変性意識状態をどのくらい知っていますか?

変性意識状態をどのくらい知っていますか?

最後の更新: 29 9月, 2017

 

このタイトルを見て、そもそも変性意識状態とは何か、と思っているかもしれません。人が昏睡状態になった時、または植物状態になった時、何が起こるのか興味を持ったことはありますか?このような健康状態に関連した疑問はたくさんあります。直すことは可能なのか、そうであればどのような条件で、何を目標とするのか、などです。しかし、無力感や懐疑的な姿勢が、こういった状態に取り組むことを邪魔します。

人は様々な理由で昏睡状態に陥ります。 交通事故のような外傷や、脳卒中、体内出血、腫瘍のような非外傷的要因があります。

昏睡状態とは意識レベルが下がることであり、外からの刺激への反応が一部または一切失われてしまう状況です。つまり、患者は外的な刺激とコミュニケーションをとることができないということです。

様々な度合いの意識

痛みを感じたり何かを不意に触ったりすると、たいていそれを引き起こしたものから手を引きます。意識がない時は痛みを感じません。何かが焼ける匂いもしません。母親の声を感じることもできません。何も認識せず、何にも反応しません。

意識を失ったときには、通常であれば引き起こされる外的な刺激に対する反応がありません。しかし、変性意識状態には様々な度合いがあり、グラスゴー・コーマ・スケールでそれを測ることができます。

 

病室に横たわる女性

このスケールは、音と痛みに対する目や、口、筋肉運動の反応を見ます。患者が外的な刺激にどのように反応するかを見るために、簡単なテストを行います。つまり、このスケールは患者の反応の度合いを評価します。

テストが行われると、スコアが集計され、患者の状態を示すインデックスに照らし合わせます。刺激に全く反応しない場合、最も低いスコアが与えられます。すべての刺激に反応を示せば、意識レベルは影響を受けていないということになります。

すべてをかけて反応を取り戻させる

このプロセスが済むと、評価を行った専門家は、患者の神経学的な状態を表すメンタルマップを得ることができ、それに応じて対応することができます。反応を全く示さない場合、専門家は、患者が反応を示すかもしれないと考えられる様々な要素を試す必要があります。

人には五感 (視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚) があります。中には、一つの感覚が他よりはるかに長けている、という場合もあります。例えば、盲目の人はその他の感覚を驚くほど発達させている、というケースが良く知られています。欠いている感覚を補うために、他の感覚を発達させているのです。

変性意識状態では、どの感覚が残っていて、機能しているかを見極めることが必要です。脳の感覚をつかさどる部分は、外的な刺激を得るとき活性化するため、こういった部分を活性化させることが重要です。

反応を起こす刺激を見つける

これらのエリアを活性化させるには、患者は影響を受けていない感覚から刺激を与えられる必要があります。また、与えられた刺激が患者にとってなじみのあるもので、感情的なつながりのあるものであると、反応が出やすいとされています。

 

目を閉じる女性

反応が非常にわずかしか出ないこともあります。そのため、専門家は辛抱強く、刺激に対する反応として患者の体内で起こるどんな変化にも細心の注意を払う必要があります。人差し指を軽く動かすことから、瞳孔の変化まで、すべてが重要です。体のどんな変化も情報を与えてくれます。

専門家が反応をひきだすことができたら、次の目標はそれを続けることです。ただ、刺激に慣れすぎてはいけません。常に刺激に対して反応していることが大事です。脳の活性化のサインとして反応が強くなることを期待して刺激を与え続けてしまうと、反応の度合いが弱まって「馴化」が起こります。

馴染みある、感情的なものは特に効果あり

家族の誰かが昏睡状態で、病院へいき、そばに座ってお気に入りの歌を歌ったり、お気に入りのケーキを買っていったり、小さいころから気に入っていてよく抱きしめていたぬいぐるみを持っていく、という人のケースを聞いたことがあるかと思います。

様々な思い出

 

患者が著しい反応を見せていた要素を再現することは非常に重要です。そこでもし反応があったら、ライオンが獲物を追うようにそれを追い続けることも重要です。患者からの反応を引き出すものは何であっても専門家は追い求めなければいけません。そうすれば、患者は進歩を見せ始めます。

毎日の変化はとても小さいため、このような患者を看ることは難しいことです。ただ、神経の可塑性のお陰で、時間と共に刺激を通してたくさんの見方を得ることができるため、頑張る価値のあるものです。粘り強く追い続ければ、結果はでます。

世界中で回復に向けて頑張っている人々、その家族のみなさんにエールを送ります。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。