男性更年期:嘘か本当か?

男性の更年期は、本当にあるのでしょうか?性的欲求の喪失、気分変調を男性の更年期と呼ぶ専門家もいます。詳しく学びましょう。
男性更年期:嘘か本当か?
Alicia Yagüe Fernández

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Alicia Yagüe Fernández.

最後の更新: 21 12月, 2022

男性の更年期は、本当にあるのでしょうか? 何人もの中年男性が、性的欲求の喪失、体重増加、疲労、睡眠パターンの変化、気分変調などの症状を訴えています。これはテストステロン欠乏症(性腺機能低下症)が原因で起こる症状だという専門家もいます。具体的には、中年または高齢の男性に起きる精神的、性的、そしてホルモン関連の症状を指します。このような症状をまとめて「男性更年期」と呼ぶ専門家もいます。この状態に関して、2つの名前があるのは、医学界で一致した意見がないことの表れでもあります。

中年層が訴えるよくある症状を分析すると、男性も女性も同じような症状を表していると思うかもしれません。数年前まで、更年期の症状は、女性のみに現れるとされていました。ところが、何かが変わり始めています。ここ最近、この症状が男性に影響する時、専門家はそれを「男性更年期」と呼ぶようになったのです。

当然、ホルモンレベルや身体的特徴は性別により異なります。しかし、似たような症状として現れる身体的変化も存在します。科学は進歩し続けており、この問題にも光が当てられるようになってきました。

 

性腺機能低下症における中心的存在としてのテストステロン

男性は40歳になると、テストステロンの値が低下し始めます。それから、毎年1~2%程度下がり続けます。European Journal of Pain(痛みについてのヨーロッパ学術誌) のある記事では、男性と女性、両方がテストステロンを持つと紹介されました。その違いは、男性の方が量が多いことです。テストステロンはこのホルモンの変化の原因で、また、筋肉、骨、性器の成長にもかかわります。

このホルモンの値が低いことが、生殖機能に関する症状に影響を及ぼすのは、不思議ではありません。性的欲求、勃起機能、精子の生成などに影響するのです。人の性への影響の他に、睡眠など体の機能にも影響を及ぼします。これが、一部の専門家により、男性更年期と呼ばれます。

横たわる人

テストステロン欠乏症(性腺機能低下症)だという医学的診断を受けた場合、ホルモン療法が用いられることがあります。問題は、中には、ホルモン療法を乱用する男性が存在し、必要無いにもかかわらず治療を受ける人がいることです。

アメリカの医療機関は、この治療は、必要な人のみが受けるべきであると警告します。テストステロンの値に永続的に影響する怪我や病気を抱える人のみ、この治療を受けるべきなのです。加齢による通常の過程をたどる男性に、この治療は適しません。医学的管理なく、テストステロンパッチや薬、注射などを受けるべきではありません。そうしなければ、健康へのリスクにさらされることになります。

 

テストステロン欠乏症

スペインで発表された研究 Journal Mente y Cerebro (心と脳の学術誌) は、この一連の症状の存在を認めました。フランク・ゾマーは、ハンブルク・エッペンドルフ医科大学泌尿器科医で、男性の健康に関する世界のパイオニアです。この一連の症状の名前について、医学界の意見が一致していないことを彼は批判しています。

初めにも述べたように、「男性更年期」と呼ぶ専門家もいれば、テストステロン欠乏症などの診断名を使う人もいます。実際、医者が何と呼ぼうと、患者に見られる症状は同じなのです。

この泌尿器科医によると、この問題を抱えて彼の元を訪ねた男性は、女性の更年期の典型的な症状と全く同じ経験をするわけではありません。それでも、よく似た症状が存在します。

ゾマーは、テストステロン欠乏症の症状を3つに分けました:精神的、身体的、性的の3つです。患者が、この3つの分野で症状を訴え、テストステロンの値が低い時、彼はその患者を、テストステロン欠乏症と診断しました

この基準により、ホルモンレベルのみに基づく診断を避けることができます。その他の症状も重要です。この分類は、医者が診断ミスをしないようにするためにも役立ちます。さらに、患者にとって、ホルモン療法以外の治療法がより効果的である場合、ホルモン療法の乱用を避けられます。

考え込む男性

 

ホルモン療法

テストステロン欠乏症の治療に使われるホルモン療法は、議論を呼ぶものです。それでも、多くの研究で、このタイプの治療が多くの患者にポジティブな結果を生み出すことが示されているのも事実です。

性腺機能低下症の多くの男性にホルモン療法が施されますが、症状が再発することがあります。医師の多くがホルモン療法を批判するのは、長期にわたる副作用の可能性に関する知識があまりないためです。脳卒中や心臓病など循環器系の病気を含む可能性もあります。

更年期の治療の際、ホルモン療法は規定ではなく、例外であるべきでしょう。男性が訴える症状のすべてが、テストステロンの値が低いことが原因になっているわけではありません。男性が人生の新たなステージに直面する時に起こる生活の変化に伴う心理的危機から派生することもあります。その場合、専門家はホルモン療法より、心理療法を勧めるべきです。

 

心理療法

ストレスの多い生活、人間関係の問題、自分の体に対する意識の問題、人生の危機は、身体的・心理的症状になって現れることがあります。多くの専門家が、男性更年期の症状には、心理療法で対処できるものがあるということに同意しています。このタイプの療法は、男性が年を取るにつれ経験する感情の変化に対応するために、非常に役立ちます。また、ライフスタイルの向上は、多くの症状の緩和または解消に役立ちます。例えば、食生活、運動の変化は、特に有効です。

加齢に伴う変化を受け入れることが難しいこともあります。また、ある種の個人的・社会的衝突が、若い頃のように活力的に生きることをより難しいものにします。

身体的変化や健康問題は、気分にも大きく影響します。心理状態への対応の仕方が、現在や未来を楽しむ道を示すコンパスになります。また、あなたの過去の歴史を形作る助けになるかもしれません。心理学的診断は、あなたが人生の新たなステージに上手く対応する方法を学ぶのに非常に役立つでしょう。


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  • Janosch, D. (2018). ¿Existe la andropausia? Mente y Cerebro. Nº 91, 58-63.

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