箱庭療法

· 2019年2月16日

臨床心理士のもとを訪れる場合、どうして辛い思いをしているのか、すでになんとなくわかっている場合がほとんどです。しかし、苦しみの原因を突き止められずにいることもあるでしょう。そんな場合、臨床心理士は様々なテクニックを使い、いろんな角度から問題の原因を探っていきます

これらのテクニックの中には、箱庭療法と呼ばれるものがあります。箱庭療法は大抵の場合、考えや気持ちをうまく表現することのできない、子供の患者に使われます。

ドラ・カルフォルスが箱庭療法の創始者で、もともとはサンドプレイと呼ばれており、分析心理学者であるカール・グスタフ・ユングと児童精神科医のマーガレット・ローエンフェルトの研究を元に作り上げました。このテクニックは患者が気づいていない情報を引き出す際に使われます。

箱庭療法とは何か?

患者も自覚がない脳の情報を引き出すために、箱庭療法では、臨床心理士が砂が入った青色の木製またはプラスチック製の箱を準備します。そして、患者はこのボックスの中にあらゆるものを置いていきます。これらは、キャラクターであったり、何かを意味する物体であったり、本物でも偽物でも構いませんが、患者が思うようにボックスの中に置いていきます。

人の形をしたものや、動物、植物、建物、乗り物、自然の石や木、科学的なものや、映画のキャラクターの場合もあります。

サンドボックスと女の子

患者がサンドボックス(砂の入った箱)にものを置いている時は、心理士は出来るだけ言葉をかけず、手助けしないことが大切です。ものを置く作業が終わったら、心理士はサンドボックスの写真を撮ります。分析はその写真を元に、後で行われます。

結果はそれぞれで、一度の箱庭療法から様々な情報を得ることができます。例えば、サンドボックスの中にキャラクターが一つしか置かれていない場合、患者の孤独感や、見捨てられてしまったというような感情が現れているのかもしれません。また、暴力的なシーンが再現されている場合、荒れた感情が現れているのかもしれません。

どのような人が箱庭療法を受けた方がよいか?

児童精神分析の分野でよく使用される箱庭療法ですが、このテクニックはどの年代の人にも適しています。特に、患者が自分の気持ちを表現することが苦手な場合は効果的です。感情的または身体的な虐待を受けたなどの、トラウマ体験がある人の感情を探るにはとても良い方法でしょう。また、箱庭療法は極度の悲しみや、感情的、行動的に障害がある人にも効果があります。

子供は、感情を形成している段階の状態です。そんな子供の感情は複雑で、どう表現していいのかわからないことがほとんどです。ですから、カウンセラーによりこの箱庭療法が頻繁に教育の場で行われているのです。またこのセラピーは、言語、自尊心、コミュニケーション能力、いじめ、家族の問題などによって苦しむ人の障害の度合いを測る際に臨床心理士が使用することもあります。

なぜ箱庭療法が効果的か?

サンドボックスは、遊びを通して養われていった幼い頃の生活や脳の発育を蘇らせてくれます。この創造的なサンドボックスを使用するゲーム的な心理療法によって、患者の思考パターンを探ることができます。このセラピーで必要とされる「ものを置く」という行動は、深層心理を活性化させる、考えを視覚化して自分で選択するという行為を必要とするからです。

サンドボックス

先ほども書いたように、患者がものを置く作業を終えると、心理士はサンドボックスの写真を撮ります。そして、セラピストはその写真を解析し、患者の色々な潜在意識のパターンを解読していきます。これは言語的な解析を必要としない、特有のテクニックです。多くの場合、患者、特に子供は、自分のトラウマ経験をうまく伝えることができません。ですから、この方法だと、患者が自分の経験をうまく話すことができなくても、臨床心理士は心の中で何が起こっているのかを探っていくことができます。

このタイプのテクニックは、とても役に立つ方法です。ストレスのない、患者が安心できる環境を作り上げることができるからです。また、このゲームのようなテクニックは、張り詰めた緊張感をほぐし、セラピーの場が患者を尊重している場にもなります。そして何より、患者が自由に自分を表現できる場を作り上げることができます