体はどのように痛みと温度を感じるのか?

2019年11月2日
痛みや温度を感じることができるということは、人間の生存にとってとても重要なことです。一体、わたしたちの体はどのようにして温度や痛みを感じているのでしょうか?どのようにして、脳にこの情報が伝わるのでしょうか?

どうして痛みを感じることができるのか、または熱さや冷たさを感じることができるのか、不思議に思ったことはありませんか?どのようにして人間は生存に必要不可欠なこのスキルを身につけることができたのでしょうか?この記事では、体性感覚システムについて紹介します。このシステムのおかげで、痛みや温度を感じることができます。また、これは体勢や姿勢、動きの理解に必要な固有受容を司るシステムです。

体性感覚システムとは、体の中で最も大きいシステムの一つで、感覚の情報(痛みや温度など)を体や肌から得て、処理します。この受容体は身体中に存在します。そしてこの体性感覚システムには2つのタイプがあります。

  • 皮膚の体性感覚系:肌にある受容体で成り立っています。これは末梢のシステムで、体勢や動きなどの運動感覚に関する情報を受け取る受容体から成っています。この受容体は関節や腱付近に位置します。
  • 有機体性感覚系:これは、骨、筋肉、内臓にある受容体で、体内の感覚に関連するシステムです。
体性感覚

皮膚の体性位感覚系:感覚を理解するための鍵

人間の体がどのように痛みや温度を感じるのかを理解するには、皮膚の体性感覚系がどのような働きをするのかを理解する必要があります。最も敏感な受容体は皮膚にあり、ここで痛みの感覚が生まれます。

皮膚は、体の中でも一番大きい組織です。ですから、一番大きい受容体でもあります。体には、色々な形で受容体が散りばめられています。刺激に対してどれだけ敏感かがそれによって代わります。圧、振動(タッチ)、痛み、そして温度の肌を通じて感じる4つの感覚への敏感さも人それぞれです。

体毛は関係あるのか?

体毛がある肌とない肌には違いがあります。肌のほとんどはある程度の体毛で覆われています。体毛のない部分の肌には、さらに多くの受容体が集結しているため、より敏感です。

その中でも一番敏感なのは唇、性感帯、そして指先です。これらの部分は、受容体が最も多く集結しています。

まだ科学的な証明はされていはいませんが、体毛のある肌は体毛の動きもあるので、振動や、触られることに敏感だとする専門家もいます。

どのような感覚受容体が肌になるのか?

皮膚の受容体は2つのカテゴリーに分けることができます。自由神経終末と被包神経終末です。

自由神経終末とは肌で止まる神経細胞で、おそらく最もシンプルな受容体でしょう。肌中にあり、痛みに敏感な受容体です。他の感覚も受容することができますが、痛みに特化した受容体です。

被包受容体

被包受容体は、肌の受容体の一種で、名前からもわかるように、カプセルに包まれいているため、被包受容体と呼ばれています。これを4つ、または5つのタイプに分ける専門家もいます。下記はその区別です。

パチニ小体:圧力と触る感覚

この受容体は、体毛がない肌に集結していますが、体毛がある肌にも存在します。唇、性感帯、乳腺のあたりに密集しています。パチニ小体は圧力と振動に特に敏感で、痛みと温度にはそれほど反応しません。

ルフィニ終末

これは非常に小さい被包受容体で、自由神経終末と大変よく似ていますが、異なるのは結合組織が覆っているという点です。体毛のある肌に存在し、ゆっくりとした振動に反応します。

マイスナー小体

この受容体は、優しいタッチに敏感な受容体です。体毛のない肌にあり、真皮乳頭に密集しています。

クラウゼ小体

クラウゼ小体は粘膜と皮膚の間に存在します。この細胞は有髄化されておらず、圧力にとても敏感です。体全体で圧力に対して最も低い閾値を持っています。

メルケル触盤

メルケル触盤は、真皮乳頭に存在し、反応が遅い受容体です。また、持続的な刺激、例えば温度の変化などに反応します。

痛みの受容体

体には、適応警報システムが備わっており、痛みと温度を感じることができます。感情的、心理的、社会的な要因も痛みの感覚に影響を及ぼしますが、このおかげで体に害を及ぼすかもしれないことから身を守ることができます。また、薬、偽薬、催眠なども痛みの感覚に影響を及ぼします。

痛みには2種類あります

  • 避けることのできる痛み:この場合は、痛みの原因となることから身を離すことが最良の解決法です。
  • 避けることのできない痛み:これは、末端また中枢で起こる痛みで、避けることができません。

避けることのできない痛みに関して、科学者たちは、痛みに関わる分子の情報があるとしています。痛みを感じると、ダメージをうけた細胞がヒスタミンとプロスタグランディンを放出します。ヒスタミンは、細胞の痛みに関する閾値を下げる働きがあり、プロスタグランディンは、ダメージを受けた細胞がヒスタミンに敏感になるようにし、結果的に、痛みに対する閾値に影響を与えます。このような痛みは、ダメージを受けた組織が関連します。ヒスタミンを抑える薬(抗ヒスタミン薬)や、プロスタグランディンを抑える薬(アスピリンとして知られているアセチルサリチル酸)もあります。

痛みを止めることはできるのか?

中枢的な痛みに関連し、視床に着目した研究では、人間は痛みに順応することができるが、痛みがひどい場合行動にも影響を及ぼすということがわかりました。これは非生産的であり、痛みを完全に取り除くことはできないのかと考える方もいます。では、視床をブロックすることは可能なのでしょうか?

痛みを鎮圧することを鎮痛と呼びますが、感情的また心理的な要素もこの過程に影響を与えます。しかし、脳卒中を経験した方の中には、怪我、または視床の腹側後核が塞がれたことにより、皮膚の感覚が欠如した方もいます。言い換えると、痛みや、圧力などの肌の表面の感覚を失ったということです。

同じように、層内核への怪我は痛みの信号をブロックすることがありますが、皮膚の感覚に影響がでることはありません。背内側核は大脳辺縁系に関連しており、痛みの感情的な要素に介入します。

痛み 温度

温度の感覚

温度の感覚は相対的です。なぜなら、人間には温度に関する完全な情報を受け取る受容体が備わっていないからです。ですから、急な温度変化しか感じ取ることができません。例えば、とても冷たい水から熱いお湯に手をつけた場合などです。

温度に関する受容体には2種類あり、一つは冷たいものを感じる受容体、もう一つは熱いものを感じる受容体です。これらは不均一に身体中に散乱しており、冷たいものを感じる受容体は表皮近くにあり、熱いものを感じる受容体は皮膚から離れた内側に存在します。同じ種類の受容体ですが、位置する場所が異なります。

肌の膨張や収縮などによる膜や受容体の変形により、信号の変換が起こります。膜が変形することにより、ナトリウムの通路にも変化が起こり、もし受容体が近ければ熱さを敏感に感じます。視床にある核で、冷たさや熱さを感じにくくするものは層内核と心室核です。

痛みと温度の感じ方を決めるのは、肌にある小さな受容体と視床の働きによるものだと思うと、なんとも不思議なものです。

これらの機能も、やはり人間が生き延びるために進化した機能なのでしょう。

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