天才児の脳

2019年4月7日

天才児の脳には利点がありますが、限界もあります。高い知能を備えた子供は情報を素早く処理し、高い分析能力を持ち、鋭い批判的な視点を持っています。ですが、必ずしもその高い潜在能力を最大限に開花させたり、自分の能力や感情を上手くコントロールできる強い心を育んだりできるわけではありません。

天才児と聞いて初めに思うことは「恵まれている」ということかもしれませんが、実は恵まれている状態からは程遠かったりします。どんな天才児もその年齢の児童と同じ試練に遭遇しますが、もちろんそれに加えて高いIQから来る試練にも遭遇します。

天才児の脳は、平均的な知能を持つ子供の脳とは発達の仕方が違います。

なので、非凡な能力を授かった脳が持つ目覚ましい利点については非常によく話されますが、こうした天才児に特徴的な他の要因について考えることはあまりありません。そうした要因とは、不安や低い自尊心、孤独感、自分のニーズに見合わない環境との断絶感などです。こうした問題は11歳以降により顕著になっていきます。

こうした子供を単に早い時期から認定するだけでは不十分です(理想的な年齢は3歳から5歳と推定されています)。天才児の脳を理解することも必要なのです。また、天才児の脳がどのように発達し、ニューロンの発達段階にどのようなサポートメカニズムが最も適切なのかを理解することが非常に重要です。

窓辺の子供

天才児の脳

神経科学者達は天才児の脳の解明に常に興味を示してきました。天才児は普通で平均的な知能の子供とどのように違うのだろうか?どのように優れたニューロンを持っているのだろうか?MRIスキャンなど、テクノロジーが新しくなり進歩しているおかげでこうした疑問の多くに答えられる時代がやってきました。

以下は、英国心理学学会を始めとした組織のおかげで現在分かっていることの一部です。

天才児の大脳皮質はよりゆっくり発達する

このデータは衝撃的です。アルベルト・アインシュタインのおかげで明確になっていることは、IQの高い人は脳が大きいわけではないということです。更に、知能の高い子供は通常、平均的な知能の子供よりも小さめの大脳皮質を持っていることが分かっています。なので、この脳の層は青年期になるまでかなりゆっくりと徐々に厚みを増していきます。

「普通」のIQの子供達では、その逆が起こります。普通の子供達は幼い頃により厚みのある大脳皮質を持っています。12、3歳になると、この部位の面積も大きさも小さくなる傾向にあります。これはどういうことを意味するのでしょうか?基本的には、高い知能を持った子供は時間と共により洗練され特化していく、ということです。青年期にはその潜在能力が最大限に開花します。

脳の領域が特化する

高い知能を持った子供は、脳のある領域に大量の灰白質があります。灰白質は認知や知能、情報処理能力と関連しています。つまり、これは高い知能を持った生徒はデータ管理能力、分析能力、結論を導き出す能力に非常に長けているということです。

脳には、論理的に考え、行動し、注意を傾け、外界の感覚刺激に反応する能力と関連した領域が28あります。知能の高い子供はこれらの部位それぞれが特化されていることが分かっています。

脳に咲く花

より強大なニューロンの結びつき

灰白質が情報を蓄積し管理する一方で、白質は動き回ります。ニューロン同士の結びつきを可能にするのです。ですから、このニューロンの効率性の良さは間違いなく天才児の脳で最も顕著な特徴の一つと言えます。

天才児の脳には、データや情報、概念をつなぐ、いわば、ニューロンの高速道路や通り道が平均的な知能の子供の脳よりもずっと多く存在するのです。更に、こうしたニューロンの道はコミュニケーションを介する道です。全てが非常に高速にやりとりされる広大で洗練された、高密度に結合されたネットワークなのです。しかし、この特性には短所もあります。

時々、情報が停滞してしまうことがあるのです。つまり、知能の高い子供はアイデア同士が結びつきすぎて、あまりに多くの情報を処理することになって圧倒されてしまったりするのです。そのため、実に多くのアイデアや仮説、推論などが頭から離れなくなってしまったりすることがあります。あまりに多くの精神活動とニューロン活動が行われているために、試験や単純そうな質問に反応するのに遅れを取ったりすることがあります。

最大の利点:神経可塑性

神経学者の研究の大部分が天才児の可塑性がすごいことを強調しています。 前述しましたが、天才児の大脳皮質は平均的な知能の子供に比べてゆっくり育ち、特定の分野に特化し、常に変化しています。そうした変化が徐々にニューロン同士の新しい通り道や結合を生み、学習を可能にします。

子供は新しい体験に集中する時に脳に変化があらわれます。その時、脳は新しいニューロンの通り道を作り出し、脳の様々な部位や領域でコミュニケーションを取ることに特化します。 天才児の可塑性はあまりに素晴らしいので、脳が発達をし続けるのではと多くの神経学者が主張しています。天才児の頭脳はそうした知能のやり取りに飢えているあまりに、私達はどのようにその飢えを満たしてあげればよいのか分からないことがあるくらいです。

絵具をつけた子供

まとめると、この分析から心に留めておくべきことは、天才児の脳が成熟していく様子です。天才児の脳の発達は緩やかですが、次第に研ぎ澄まされ、青年期にピークを迎えます。通常のIQを持った子供達は5、6歳でピークを迎えます。ですが、高い知能を持った子供はこの年齢ではもっと手がかかります。

何よりも、自分の能力を更に伸ばすことができ、脳の可塑性を加速できるような好ましい環境が必要になります。10歳、11歳頃の天才児が自分の潜在能力に見合わない、規則で縛られた環境で暮らすと、疎外されたように感じ、苛立ちを感じます。私達は、こうしたアンテナが方々に張り巡らされていながらも様々な面で脆弱な天才児の頭脳にもっと敏感であるべきなのです。