝わってくる騒音や感情、そして過多な情報などです。また、一人でいる時間やプライベートな時間を常に妨げるような要因もここに含まれます。

時に、世の中には厚皮動物のような人生を送る人々がいます。彼らは他人のスペースを侵す巨大なゾウのように振る舞い、他人の権利を踏みつけ、プライバシーを侵害するのです。この効果は職場で多く起こります。生産性に影響が出るのは明らかですし、深刻なストレスや苦痛をも生み出すのです。

人々は、守られていると感じたり、ストレスを軽減させたり、集中力を保ったりするための安全なパーソナルスペースを必要としているのです。

ここに無視することのできない一つの側面があります。パーソナルスペースは他人の物理的存在に耐え得る領域に言及しているだけではありません。他人の声や呼吸、あるいは体温が私たちを不快な気分にさせ、脅威さえ感じさせるのです。パーソナルスペースは、あらゆる心理的な感覚刺激によって破裂する可能性のある風船のようなものなのです。

言い換えると、家具や装飾、照明の不足、あるいは特定の環境の匂いなどもストレスの元となってしまう恐れがあるということです。同様に、休息を取ることが出来なかったり常に監視あるいはコントロールされる状況にいると、それもまた明白なプライバシーの侵害となります。

ストレスとパーソナルスペース

プライバシーとストレス

アンとポールは親になったばかりで、いつも当惑しています。彼らが感じているストレスは赤ちゃんに関わるものだけではなく、周囲の環境や家族、友人、そして同僚たちとも関わりがああります。二人が病院にいた時から、彼らのパーソナルスペースは愛する人々によって犯され続けているのです。興奮と関心でいっぱいの人々がひっきりなしに赤ちゃんに会いに訪れ、赤ちゃんを抱っこしたり二人に育児の秘訣を何千回も言い聞かせます。

この小さな一例は、私たちが自分自身で守る必要のあるパーソナルスペースに、どのように周囲の環境が侵入し得るかを示すサンプルです。苦痛を経験するためにわざわざ人で溢れたエレベーターに乗り込む必要はありません。最も深刻な”侵害”はしばしば、一番自分たちに身近な人々から起こるのです。ここで、どうリミットを設ければ良いのか知りたいという幅広いニーズが生まれてきたのです。

したがって、心理学者たちは診察中にこの現実をかなりよく目にします。彼らはプライバシーを守ることが出来ないまま半生を過ごしてきたと感じている人々と対面します。個人的な境界線の管理が正常にできない人やその能力がない人は、かなりの感情的エネルギーを使わねばならず、心にくぼみができてしまい、心理的構造の最深部を完全に弱らせてしまいます。

自分のパーソナルスペースを定義づけし、境界を定め、保護することが生き抜くためにとても重要なカギとなることを考慮に入れてください。また、これは自己を認識するためのエクササイズでもあり、全ての人に境界線があるのだと理解することが出来ます。私たちは誰にも越えさせられない一線があります。なぜならそこが自尊心が見つかる場所だからです。そこで調和が保たれ、そこにアイデンティティが存在するのです。

プライバシーを侵害されるとき

自分自身を気遣い、パーソナルスペースを守りましょう

アメリカのカリフォルニア工科大学の神経学者であるラルフ・アドルフとダニエル・P・ケネディは私たちの脳にはどこに自分のパーソナルスペースの境界線が存在するかを伝える役割を持つ構造が存在することを発見しました。この構造は扁桃体で、恐怖や生存本能などと関わりのある領域です。

この発見は本質的なことを明らかにしています。脳は各個人の個人的な境界線を計測することができるという点です。それはまるで何かがあるいは誰かが私たちを困らせようとしてきたときに警報を鳴らすアラームのようです。何かがプライバシーを侵害しているときあるいは健康状態への脅威となるほどに規範を犯しているときに役立つものです。この境界線はその人によって異なります。最小限の刺激だけで当惑したり簡単にストレスを感じてしまう人もいれば、もっと忍耐力の強い人もいるのです。

プロクセミクスは、空間使用における相互関係の効果を研究する学問です。この学問は、不安を感じさせる一番の要因の一つが毎日の生活で混雑した場所に行かねばならないことだと気づかせてくれます。物理的スペースが狭められてしまうだけでなく、何よりもあまりにもたくさんの刺激や圧力や接触を受け止めねばならないのです。そのせいでフィルターすら設けることができません。全てが入り込んでくるのを許さねばならず、あらゆるものに取り囲まれてしまうのです。

プロクセミクス

自分自身の保護者になりましょう

私たちは個人的な境界線を管理する能力を身につけなければなりません。私たちのプライバシーを脅かし、ストレスの強力な原因となる外部の力から物理的・心理的距離を置く方法を学ばねばならないのです。時に同僚たちがそのスペースに侵入してきます。その他のとてもうるさい、あまりにもカラフルな、小さな、あるいは耐え難い環境が問題となる場合もあります。

その他のケースでは、NOと言うことや、耐えられることと耐えられないことをはっきりさせることによってパーソナルスペースを守ることができるでしょう。どこに個人的な境界線があるのか明確に示すことができれば他人との関わり合いがもっとうまくできるようになるでしょう。そうすることによってのみ、もっと尊敬に満ちて生産性の高い、そして何より健康的な社交環境を作り上げることができるのです。