内気な人が持つ2つの側面
内気、シャイであることは、欠点でも美点でもなく、ただ単にその人の気質であったり、育った環境や経験などによって生まれるものです。それにも関わらず、それを問題視する人が多くいます。
内気な人が社会生活のなかで壁にぶち当たりやすいのは事実です。彼らにとって自分の殻を破って他人と会話をするのは非常に難しく、自分の事を話すのも非常に苦手なのです。これは他の人との関係にネガティブな影響を与えてしまいます。
内気さは、自己肯定感の欠如、人から注目されたり気遣われたりする価値がないという感覚、人から存在を認められる権利がないという感覚から生まれます。シャイな人は自分に自信がなく、他人の意見に価値を置きすぎているのです。
内気は魂のよじれ 特殊なカテゴリー 孤独の中に生まれるものである
―パブロ・ネルダ―
しかしだからと言って、内気であることが常に失敗につながるわけではありません。社会関係を築くのが下手なことと、知識、仕事、感情面などで目的を達成することの間には、ほとんど関係がないからです。それどころか、内気であることが強みになることさえあるのです。歴史の中には、内気でありながら偉大なことを成し遂げた人物が多数存在します。
内気;偉大な人格の特徴
有名な小説作家アガサ・クリスティーについて、面白いエピソードがあります。1985年、かの有名なロンドンのサボイホテルで、彼女の栄光をたたえるパーティが開かれました。ホテルに着いたアガサでしたが、ドアマンは彼女の事を知らず中へ入れてくれませんでした。
このドアマンと言い争うことなど出来ないと感じた彼女は、何も言わずそのまま待合室に座ることにしました。パーティ会場からは彼女の栄光をたたえるスピーチが聞こえてきます。彼女はこの時67歳。世界中で60以上もの彼女の小説が読まれていました。
チャールズ・ダーウィンは、公の場でスピーチをしなければならない時、まるで木の葉が揺れるように震えました。多くの人の前で話すなど無理だと感じていたのです。英国俳優ディック・ボガードは舞台に立つ前によく嘔吐していました。舞台では素晴らしい演技をしていましたが、その裏ではとても内気だったのです。
内気、内向性、そして悲劇
内気とはいっても、そこには人それぞれ差があります。中には想像も出来ないほど内気な人もいるのです。窒息する人の命を救うための治療方法を確立したヘンリー・ヘインリッヒ医師は、多くの人が内気であるがために亡くなったと言っています。彼らは息が苦しいような感覚になった時、咳をしたり助けを求めたりなど、人の注目を浴びるのに耐えられず、その場から一人離れてしまうのです。
内気である事の強み
内気さが悲劇を呼ぶのと同じくらい、逆に自分を守る事につながったケースも多く存在しています。
自然の世界では、最も大胆不敵な者が、最高の獲物と最高のパートナーを得ます。しかし、それと同時に最も命を落としやすく、深い傷に苦しみながら生涯を過ごす可能性の高い者たちでもあるのです。
内気な人は社交性が欠けている一方、それを向上させるための努力をします。例えば、自分の発言や聞いたことなどを頭の中で何度も繰り返す傾向があります。これは記憶力と語学力の向上を促します。ですが通常、話すよりも書く方が上手く表現できるようです。
また内気な人は、誰よりも高い集中力を持ち、全ての物事を秩序立てて考えます。それでも、自分のとる行動に自信がなく、注意深い計画・実行が必要な仕事で成功したときですら不安になるようです。そのため、逆に締め切りや時間制限のない課題や仕事に取り組むと、他の人より成功しやすいのです。
いずれにしても、内気であることがあらゆる可能性を制限してしまっている状況では、それを強みとは言いにくくなります。これは、おそらく社会恐怖症によって引き起こされている不必要な苦しみなのです。もし内気であることが不幸へとつながっていると思ったら、内気さを克服する様々な方法があるので検討してみてください。