ダメージのとても大きい時間貧困について
時間貧困とは、徐々に、そして目に見える精神的痛みへとつながるような時間の不足のことを指します。不思議の国のアリスの中に出てくる白うさぎが「遅刻だ、遅刻だ、遅刻だ」と繰り返すのが、これを表すのにピッタリの例です。自分のやりたいことをする時間がないという気持ちは多くの人の生活に持続的に存在します。
自分の義務、厳格なルーティン、終わりのないタスク、言い表せないタスクに縛られていませんか? もし、そうであれば、あなたの健康や個人の成長にかかっている制限についてすでに自覚されていることでしょう。人は、自分の周りのことに気づかないほど一つのタイプの現実に焦点を当てすぎています。今やたくさんの扉、世界、機会があるために、人生を楽しめていません。時は金なりではなく、時は生活の一部になり、他人のメリットのために時間を譲ってしまっていることがよくあるのです。
余暇の時間に刻まれる精神的幸福、満足、休息が足りないために、人はウェルビーイングを損なっています。さらに、時があっという間に過ぎ去り夢が奪われるために、私達は存在の意味を失います。物事をもはや自分の肌で経験をすることができなくなります。そして最も重要なことに、大切な人と共有する時間を逃してしまうのです。
時間がないことによる時間貧困の問題
時間が足りないということはなく、関心がないだけだという言葉を聞いたことがない人はいないでしょう。たしかに、これが真実であるケースもあります。しかし、現状は非常に複雑かつ問題になっています。これは掘り下げる価値があるものです。まず、現代社会では、忙しいことは生産的であることを意味すると考えられていますよね。
人はこの概念を早くに学びそれに賛同するようになり、複数のタスクで1日を満たすことで威厳が保たれると心から信じています。多くの物事をすればするほど、より良い人であると考えます。また、怠惰についても注意し、休む時間をとる人は責任を逃れていると言います。これらの考えにより、長年、人間の身体的および精神的健康が過小評価されているのです。
現代には、もうひとつの要素が加わっています。それは、仕事の条件がより複雑になっているということです。テレワークはその一例です。このタイプの仕事には、適切な規則がなく、平均的に負担が大きくなっています。その主な原因は、スケジュールの希薄さと規定労働時間の超過にあります。
これに家族や家事への責任を加えると、時間貧困は圧倒的な事実だと言えます。
罪悪感
私達は起きている時間の大部分を仕事に費やします。そして、残りの時間は買い物、子どもの世話、その他必要不可欠なタスクなど避けられないことに使われます。これを終えると、残るのは疲労と、横になり休みたいという強い欲求だけです。
これを毎日繰り返すと、確実に罪悪感が生まれます。そうしたいと思っているほど大切な人と一緒に時間を過ごせないことに罪悪感を感じるのです。また、この気持ちを自分にも投影するかもしれません。
自分を定義する物事に時間が取れないこと、先延ばしにすることを悔やみます。そして、不幸なことに自尊心や気分も低下します。
ソーシャルネットワークと自分の願う生き方
時間がないことと精神的ストレスとの関係性はテクノロジーの使用に伴い、強くなっています。いつも忙しく、やるべきことがたくさんあっても、ソーシャルネットワークを見る時間を作ります。
バーチャルの世界では、皆が幸せそうです。行きたい場所、やってみたいこと、見つけてみたいもの、遊びたい人などのイメージであふれています。これらのバーチャルウィンドウはやる気を高めることもできますが、多くの場合、落ち込むことになります。それは自分の現実ではないからです。やらなければならないことがあるので、そういった楽しいことをするチャンスが常にあるとは限りませんからね。
時間がないこと=時間貧困
素敵な仕事を持ち給料が良いにもかかわらず、貧しい人がいます。このタイプの貧しさは、精神的そして個人的貧困です。今日の社会では、精神的な惨めさが深く根づいています。考えてみてください。銀行口座に多額のお金があっても、楽しむため、休むため、人と繋がるためにそれを使う時間がなければ、意味はないですよね。
時間がないと幸せが奪われますが、そこで主に奪われるのはあなたの人生です。例えば、日本語には働きすぎで亡くなる過労死という言葉がありますね。この死は、必ずしも心臓発作や脳卒中が原因ではなく、燃え尽き症候群の結果だということに注意が必要です。実際、多くの死は自殺により引き起こされたものです。
豊かな時間のある人生を送るには
時間がないと、メンタルヘルスに負担がかかるため、変化を起こすことが必要です。難しいのは、自分がすべてを担っているとは限らないということです。社会やスケジュールにより、常に仕事とプライベートをうまく両立させることができるとは限りません。
ミズーリ大学のTherese Macan博士が行った研究では、こういった状況で、タイムマネジメント・ストラテジーは必ずしも有用ではないと指摘されています。ストレス解消に一部役立つかもしれませんが、仕事の燃え尽き症候群は消えません。
皆が自分のライフスタイルを真剣に変える必要があります。そこで、次のアイデアを取り入れることが可能です。
- 緊急なものと重要なものを区別する。
- 起きてすぐ、アジェンダの中に余暇や休息の時間を作り、1日の計画を立てる。自分の好きなことをする(あるいは何もしない)時間を最低でも1~2時間作る。
- 人に責任を預けることを学ぶ。
- 1週間の中で家族や友達と共に過ごす時間を作る。
まとめると、以下のような考え方をしてみてください。時間がないことは時間貧困と同等で、このタイプの精神的、存在論的悲しみは徐々にあなたの人生を奪っていくのです。
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- Macan, T. H. (1994). Time Management: Test of a Process Model. Journal of Applied Psychology, 79(3), 381–391. https://doi.org/10.1037/0021-9010.79.3.381
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