感情的依存~いつも戻ってくる場所~
たとえ風向きが変わっても、私の船は常にあなただけの元へ戻って来る。他の海ではどのように航海をすればいいか分からなければ、風以外に船を導く方法も分からない。でも、あなたが私にとっての風で、涙のカーテンを生む海のきっかけなのです。そして、あなたは私の側にいるとダメになると言い私は泣くのです。
あなたは私のことを好きだと言うけれど、あなたは息抜きが必要でそれほど私にベッタリしていられないと言う。あなたは、どこに行くにも私について回ったりすることで私への好きの気持ちを証明しなくてもいいと言う。あなたのこうした発言は私を傷つける。まるで私と別れるというぐらいに。私にとって、好きという気持ちは、あなたのために全て何でもしてあげることなのに。
痛みを感じていてもその人のところに戻ってきてしまうこのような 感情的依存は、変えることが出来ます。しかし、自分の愛し方が間違っているということを認めるのは難しいことです。そして、誰かを愛するということは、その人の側を常について回ることで証明されるわけではなく、むしろ側にいない時でも信じることで証明される、ということを認めることもまた難しいことです。
好きな人が自分の全てで、その人なしでは生きていけない。自分自身というものがその人と一緒にいることで境界線をなくし、どうやったら自分でいられるか分からなくなる。そうなると、自分の元にあるのは、好きな人と自分だけの世界になってしまっているのです。
嵐へと変わる風
その人との恋は初めはそれほどひどくなかったのです。春の午後に吹く風のようなそよ風程度のものでした。まるであなたの肌に触れると鳥肌が立って、その存在が気持ちいいというような風でした。
そうしていつの間にか、自分はまるで私の人生が相手にかかっているかのように、好きな人から離れることができなくなります。その人が自分の世界になり、側にいつも一緒にいられるように他のことを止めてしまいました。相手が何を言うかも考えずに先走って一歩踏み出したわけではないのに、自分はまるで相手の操り人形のようになっています。舵を握っているのは相手で、自分は自身を縛るようになります。もし自分が全部相手の言う通りにして、相手のために全てやってあげれば、きっと海賊という困難が自分たちの船を襲うこともないだろうと考えて。
しかし、ある日、全てが変わってしまいます。そして、相手は自分のスペースが欲しいと言いだし、自分といると息苦しいと言い出します。 相手は自分にそれほど依存してくれと頼んだと覚えはないと言うけれど、自分にはそれ以外の愛し方が分からないのです。そして、自分は相手からの侮辱に姿を消してしまうのです。自分がどれくらいその人が好きで、その人のためにどれだけ尽くしたかを相手は分かってくれなかったから。
しかし、その風は嵐へと変わり、波を立たせます。そして嫉妬と批判が渦巻きます。そして疑問と恐怖が生まれます。相手を失いたいわけではなかったけれど、相手を愛することで自分の内面がボロボロになっていくことも分かっていたのです。そうして、助けを求めることになり、感情的依存だということを理解するようになるのです。そして、どうすれば同じ過ちを繰り返さないようにするかを学ぶのです。愛することは自由であることであり、相手を信じることであること、そして2人でいても自分自身でいられることを学ぶのです。
誰も幸せになるために他の人に依存するべきではありません。これは恋愛関係に限らず言えることです。なぜなら、感情的依存は恋愛関係だけに起こるものではなく、家族や友人との間にも起こり得ることだからです。健全な人間関係を築くためには次の点に取り組むと良いでしょう。
- 自動的に他人の要求に優先権を与えない事。自分のことも大切です。他の人を健全に愛せるようになる前に、自分のことを愛せるようにならなければいけません。
- 全ての人を幸せにできる人はいない。他人が喜ばなくてもあなたの責任ではありません。みんなに自分のすること成すこと全てを好きになってもらおうとしてはいけません。それは、他人の目を気にしてするべきことを止めてしまうべきではない、というのと同じことです。
- 幸せになったり、楽しい気分になったりするのに他の人が必要であれば、その人と築いた関係性をもう一度考えてみる事。幸せや喜びは、他の人と分かち合えるものの、自分の内面から来るべきものです。
- 1人でいられるようになる事。他人に頼らず、自分一人でいることが楽しいと思えることはとても健全な自己愛を育む行為です。自分の船を導く風に自らなることで、普段なんとも思わないような些細な事を楽しむことができるようになります。
- 愛とは何なのかをもう一度考えてみる事。愛するとは所有することではありません。相手とより多くの時間を過ごし、相手の望むことをしてあげることは、相手のことが大好きだということではありません。愛することとは、自分らしくあり、相手とありのままの自分を共有することなのです。
これらのステップを踏むことで、人間関係の中に吹く風を嵐に変えなくてすむでしょう。他の人を愛せるようになる前に、自分のことを愛せるようになりましょう。そして、もしその方法が分からなければ、セラピーが役に立ちます。必要ならば助けを求めましょう。あなたの築いた絆ができるだけ健全なものになるように。