ホント?音楽に潜むサブリミナル・メッセージ

01 6月, 2020
音楽に潜むサブリミナルメッセージが疑問視され始めたのは、1970年代初めの頃です。その頃に流行した宗教運動によって、サブリミナルメッセージには無意識的に人やその行動に影響を及ぼす力があることが認識されるようになりました。その力は今でも物議を醸すものとなっています。

音楽にサブリミナル・メッセージが潜んでいるかどうかという疑問は、常に議論の絶えない話題です。その疑問に対して、単に「嘘だ」という人もいれば、「くだらない話のネタ」だという人もいます。その一方で、「こうしたメッセージには人の言動や価値観を変え、影響を及ぼす力が本当にある」と信じている人もいます。

音楽や画像に潜むサブリミナル・メッセージに関して、明白な結論というものはまだありません。実は、現在入手できるデータによるとその逆のようなのです。国によっては、こうした類のメッセージを禁止している政府があったりしますが、サブリミナル・メッセージが持つ真の効力を歪曲してしまっている研究者がほとんどです。

この問題は毎回新たな注目を浴びています。爆笑といったものから不安に至るまで、実に様々な反響を呼ぶものです。しばしば、暴力やサタニズム(悪魔主義)、薬物使用などが音楽に潜むサブリミナル・メッセージのせいにされていますですが、それは本当にそうなのでしょうか?

「サブリミナル広告の役員を見かけたが、それはほんの一秒の出来事だった。」

-スティーブン・ライト-

音楽 サブリミナル メッセージ

ちょっとした歴史

サブリミナル・メッセージは、通常知覚の範囲内で届けられるように作られています。つまり、人はサブリミナル・メッセージを意識的に認識することなく、知らない間に受け取っていることになります

こうしたメッセージは千年も前から話題となってきました。アリストテレスは、「衝動というのは起きている間は気づかないかもしれないが、寝ている間に強く認識するものだ」と主張しています。同様に、ミシェル・ド・モンテーニュ、オットー・ポエッチェル、そして後にジークムント・フロイトもこうした類の無意識下における体験について言及しています。

しかし、テクノロジーの進化により、いろいろなことが試せるようになり、20世紀までにはこうしたコミュニケーションが可能になりました。

1957年には、画像に潜むサブリミナル・メッセージを扱った有名な実験が行われました。それから約10年後には、ビートルズが音楽に潜むサブリミナル・メッセージ、そして「バックワード・マスキング」で世間を沸かせました。

音楽に潜むサブリミナル・メッセージ

「バックワード・マスキング」という音楽で使われるサブリミナル・メッセージは特殊な録音技術を通して挿入され、本来普通再生で流す曲に逆再生でないと聴き取れない音やメッセージを録音するものです。そのため、視聴者はその曲を逆再生した時にのみメッセージを意識的に聞くことができるというものです。

音楽で使われるサブリミナル・メッセージには2つの大きな要素がきっかけとなっています。一つ目はフランスにおける「ミュージック・コンクレート」というものですこのジャンルの音楽では、自然環境で聞こえる音と電子楽器の音を混ぜて録音します。

2つ目の要素は、演奏の原版を録音して保存できる録音可能なテープの使用です。このテープの登場により、原曲の一部を切り取ったり貼り付けたり、その上から重ねて録音したり、別の曲とつなげたりするという技術が可能になりました。

ビートルズ、特にジョン・レノンは「ミュージック・コンクレート」で様々な実験を行ったといいます。そのため、ビートルズは音楽史に全く新しい風を送り込んだのです。

ビートルズの7枚目のアルバムにはサブリミナル・メッセージが含まれています。この時初めて、曲の中に逆再生で理解できる言葉が録音されたのです。その曲、「レイン」は1966年にリリースされました。ビートルズは、曲を通して皮肉をこめた批判を展開したり、新しい音を収録したりして、新しいことを試したいと思っていました。サブリミナル・メッセージはそうしたやりたいことをするのに最適だったのです。それ以降、多くのアーティストがこれにならいました。そのため、音楽においてサブリミナル・メッセージはどんどんと一般的なものとなっていったのです。

音楽 サブリミナル メッセージ

未だに残る疑問

案の定、宗教団体がサブリミナル・メッセージに対して異を唱える運動を始めました。その結果、サブリミナル・メッセージに関する都市伝説までもが脚光を浴びることになりました。多くの人がテープを逆再生しては隠されたメッセージを見つけたりしたものの、その多くは単なる豪快な推測に過ぎないものでした。

特に、敬虔で熱心な宗教徒は様々なロックバンドが若者に悪魔を崇拝したり、犯罪を犯したリ、薬物を使用したりするようにそそのかしていると糾弾しました。この討論は1985年に心理学者のジョン・R・ヴォーキーとJ・ドン・リードが実験を行うまで盛んに続けられました。この2人は、聖書の「詩篇」を録音し、視聴者の反応を観察したのです

その結果、音楽に潜むサブリミナル・メッセージには全く効果がないと結論づけられました。1996年に、C・トラッペリーが23回もの実験を行いましたが、こちらも結論は基本的に同じでした。ところが、ユトレヒト大学のヨハン・C・カレマンサ、ヴォルフガング・ストロービ、ジャスパー・クラウスの3人の研究者が新しい実験を2006年に行った結果、こうしたメッセージには確かに人の言動を変える力があるという結論が出されたのです。どうやら討論は今後も続くことになりそうです。

Navarro, A. B. B. (2005). El mensaje subliminal: tácticas de publicidad ilícita. In Información para la paz: autocrítica de los medios y responsabilidad del público (pp. 169-182). Fundación COSO de la Comunidad Valenciana para el Desarrollo de la Comunicación y la Sociedad.