問題解決のためのストローマン・プロポーザル法

一時的な、しかし効果的な結論を出す必要がある場合にはいつでも、問題解決のためのストローマン・プロポーザル法を利用してみましょう。これは、1970年代から使われ続けている面白い手法です。
問題解決のためのストローマン・プロポーザル法
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

問題解決のためのストローマン・プロポーザル法は、組織という領域の中で非常に多く用いられるようになってきました。これはアイディアを生み出すための仕組みであり、まず素案を作るところから始まります。この手法を用いることで、チームの人力や潜在的なクリエイティビティ、そして何よりメンバーひとりひとりの能力を最大限に活かすことが可能になるのです。

これは典型的なブレインストーミング手法とは異なるという点に注意しましょう。ここでの目標は、より良いアイディアが浮かぶまでの間に一時的な問題解決法を形成しておくことです。ストローマン・プロポーザル法では、グループ内からたくさんの幅広いアイディアが出てくることが求められます。そしてそれらは元々の素案を練り直すに当たってその他の提案とひとまとめにされたり、却下されたりするのです。

1975年、アメリカ合衆国国防総省が世界で初めてこの手法を採用しました。アメリカ空軍が緊急の行動計画を必要としていたので、その試練に対する早急で一時的な対応法を見つけるためにこの技術が考案されたのです。その後、最初の案で「ストローマン(藁の男)」と呼ばれていたものが「ストーンマン(岩の男)」になり、それから「アイアンマン(鉄の男)」へ変化したという経緯があります。

その目的は、当該の戦略に対する一貫性と連帯をより一層強固にすることでした。

“私たちは子どもたちに対して解決すべき問題よりも記憶すべき回答ばかりを与え過ぎる”

-ロジャー・レヴィン-

問題解決 ストローマン・プロポーザル法

ストローマン・プロポーザル法:シンプルな協力戦略

近年ストローマン・プロポーザル法はその人気をかなり高めていますが、これは有名なコンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーのおかげです。 このグローバル企業は、基本的に問題解決を生業としています。世界中の大企業や各種機関、そして政府までもが彼らの顧客です。

直面している試練に対応するための仕組みとして彼らがこの戦略を利用しているという事実が、その有用性を紐解くための最初の手がかりとなるでしょう。まず第一に、この手法を用いるのは簡単です。また、ストローマン・プロポーザル法を使えば組織のメンバー全員の共同作用を強めることもできます。さらに、より洗練された、より効果的な行動戦略の着実な構築をも促進してくれるのです。

問題解決のためのストローマン・プロポーザル法

ストローマン・プロポーザル法は、どんなグループ設定に対しても有用で効果的な問題解決ツールです。そしてその目的は、予備的な行動計画を素案という形態で組み立て、形作り、設計することです。その後、グループのメンバーたちはもっと効果的な対応策を見つけられるまでこの素案を再検討します。そうすることで、原案がストローマンからアイアンマンへと強化されていくのです。

このブレインストーミングメカニズムの利点

冒頭でお伝えした通り、この記事で取り上げているのは従来のブレインストーミングテクニックとは異なる手法です。 ストローマン・プロポーザル法では、素案から全てが始まります。つまり、そのたたき台を構成している、すでに設計済みの土台部分から始めるということです。そしてその後でメンバー同士のミーティングが行われ、アイディアや批判、提案などが議論されます。常に始まりは素案からです。

この手法には以下のような利点があります。

  • チームの一体感を上げてくれる問題解決アプローチであること。
  • また、各メンバーがそれぞれの能力や創造性を発揮できるようになること。
  • うまく機能しないアイディアを壊すことにより、フィードバックやより良い仮説が生まれやすくなること。
  • 最後に、前回の計画(素案あるいはたたき台)から始めることでブレインストーミングプロセスをより効果的なものにできること。

この手法により、グループ活動の停滞を防ぐことができます。ここではすぐに完璧なプランを見つけ出さねばならないというわけではなく、段階的に前進することが求められます。つまり、ストローマンからストーンマンへ、そしてスチールマンへ、といった具合に進めれば良いのです。

問題解決のためのストローマン・プロポーザル法

ストローマン・プロポーザル法

この手法では、以下のような具体的なステップを踏んでいく必要があります。これらに従うことで、チームのメンバーたちはどんなことが期待できて、どのように進めていくべきなのかがわかるようになるのです。また、どんな提案であっても全員がその背後にある理論について議論し、誤りを明らかにしなければならないことを全メンバーに把握させておく必要があります。

現時点で実現可能かつ筋の通った一時的な戦略を最終的に組み立てられるよう、あらゆる観点が考慮されます。そして後日、その行動計画を微調整し続けるためにメンバーたちは再度ミーティングを行うのです。

各ステップ

  1. 素案の作成。チームの各メンバーが個別にそれぞれのたたき台となる提案あるいはアプローチ戦略を作り出します。
  2. コンセプトの提案。2つ目のステップは全ての素案を発表することです。各メンバーは、残りのメンバーたちに対して自身の行動案をプレゼンします。その後、出た案を全て分析し、ディベートを行い、有用なものは残しそうでないものを取り除いていきます。
  3. ディスカッション。各メンバーの出した全ての良案を記録した後は、全てのアイディアについてディスカッションしていきます。これは、意見をふるいにかけ、無用なものを取り除き、役に立ちそうな部分を取り入れるためです。これらの要素一つ一つに対してたたき台を作っていきます。
  4. 結論。この段階でストローマン・プロポーザル、すなわちたたき台となる提案はすでに固まっていますが、いくつかの部分は排除作業や追加作業が続いています。そのため、チームは徐々に多かれ少なかれ有効な結論を導き出せるようになるのです。
  5. 最終決断。この時点でたたき台はすでに出来上がっています。チームは、採用することが可能な、全メンバーが賛同している最終(ただし一時的な)決断に到達しました。しかし先ほどもお伝えした通り、ここでのゴールはより確実で安全かつ効果的な行動プランを作るべくさらに再考を重ねることです。

まとめると、ご覧の通り、ストローマン・プロポーザル法は問題解決タスクにおいて組織の全メンバーをまとめあげるような非常に面白い仕事上の原動力です。知性を刺激してくれる上にシンプルなので、最近では数多くのチームに活用されています。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。