自分の感情について話すことができないのはなぜ?
「なぜ私は自分の感情を口に出せないのだろう?」、あなたはそう自問自答したことがありますか?感情は、マネージメントするのが難しい場合が多いものです。苦労せずに自身の感じていることを話し、自然な形で他人に感情を共有できる人もいますが、うまくこれを行うことができないという人もいます。いったいなぜなのでしょうか?
今回の記事では、なぜ一部の人々は自分自身を表現するのがかなり不得意なのか、その理由をいくつかご紹介します。さらに、その行動によってどういった結果が引き起こされるのかについても見ていきましょう。お見逃しなく!
なぜ私は自分の感情について話せないのだろう?
自身の感じていることを表現するのが一部の人々にとってそれほど困難な理由は何なのでしょう?この疑問に答えるためにはまず、「感情」という用語の定義を確認しておくことが重要です。Fernandez、Zubieta、およびPaez(2001年)は、感情とは表現機能や運動機能、そして生理学的要素から成る生存に必要な複雑で主観的な現象である、としています。
つまり、感情とは人の思考や願望、そして行動に表われ出る複雑なプロセスだということであり、必ずしもいつも簡単にマネージメントしたり理解したりできるわけではありません。したがって、自分の感じていることを言語化したり表現したりする方法をわかっていない人がいるのも無理はないのです。
そうなってしまう原因として一般的なものを、いくつか以下に挙げていきます。
感情の抑圧
Fernandez、Zubieta、およびPaez(2001年)は、感情の抑制とはストレスフルな要因に向き合おうとしないこと、あるいは回避することであると主張しています。また、脳による感情応答の抑制もこれに含まれると考えられています。
ここで、感情の抑制を引き起こす原因は多様であるという点に触れておきましょう。そのうちの一つが、自身の内側および外側で起こっている現象に対処できないことです。
ある意味で、これは一時的あるいは永続的なコーピングメカニズムであると言えます。このように自身の感情を口に出せないことの理由の一つは、感情が抑制されているためかもしれません。しかし、感情を抑制してしまう原因は何なのでしょう?
アサーティブネスの欠如
自身の感情について話すのが困難な理由の説明となるもう一つの要因は、アサーティブネスの欠如です。Caballo(1983年)によって引用されたMatosonら(1980年)、Bornsteinら(1977年)、RomanoとBellack(1980年)といった研究者たちは、アサーティブネスとは社交スキルの一種である、と主張しています。
一方でAlbertiとEmmons(1978年)をはじめとするその他の研究者たちは、この概念を、人が自身にとって最も重要な関心ごとに基づいて行動し、不適切な不安感情なしに自分自身を守り、無理なく正直な感情を表現し、他人の権利を否定することなく自らの個人的な権利を行使する上で必要な思考態度である、と定義しました。
そのため、アサーティブネスが欠如していると自らの感情を表現できなくなってしまう可能性があります。しかしアサーティブネスは、その他の様々な心理的スキルと同じように、鍛えて改善することが可能です。そのため、社交スキルの向上を助けてくれる心理療法を受けることが素晴らしい選択肢だと言えます。
“自分自身には「ノー」と言うのなら、他人に対して「イエス」と言ってはならない”
-パウロ・コエーリョ-
過度に内気である
内気さにも複数の定義があります。心理学の世界では、Pilkonis(1977年)がこれを「社会的交流を避けようとする傾向、および社会生活の場に適切に参加できない状態」であると定義づけました。
これは有用な定義だと言えますが、内気さとは単に他者との交流という面にしか影響しないわけではありません。自身の感情について話す能力にも内気さは関連しているのです。
内気さに関しても、アサーティブネスと同様に自身で改善することが可能です。心の殻を破れるよう自分自身を鍛えることで、もっと上手く自己表現をできるようになるでしょう。自らの内気さをマネージメントすることができれば、この特質を抱えながら生きるのがグッと楽になるはずです。
“私は今までに創造された人間の中で最も内気でした、しかし私の内側には決して黙ることのないライオンが住んでいるのです!”
-イングリッド・バーグマン-
感情を抑え込み続けることによる影響は?
心理学者Angela Coronaによれば、感情を抑圧あるいは隠し続けることはしばしば社会的孤立に繋がりかねないそうです。心の内側に全ての感情を押し込み続けていると、感情の自然な流れが妨げられ、精神的に遮断されているような感覚に陥ってしまう恐れがあります。
健康への悪影響
一方で、北米更年期学会によって2019年に行われた304名の女性たちを対象とした調査により、自分自身を黙らせて感情を抑えつけることで心身の健康に負の影響がもたらされることが明らかになりました。さらに、女性の場合は脳梗塞のリスクも高まってしまいます。
もちろん人によって受ける影響は異なります。そのため、一般化をしないようにすることが大切です。しかし、自身の感情を表現し、マネージメントし、上手く流れさせる方法を見つけることが最も健全だという点は誰にとっても共通だと言えるでしょう。全ての人がそれぞれに合ったやり方を見つけられれば理想的です。アートや文学、おしゃべり、身体での表現など、感情の表し方はどんなものでも構いません。
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- Caballo, V. (1983). Asertividad: definiciones y dimensiones. Estudios de Psicología, 13: 53-62.
- Fernández, I., Zubieta, E. y Páez, D. (2001). Emocionarse en Latioamérica. Sociotam, XI, 1.
- Matson, J.L., Kazdin, A.E. y Esveldt-Dawson, K. (1980). Training interpersonal skills among mentally retarded and socially dysfuncional children. Behavior Research and Therapy, 18: 419-427.
- Pilkonis, P.A. (1977a). Shyness, public and private, and its relationship to other measures of social behaviour. Journal of Personality, 45: 585-595.