方向感覚:頭の中のGPS

2017年10月10日 in 心理学 0 シェア済み
地図と行き方

もしかしたら、あなたはナビゲーションの数に関係なく迷子になってしまう人の一人かもしれません。または、知らない街でも一度訪れた場所はすぐに覚えて地図やナビゲーションなしでもまたその場に戻ってくることができる人かもしれません。

ほとんどの人はそこまで極端ではなく、ナビゲーションを使って目的地にたどり着くと思います。方向感覚のありなしについては、自分の考えと人から見た実際のあなたが違う場合が多くあります。

この記事では、頭の中のGPSのような道案内に関わっている脳の働きについてご紹介します。

タクシー

ロンドンのタクシー運転手と彼らの頭の中のGPS

まず初めに私たちの脳は粘度では作られていないことを明確にしておかなければいけませんね。でも、脳は粘度のように簡単に形を変えられる性質、柔軟性を持っているのです。これは神経可塑性と呼ばれ、環境に機能的そして構造的に適応する脳の能力の一つです。この適応力は、頭の中のGPSを使って進路を定めようとする時に発生します。

旅行中に新しい街を歩いている時、脳は方向感覚があなたの生存のために重要であると認識し、周りに細心の注意を向けるために脳の中にある小さな箇所が働き始めます。

真っ赤な公衆電話ボックスで有名な街のタクシーの運転手について考えてみましょう。ロンドンのタクシーの運転手は、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのエレノア・マグアイア教授が行った心理学の研究で一躍有名になりました。この研究は、まずタクシーの運転手の求人に応募してきた人たちに、一つの目的地に対して様々なルートを提示するようにと訪ねました。

応募者は、職業が特定されていない人たちと何年もタクシーの運転手として働いていた人たちの二つのグループに分けられ、MRIを使って行われたこの研究では、タクシーの運転手としての経歴がある人は、未経験の人に比べて脳内の海馬(記憶力に関係する神経)の範囲が大きいことがわかりました。これに加えて、経歴が長い人ほどその範囲が大きくなっていることも判明しました。

これは、このように解釈できます。タクシーの運転手は、脳の中に自分専用の小さな地図をダウンロードしているので様々な場所にナビゲーション無しで行けるようになります。ロンドンのような大都市には、狭い抜け道が沢山あるので、もちろん脳の中にもそれらを記憶するための大きなスペースが必要となります。

木の枝のリースと花

方向感覚に関する脳の働き

この研究で発見された方向感覚に関連している脳の仕組みをみていきましょう。まず、前頭前野皮質です。この領域は、衝動を抑える役割を果たします。青年期が終わっても完全に発達はしていません。ここは、意思決定においてとても重要な役割を果たすため、頭の中のGPSには欠かせない存在です。

前頭前野皮質は、2つの道で迷っている時に最終的な決断を下します。頭の中に様々な抜け道が浮かんだ時、どれにするかを決めているのは脳のこの部分なのです。

背側線条は、少し前にお伝えした脳にダウンロードされた地図が保存されている場所です。ここは、見慣れている場所を歩いている時に前頭前野と協力し合い、かかる時間や大まかな距離についての情報で地図をアップデートしていきます。そして、海馬では位置を記憶する神経を使い、新しい地図を背側線条にダウンロードすることができます。

頭頂葉皮質は方向感覚、嗅内皮質は車を止めた場所のように記憶している点に従って私たちを位置づけます。そして、小脳は運動神経に前頭前野で決定された場所へ行くように指示します。

一緒にいる相手が道案内をしようとするあなたを信頼してくれないとイライラしますよね。これは、辺縁系といった他の脳の部分が方向を定めるプロセスに関係しているからです。頭の中のGPSがどのように構成されているか、分かっていただけましたか? 新しい場所へ行った時、脳がどれだけ一生懸命働いているのかを少し考えてあげてみてください!

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