感情抑制の影響

この現象は、思考や感情が過剰に合理化され、その結果、生きることが不可能になったときに起こります。
感情抑制の影響

最後の更新: 04 8月, 2024

感情抑制は、自分自身の感情や感覚を特定することが困難な状態と定義づけられます。心理学の派の中では、この状況をアレキシサイミア(失感情症)と定義しているものもあります。この単語は3つのギリシャ語から来ています。「a (ない)」+「lexis(単語)」+「thymos (感情)」です。「感情の言葉がない」という意味になります。 

感情抑制に苦しんでいる人も、感情や感覚はあります。問題は、それらをピンポイントすることができず表現できないのです。この状況に苦しむ人すべてが同じ程度の問題を抱えているとは限りません。あまり深刻ではないケースもあれば、完全に感情世界から断絶されてしまっているケースもあります。

 

「抑制を受けずに話せる相手は2つのタイプしかない。見ず知らずの人か恋人。他の人とは常に折り合いをつけている。」
-作者不明-

アレキシサイミアを持つ人は、誰かに感じていることが愛なのか友情なのかがわかりません。こういった人に調子を尋ねたり気分をたずねるのはあまり得策ではありません。 「いい」とか「悪い」と答えてはくれますが、文字通りのことを意味しているわけではありません。「怒っている」「ワクワクしている」「悲しい」と言わないだけです。極端なケースでは、このような質問に対してただ黙り込んだり、自動的に「平気」と答えます。これが相手が期待する答えだとわかっているからです。

男性

感情抑制を示す特徴

感情抑制の最も顕著な特徴は、冷たさです。何も感じていないかのような状態です。極端な場合、本当に自分では何を感じているか全くわからないこともあります。このような症状は、鬱を患っている人のものと似ています。しかしもっと強烈です。気づいやすい症状を見てみましょう。

  • 喜びを感じることができないか、少ししか感じない。
  • 自分の性生活にあまり興味がない。
  • 人に合わせがち。
  • 柔軟性に欠けてゆっくり行動する。
  • ソーシャルライフがかなり限定されている。
  • バイタリティーがない。
  • 衝動的。
  • 深刻そうでつまらなそうに見える。
  • ファンタジーを持たず、想像力を使うのが苦手。
  • 絆を築いた場合は、依存関係に基づいていることが多い。
  • 「愛してる」と絶対言わない。

 

感情抑制や「アレキシサイミア」には2つのタイプがあります。ひとつは根源的なもので、生まれつきこのように生きている状態です。このケースでは、神経の異常が関係しています。もう一つは、肉体的・精神的トラウマや長期にわたるひどいストレスのあとに起こる二次的アレキシサイミアです。

多くの研究者は、感情抑制のケースの多くを社会文化的な要因から影響を受けると考えています。このような人たちが自分の感情表現を抑制してしまうよくあるコミュニケーションのモデルがあります。感じていることを口に出すのをよしとしない社交的な環境もあります。いい感情と悪い感情」のモデルは、無理強いされたものです。「いい感情」のことは話しますが、「悪い感情」に関しては人は話すことがあまりありません。

感情を表現しないことで起こる不都合

感情抑制のひどいケースでは、セラピーが必要になります。それもかなり長期にわたることが多いです。神経的な介入が必要になることもあるかもしれません。問題のルーツが右脳と左脳の接続の問題にあることを示すことがあるかもしれません。これは最終的に正すことが可能ですが、不可能なこともあります。

顔が浮き上がる女性

多くの場合がそうですが、もう少し軽いケースであれば、いろいろな回復プランが考えられます。ただ単に感情の表現方法を学ばなかったために感情を抑制しているだけの人もいます。 過去に感情を隠さずを得ない状況に置かれたというのもよくあることです。場合によっては感情を表現しないことがポジティブに受けられることもあるからです。それは自制のサインとして見られます。同じように、感情的な沈黙は、未解決のトラウマに対する「自然な」反応です。

感情を特定したり表現したりすることができないと、深刻な影響が現れます。まず、 知的機能が低下します。感情は新しい知識の習得と記憶において基礎的な機能を果たします。また、感情世界は調査力とクリエイティビティーの基礎でもあります。その為、感情抑制を持つ人は知的に衰えてしまいます。

また、その人のソーシャルライフは最低限までに抑えられます。深い絆を他人と築くことができません。人生が乾いたものになり、抑制を助長します。しかし、これは治療が可能な機能不全です。感情は「人生における塩」です。自分自身あるいは知っている人がこのような症状を持っていると思ったら、助けを求めてください。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。