脳の機能基盤:グリア細胞の役割って?

脳は、複数のタイプの細胞から成る複雑な器官です。その中でも特に重要なのがグリア細胞で、この細胞が脳機能のカギを握っています。
脳の機能基盤:グリア細胞の役割って?

最後の更新: 09 4月, 2021

脳は、肉体にあるものの中で最も重要な器官の一つです。脳が存在するからこそ、私たちは話したり動いたり感じたり、そして考えたりすることができます。その重大な機能性ゆえ、近年の研究の多くは、脳を構成する様々なパーツとその働き方を理解するために脳に焦点を当てています。

初めの頃は、脳活動を担っている細胞はニューロン(神経細胞)のみだと信じられていました。しかし最近の研究では、グリア細胞(神経膠細胞)が脳機能において果たす役割が強調されています。今のところわかっているのは、グリア細胞が情報伝達プロセスにおいて欠かすことのできない要素だということです。近年の研究で示されている通り、主要な脳疾患のいくつかはニューロンの損傷のみに関わっているわけではありません。グリア細胞もまた、脳疾患の影響で衰退してしまうのです。

脳の機能基盤 グリア細胞 役割

グリア細胞って何?

この小さな細胞の重要性については、ある一つの例を見るだけで十分ご理解いただけるでしょう。多様な実験が行われた中、いくつかのニューロンを培養皿の中で隔離して保存するという試みが何度かなされましたが、ニューロンはいつも2、3日で死んでしまいました。しかしその後、グリア細胞からの抽出物を培養皿に加えると、ニューロンの生き死にをコントロールできるということがわかったのです。このことは、ニューロンの生存におけるグリア細胞の役割の重大性を強調していました。

研究で明らかになったように、私たちは莫大な量のグリア細胞、またの名をneuroglia(ニューログリア)を持っています。この別名は、「接着剤」という意味を持つギリシャ語の言葉「glia(グリア)」と、脳に関連する用語である「neuro(ニューロ)」が組み合わされてできたものです。つまり、グリア細胞は脳内の接着剤なのです。

昔から、グリア細胞は脳内において非常に受動的な役割しかしていないと考えられてきました。代謝や脳構造に関わる働きや、ニューロンへの栄養補給しか担っていないと思われてきたのです。しかし近年の研究により、この細胞が脳内で生じる多様なプロセスでもっとたくさんの働きをしていることが示されています。グリア細胞は、他の種類のニューロンの機能を有効にするという役割を担うことが多いようです。

グリア細胞の機能

グリア細胞には複数の機能がありますが、そのうちのいくつかを見ていきましょう。

  • 絶縁。グリア細胞はミエリンという、ニューロンの絶縁に欠かせない物質を生成します。この高密度の物質は軸索を覆うような作りになっており、細胞を守って情報伝達を高速かつ効率的に行えるようにします。また、ニューロンの運ぶメッセージが混ざり合ってしまうのを予防しているほか、学習においても重要な役割を果たしています。研究によれば、学習プロセスが生じている間、私たちの脳内のミエリン量は増加しているそうです。
  • 栄養源。お分かりのように、脳内のニューロンは大量のエネルギーを消費します。ある程度の栄養分の蓄えはありますが、それは脳活動を数分間以上維持するのに十分な量ではありません。しかしここで、グリア細胞がニューロンに足りていない栄養分やエネルギーを補給しているのです。これは、血液から得られるグルコースなどのエネルギー分子の取り組みによって行われます。
  • 洗浄。グリア細胞はニューロン機能に関連する廃棄物を取り除くのにも一役買っており、その働きには2通りあります。1つ目は、シナプス間隙に残留している神経伝達物質の一部を取り除くというものです。グリア細胞はそれらを変形させて元のニューロンに戻し、新しい神経伝達物質用の原料として再利用できるようにします。2つ目は、死んだニューロンの残留物を排除するという役割です。これは特に、神経系に損傷がある際に重要になります。さらに、この洗浄化活動によってこれらの残余物が生じさせていた化学的・物理的作用が軽減されます。
  • シナプス強化。グリア細胞が存在することで、トロンボスポンジンというシナプスを刺激してシナプスでの活動を高める物質が放出されます。

グリア細胞の種類

グリア細胞にはいくつかの種類があり、それぞれが異なる機能を担っています。ニューロンや脳機能において重要な役割を果たしている点は全種類共通です。

グリア細胞の分類法は様々ですが、そのうちの一つがニューロンシステム内における位置に着目して分類するというものがです。今回はこの分類法に則って各種類を説明していきます。

中枢神経系

中枢神経系に存在するグリア細胞の1種類目は、アストロサイトです。これは大きな星型のグリア細胞で、その大きさゆえに「マクログリア(大きなグリア細胞の意)」とも呼ばれます。脳内で最も豊富に存在するグリア細胞で、位置に関しては、脳内のシナプス結合を取り囲んでいます。

その主な機能の一つが、細胞間の境界を決定し、脳の防御バリアの形成に貢献することです。また、シナプスの形成・機能や神経発生、筋緊張の調整をコントロールしています。一方で、ニューロンの栄養補給にも関わっています。

2種類目は希突起膠細胞で、これは中枢神経系のマクログリアです。ニューロンの軸索にミエリンを供給することで、細胞絶縁に重要な役割を担っています。この細胞は1つ以上のニューロンでミエリンを形成する能力があり、場合によっては損傷した軸索を再生させるのも助けています。

3種類目は、脳の清掃プロセスを助けるミクログリア(小膠細胞)というグリア細胞です。この細胞は、神経系内に損傷があると反応し、細胞残余物を清掃して脳の炎症反応を引き起こします。

脳 機能基盤 グリア細胞 役割

末梢神経系(PNS)

末梢神経系では、シュワン細胞というマクログリアが優勢です。シュワン細胞は、さらに3つのサブタイプに分けることができます。1つ目はミエリン形成シュワン細胞で、その名の通り軸索でのミエリン形成を行いますが、同時にこれができるのは1つの軸索に対してのみです。脳に損傷があると、このグリア細胞が清掃や、再生環境を整える役割を果たします。

2つ目は、非ミエリンシュワン細胞と呼ばれるミエリンを形成しないタイプのシュワン細胞です。この細胞が軸索とどう情報を伝達し合うのかについては今のところわかっていません。それでも、このシュワン細胞がミエリン化されていない軸索(痛みの感覚を生み出すのに必須なもの)の機能や維持に欠かせないものであることは研究で示されています。

3つ目は、シナプス周辺のシュワン細胞です。この細胞は神経筋接続を覆っており、神経伝達物質とペプチド類を放出しています。その細胞膜内に位置する受容器により、これらの物質に関連するシグナルが生成が可能になります。また、この細胞はシナプスをコントロールしたり増強することもできます。

簡単に言うと、グリア細胞は神経系に欠かすことのできない部分です。神経細胞をサポートするだけでなく、シナプスの活動や洗浄、栄養の合成といった活動においても役立っています。このため、多発硬化症などの一部の病気の進展にも多大な影響を及ぼしているのです。

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