見つめることで意識が変えられる?

· 2017年9月8日

見つめることが人の意識に影響を及ぼすと初めに言われたのは約200年も前のことです。オーストリアの医師で哲学者のフランツ・アントン・メスメルが、「動物磁気論」と呼ばれるものの基盤を築きました。彼の仮説によると、人間は、他の動物と同様、体からエネルギーを放射しています。このエネルギーが他の生き物へ影響を及ぼす仕組みになっているのです。

このアプローチに基づいて、スコットランドの医師であるジェームズ・ブレイドは「催眠」という単語を導入し、次のように述べました。

「精神及び視覚の目を、完全な休止状態であり一般的な平静にあって、それ自体ではなんとも非刺激的である物体に凝視させ続けることで、彼らは退屈になった。そして、患者はこうした実験中に忍び寄る朦朧とした感覚に抵抗するよりも、むしろそれを好むということを踏まえると、眠い状態というのは誘発されるものである。そして、その特異な脳の状態や、患者に催眠現象として指図しその責任を負わせることができる神経系の動きも然りである。」

この解釈から発展した催眠の手段の一つは「定着凝視技法」でした。所信と知識の中間であるこの技法は、話し相手を集中して見つめながら会話をするという形で適用されます。その中で、ある事を連想させるような語句が導入されます。そうすることで、相手が催眠として知られている不眠と睡眠の間の状態に入るようにするのです。

より最近では、イタリアのウルビーノ大学の研究者であるジョバンニ・B・カプートによって行われた研究で、どうやら凝視することで意識の変化を誘発できることが証明されたようです。これは他の研究よる裏付けがされていないので、ここでは単なる例の一つとして紹介したいと思います。

カプートの凝視研究

凝視の実験のために、ジョバンニ・カプートは50人のボランティアを集めました。はじめに、カプートは15組のペアを作りました。各ペアのメンバーは、最低お互いから1メートル以上離れて向かい合わせに座り、またお互いの目を10分間見つめ合いました。

にらめっこ

隣の部屋の別グループは同様の手順をしましたが、今度はパートナーの目を見つめるのではなく、自分の姿が映った鏡を見つめました。その後、両グループ共に研究用に用意されたアンケートに答えました。

カプートが入手したアンケート調査によると、この研究に参加した人の90パーセントが両グループで幻覚のようなものを体験をしました。参加者は歪んだ形の顔やモンスターのような現像を見たと答えた他、現実離れした感覚に陥ったことを示唆しました。このことに基づいて、カプートは凝視することは意識の変化を誘発することを結論付けました。

凝視に関する他の実験

カプートとは全く別の目的で、アムネスティ・インターナショナルという組織が見つめることに関する別の実験を行いました。アーサー・アーロンという心理学者の主張から行われたもので、彼の主張は相手の目を4分間見つめることで驚くべき親近感が生まれるというものでした。

アムネスティ・インターナショナルは、ヨーロッパ国民と他国からの難民とでペアを作らせ、小規模の実験を行いました。参加者は、お互い向き合って座り、4分間お互いの目を見つめ合うように指示されました。アムネスティ・インターナショナルは、どれだけお互いに違いがあっても、時間をかけてじっくり相手を見ることで多くの偏見が消失するということを証明しようとしたのでした。

ダリ

例外なく、この実験に参加した誰もが向かい側に座っていた相手に対して親近感を持ちました。そしてこれまた例外なく、ペアは温かい会話を始め、お互いに共感する心を育みました。参加者のこのような反応は研究者たちが望んでいたことを証明するものとなりました。それは、親近感を持つのに、出身地や話す言葉、皮膚の色などは無関係だということでした。結果として相手は人間であり、参加者もそれを認めることができたのです。

不可解な凝視の世界

凝視は人間にとって常に疑問と疑惑の種となっています。凝視にまつわる伝説というのは多く存在します。最も有名なものはメデューサという神話に登場する女怪物で、見た物全てを石に変えたと言います。他には、ティレシアースという偶然にも未来が見える盲目の男性の伝説もあります。

凝視はそれだけで意味を成すほどの力があります。全ての凝視には意図があり、時にその意図が認識されることもあれば、その意図がわからないこともあります。誰かを見つめる時、見つめない時とでそれぞれ効果があります。愛に満ちた眼差しは、思いやりと敬服に満ちた凝視です。羨む目は「悪魔の目」になります。憎悪に満ちた目は、短刀のように相手を切り裂き殺してしまいます。

瞬きする目

見つめられている人にとって、凝視というのは影響力のあるものなのです。ですから、凝視は見つめられている人の意識に変化をもたらすと言えるでしょう。凝視は挑戦的になり得ることもあれば、見られている、または無視されていると思わせることもできます。魂の窓である目とは、人間の世界への出入りが可能な窓口なのです。