人間の思いやり:アインシュタインの考え方とは?

「人間というのは全体の一部、つまり私たちが「宇宙」と呼ぶものの一部であり、時間と空間という点において制約を課されています。人は自分自身を、自分の思考を、そして感情を、宇宙の残りの部分からは切り離されたものとして経験します。これはその人の意識が作り出した錯覚のようなものです。そしてこの錯覚から逃れようとする奮闘こそ、真の宗教が持つ課題なのです」、これは、アインシュタインが息子を亡くしたばかりのある男性に宛てて書いた手紙の冒頭部分です。
人間の思いやり:アインシュタインの考え方とは?

最後の更新: 09 3月, 2021

1950年、アルベルト・アインシュタインは若い息子をポリオで亡くしたばかりの男性に宛てて、奥深さと象徴主義に満ちた手紙を書きました。そしてその10年後、この手紙は『New York Times』誌に掲載されます。アインシュタイン当人は、生存と希望のための自分独自の流儀が、世界中に共有されることになろうとは思いもよらなかったでしょう。しかしこの手紙は人間の思いやりについての彼の考え方を完璧に反映した素晴らしい内容だったのです。

この手紙に関してまず人々の注目を集めたのが、ある種の哲学に満ちた言葉の数々でした。宗教とまでは呼べませんが、それでも宇宙的精神性とでもいうようなものが、超越の意味合いとともに語られているのです。

アルベルト・アインシュタインと言えば、相対性理論の父として有名ですよね。この手紙において彼は、私たち一人一人がより大きな全体を形成するパーツであることを理解すれば、喪失の痛みを和らげることができるということについて説明しています。そして、私たちが頭の中で考え出したものも全て、実は人類のあらゆる側面に残り続けるのだというのが彼の考えです。

この手紙を記した5年後、アルベルト・アインシュタインは動脈瘤によって亡くなりました。ほぼ自分でも気づかないうちに、彼はこの小さくもユニークなギフトを、科学という領域(主に物理学の領域)に既に積み上げられていた自身の巨大なレガシーの一部に加えていたのです。そして、インターネットやソーシャルメディアの出現によってそのメッセージはより多くの人々の元に届き始めています。今日の私たちにとって、彼の教えがかつてないほど重要な意味合い持っていることは確かでしょう。

“人間というのは全体の一部、つまり私たちが「宇宙」と呼ぶものの一部であり、時間と空間という点において制約を課されています。人は自分自身を、自分の思考を、そして感情を、宇宙の残りの部分からは切り離されたものとして経験します。これはその人の意識が作り出した錯覚のようなものです。そしてこの錯覚から逃れようとする奮闘こそ、真の宗教が持つ課題なのです”

-アルベルト・アインシュタイン-

人間の思いやり アインシュタイン

人間の思いやり:アインシュタインと彼の見解

私たちはしばしば、アルベルト・アインシュタインが単なる優れた科学者以上の存在だったという事実を見落としてしまいます。しかし彼は人文主義者でもあり、バイオリニストでもあり、さらには社会的に価値のあるものに身を捧げた人物でもあったのです。また、彼は賞賛を集める教師でもあり、信頼の置ける友人でもありました。このことは、ジークムント・フロイト、バートランド・ラッセル、トーマス・マン、ジョージ・バーナード・ショー、フランクリン・D・ルーズベルト、アルベルト・シュヴァイツァーといった幅広い顔ぶれの文通相手がいたことからも伺い知ることができるでしょう。さらに、広大な往復書簡の海の中からは、アインシュタインという人が、他者が苦しんでいるときに、それが誰だったとしてもとてつもなく協力的になれる人物だったことを伝える手紙の数々が見つかっています。

彼がベルギーの女王に送った手紙の中で、その具体例に触れることができるでしょう。彼女、エリザベート・ド・バヴィエールとアルベルト・アインシュタインは仲の良い友人同士で、音楽への情熱を共有し合っていました。1934年に夫が登山中の事故で亡くなるという悲劇が起き、彼女は悲しみに打ちひしがれます。しかし、この相対性理論の父はなんとか彼女を慰め、勇気づけ、力強さを取り戻させるのに適切な言葉を見つけ出すことに成功したのです。

彼はこれと同じことを、信頼できる愛すべき友人であり、1950年に息子を亡くしてしまったロバート・S・マーカスに対しても行いました。この手紙の中では、その他の手紙とは異なるある特別な思想が際立っています。アインシュタインにとって、人間の思いやりは救いのためのメカニズムであり、人生を意義深いものにするための手段だったのです。

象徴主義に満ちた手紙

自身にとって一番大切なものを失ってしまった人たちに希望を与えるというのはとても難しいことです。「ご愁傷様です」「亡くなった方はあなたの心の中で生き続けますよ」などといった言葉を投げかけても大して意味はありません。しかし、アインシュタインは手紙の中で、マーカス氏に彼自身の痛みを乗り越えさせ、私たち一人一人が個人よりも大きな完全体の一部であることを分からせようとしたのです。

喪失による苦悩や痛みに、一生涯悩まされ続けるべきではありません。そのような辛い状態を乗り越えて、周囲の物事に対する思いやりや愛、そして愛情を感じなければならないのです。

“この錯覚は私たちにとって、ある種の刑務所のようなものです。ここに囚われているせいで、私たちは個人的な願いを持つことや身近な数人の人への愛情を持つことしかできないよう制限されています。思いやりの輪を全ての生き物と美しき自然全体にまで広げることによってこの刑務所から抜け出すことこそ、私たちの課題であるに違いありません”

-アルベルト・アインシュタイン-

人間の思いやり アインシュタイン

人間の同情心:アインシュタインと彼の流儀

人間はそれぞれ個別に存在しているわけではないのだということを、アルベルト・アインシュタインは教えてくれました。相互依存の世界において、つまり私たち全員が全体の一部となっている宇宙において、個人主義は無意味ですし何の目的も持ちません。

真の人間性は、宗教やイデオロギー、利己主義、恐怖、そして偏見を超越します。しかしながら、人間の思いやりにこのような宇宙的観点を持ち出したのはアルベルト・アインシュタインだけではないということも覚えておくべきでしょう。

実は、人間は思いやりや知性、そしてテクノロジーを用いるべきだということをカール・セーガンも自身の著作の中で訴えています。そうすることで、有意義かつ、地球環境にも配慮した暮らしを作り出すことができ、数ある惑星にも到達できるようになるだろう、というのです。この、天文学界および物理学界の忘れ難き天才二人の言葉を絶対に忘れないようにしましょう。

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