何かに魅了されることが脳に与える影響

何かや誰かに魅了された時、私達は感化され、驚かされ、生きていると感じ、そしてもちろん幸せを感じます。魅力ほど大きく心に影響をする感情は他にそうそうないですよね。
何かに魅了されることが脳に与える影響
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 21 12月, 2022

人を魅了するということは、ニューロマーケティングの専門家が常に目指している感情です。また、芸術家、映画監督、コンテンツクリエーターも同様です。ターゲットとなる人のこの感情を呼び覚ますことができれば、成功が保証されることがわかっているからです。今日の記事では、魅力の影響について見ていきましょう。

何かに魅了されると、人はその時受けた刺激を忘れません。精神的印象が長く残り、正の感情やインスピレーションが呼び覚されます。

ここで、シンプルな質問をしたいと思います。あなたが最後に何かに魅了されたのはいつですか?芸術作品や映画を見た時かもしれません。または、風景、音楽作品、最新の技術革新、またはある人物により魅了されたという人もいるでしょう。これほど心地よい感覚は他になかなかないですよね。

私達は魅了を「正の感情」に分類しますが、実際には非常にたくさんの感覚、感情や思考が生成されます。魅了されることにより、私達は幸せ、喜び、インスピレーション、興味、驚き、時には愛を感じることもあります。

ここから簡単に推測されるように、これは偉大で精神生理学的に超越した状態です。魅了されることにより受ける影響は非常に大きいため、私たちは人に影響を与えるのにこの感情を頻繁に使おうとするのです。特定の集団を魅了することのできる人達は、集団の注目を引くだけでなく、受け入れられ称賛されます。

魅了 脳 影響

魅了されることによる影響

子どもの興味を目覚めさせるには、子どもの内にある興味に光を当てることが必要であるということは、どの教師や教育者も知っています。こういった人は自分の教科の教材を使いながら、この感情を生み出す方法を知っておく必要があるのです。そうすることで教育がよりやる気を起こさせるものになるからです。

この感情は、子どもの心に大きな影響を与え、学習や発見への興味を促す力を持っています。

魅了されているというのは非常に強力な精神状態です。なぜでしょうか?それは、魅了された状態を生み出す刺激はどれも、ほぼ瞬時に大脳辺縁系を活性化させるからです。この脳の領域は感情と繋がっています。そして、この部位が刺激されると、エンドルフィン(幸せホルモン)が放出され、人を集中させたり新たなアイデアを生み出すのに役立ちます。

興味深いのは、「Fascinate(魅了)」の語源が、ラテン語の別の言葉「Bewitch(魅する)」にあることです。この言葉は長い間、負の意味がありました。魅了された人は、人をコントロールし影響を与える、様々な悪の力を行使することができると考えられてきたのです。

現代では、こう考える人はいません。心理学的観点でみると、何かに魅了されていると感じることは、ポジティブな幸福や超越といった精神的プロセスの結果なのです

革新と魅了はいつも相伴う

市場にでまわる大手ブランド、特に技術的なものは、顧客をとるには顧客の感情を大きく動かすことが必要だということを知っています。製品にドキドキしなければ、それは良くない印です。また、新商品に、ターゲットとなる顧客が惹きつけられないのであれば、それは一般的に充分革新的だとは言えません

そこで、非常に特徴的な一連の要素を用い、魅力を次のように定義することができます。

  • 私達を魅了するものは、どこか他と違うように見え注目を集めることから、挑戦的でもあります。人間の脳は、常に異なり、刺激的で魅力的な要素に惹かれるようになっているのです。
  • また、欲求、期待、大きな好奇心を生み出します。。
  • 魅力的なものは、自信や安心を生みます。それが新しいかどうかは関係ありません。魅力的なものは、望ましいもので、私たちがそれを手に入れたいと思うのであれば、それに惹かれているということになります。

魅了されている時、人は今を生き、フローの状態にある

心理学者ミハイ・チクセントミハイは、魅力の概念を研究し、フローの状態とこれを結びつけています。魅了されることと何かに興味を抱くことは同じではないと彼は言います。これはもっと深いものなのです。

完全に集中している気持ちにさせられることから、これはまるで恋に落ちる時のようです。今ここに集中し、注目の的となるものに絶対的なコミットメントを感じます。

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美的魅力の力

魅力の影響は、美的感情のカギになります。バルセロナ大学のRafael Bisquerra教授は、美的感情を、脳が何かを美しいと解釈する時に生成される反応だとしています。しかし、これよりずっと深い解釈も可能です。実際私達は、視覚的に魅力のある、喜ばしいものにのみ心が動かされるのではありません。

脳は、深い興味をそそられるミステリアスなものにも魅了されます。ベオグラード大学(セルビア)が行った研究等は、これに関して私達に思考の糧を与えてくれています。

あいまいにみえるものほど、私達の心に大きな影響を与えるものはほとんどありません。知っているものと知らないものが組み合わさった美的刺激を受けると、脳は興奮し、インスピレーションを受け、感嘆させられます。

魅了されると、私達はそれについてもっと知りたくなります。それはまるでギザの大スフィンクスを見たときのようです。私達は、その寸法、位置、形、歴史に魅了されてしまいますよね。

しかし、その美しさを以上に本当に私の心をつかむのが、スフィンクスの持っている謎です。美が挑戦と組み合わさると、心により強く印象付けられ、精神的影響も大きくなるのです。


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  • Bisquerra Alzina, Rafael (2009). Psicopedagogía de las emociones. Madrid: Paidos
  • Schindler, I., Hosoya, G., Menninghaus, W., Beermann, U., Wagner, V., Eid, M., & Scherer, K. R. (2017). Measuring aesthetic emotions: A review of the literature and a new assessment tool. PLoS ONE, 12(6), Article e0178899. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0178899
  • Marković S. (2012). Components of aesthetic experience: aesthetic fascination, aesthetic appraisal, and aesthetic emotion. i-Perception3(1), 1–17. https://doi.org/10.1068/i0450aap

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