知覚に関する古典的実験:見えないゴリラ

20 7月, 2020
見えないゴリラの実験を知らない人にとって、この実験は衝撃的なはずです。この結果から、私達の選択的注意の働きやこれによって起こるミスが分かります。

見えないゴリラの実験は、心理学の古典的な実験です。最初に行われたのは1999年ですが、知覚の制限に関する典型的な例として、今でも引用されています。この実験からはまた、人は周囲の世界に対し盲目になりがちだという事実を受け入れたがらないということもわかります。

見えないゴリラの実験を作ったクリストファー・チャブリスとダニエル・シモンズは、この実験が当初こんなにも多くの人の興味をそそり、人気が高まるとは思ってもみませんでした。国や年齢、教育レベルを問わず、多くの人がこの実験を再現しましたが、結果は非常に似たものでした。

自分で試したいのであれば、この記事を読み進める前に、次の動画を視聴し、指示に従ってください。体験してみると、より理解が深まるでしょう。

  • 白い服を着たチームが何回パスを出すか数えてください
  • エアパスとバウンドパスの両方に注目しましょう。
  • 実験を行ってから、読み進めてください。

見えないゴリラの実験

上に示した指示は、チャブリスとシモンズが実験前に学生ボランティアに出した指示と同じです

被験者は動画視聴後、次の質問を受けます(動画を見た方は、ぜひ一緒にお答えください)。

  • 「パスを数えている間に、何かおかしなものに気づきましたか?」
  • 「選手以外の何かに気づきましたか?」
  • 「あるいは、選手以外の誰かを見ましたか?」
  • 「ゴリラに気づきましたか?」

最後の質問は、見えないゴリラの実験で被験者をもっとも驚かせた質問です。被験者の内、少なくとも58%がこれに該当します。この実験がどこで行われようと、この数字はほとんど変わりません。動画の中にゴリラが登場しますが、半数以上の人がゴリラに気づかないのです。あなたには見えましたか

起こったことに対する反応

見えないゴリラの実験が初めて行われた時、またこれに続いた実験においても、実験に参加しゴリラの存在に気がつかなかった人の多くが、その明確さに驚きを示しました! こんなにも明らかなものを見逃すなんて信じがたいことですよね

動画を見直すと、誰もが問題なくゴリラを見ることができます。別の動画を見せられたのではないかと考える人もいますが、もちろんそんなことはありません。また、この実験はイグノーベル賞を受賞しました。イグノーベル賞は、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる」科学的活動に与えられる賞です。

動画の中のはっきりとした存在に、なぜこんなにも多くの人が気づかないのでしょうか?これは難しい質問です。また、多くの人が自分の目や知覚に騙されているということを認めたがらないというのも衝撃的です。自分ではすべてを正しく目にしていると思っていますが、明確なものが見えていないものなのです。

見えないゴリラ 実験

知覚の罠

この数年後、 スティーブ・モストとロバート・アストゥールが似たような実験を行っっています。この実験では運転シミュレーターが使われました。被験者は交差点に青の矢印がある時は止まり、黄色の矢印がある時は止まらなくていいと指示を受けます。

このシミュレーターでの実験に参加している間、2つのバイクが目の前を横切ります。青いバイクの場合、バーチャルドライバーはこれに気づき、ブレーキを踏みます。一方で黄色の時は、60%がバイクにぶつかったのです。これはどこか、見えないゴリラの実験が繰り返されているかのようですよね

人は物事に関し、自分が関心があることに絞って注目します。最初の実験では白のチームのパス、二つ目の実験では青の矢印が焦点です。頭の中で色に注目しているのです。実験でのゴリラは黒、そしてバイクは黄色だったため、被験者が気づかないという現象が起こりました

一度に一つの要素にのみ焦点を当てる人と、幅広く柔軟性のある注目パターンをもつ人がいます。電話しながらの運転を絶対にしてはいけないのはこういった理由からなのです。

Chabris, C. F., Simons, D. J., & Ferrari, G. (2011). El gorila invisible y otras maneras en las que nuestra intuición nos engaña. Siglo Veintiuno Editores Argentina.