不安と胃腸の不調

不安と胃腸の不調
Valeria Sabater

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Valeria Sabater.

最後の更新: 02 12月, 2021

人生は、胃のあたりで空気も空腹も意欲も奪う塊となって身体の中心に居すわることがあります。すべてを捕らえてすべてを消耗させる敵のような黒い塊は、一瞬にして支配不可能になり私たちを生き急がせ、希望をぼかし、優先事項をゆがめるのです。

専門家たちは、不安が身体に及ぼす影響について長年研究しています。不思議に思うかもしれませんが、このテーマは只々驚くべきものです。例えば、アメリカ・メリーランド州にあるジョンズ・ホプキンズ病院の精神科では、全般性不安障害の患者は、前頭筋(額の筋肉)に慢性的な緊張が見られ、腓腹筋(ふくらはぎの筋肉)に継続的な過重負荷がかかっているということを発見しました。

「恐れの混ざった不安や、不安の混ざった恐れは、人間からその最も本質的な資質を奪う力となる。その資質の一つは、物事を深く考えることである」

-コンラート・ローレンツ-

しかし、最も一般的で分かりやすく、同時に最も厄介な症状は、食道・胃・腸などの消化器系に現れる症状です。胃腸の痛みと不安は生物学的に非常に深いつながりがあります。消化器官は複雑な神経細胞の膜で覆われていることを忘れてはなりません。この神経細胞の膜は、考えというものは作り出しませんが、私たちの気分には介入するのです。

例えば、その「第二」の脳は幸せのホルモンと呼ばれるセロトニン分泌を調整する役割があります。しかし同時に、ストレスに対しても確実に反応します。緊張・プレッシャー・苦悩・心配などがある時期には、胃が反応して神経伝達物質として作用するペプチドホルモンである、副腎皮質刺激ホルモンを分泌します。

痛みや内臓知覚過敏症、腸の動きの異常などの症状が現れるのはこの時です。私たちの問題が迷路のようにお腹に集まっているかのような不快な塊です。

おなかに集まる蝶

昔は恋の痛み、今は黒い塊

マルタは仕事を二つ掛け持ちしており、わずかしか自由な時間がありません。6歳の息子の顔を見るのは帰宅した時に、彼が寝る前に母親におやすみを言って抱きしめてもらうために少し待っているときだけです。彼は毎日、一緒に何かできるのはいつか、一緒に遊んだり、絵を描いたり、散歩をしたりできるのはいつかと母親に聞きます。マルタはいつも日曜日、と答えます。「日曜日になったら何でも好きなことをしようね」でもその日が来ると、マルタはひどい疲労感でベッドから起きあがることもできないのです。

シーツと疲れと絶望にくるまった、そういう静かで苦い日曜日には、胸の痛みといえば恋の痛みだった日々のことを懐かしく思い出します。以前はすべてが希望でした。今ではすべてが黒い穴、隠れて流す涙、月末までもたないことへの恐れ… 彼女の胃には毎日どんどん大きくなる数十個の黒い塊が詰まっているようです。

多くの人がこの話を読んで、マルタの問題の解決法はしごく単純だと考えたことでしょう。時間管理の見直し、仕事を一つ辞める、またはもっと時間に余裕ができ子供との時間を持てるより良い仕事を探す、など。しかし、不安に苦しめられている時というのは、決断をする脳の回路は同じようには機能しないのです。その神経のメカニズムは完全に壊れてしまいます。

脳の神経伝達

決断するというのは、危険度、見返りの価値、行動と結果の関係などの分析が必要な非常に緻密な認知プロセスです。人は、大きな不安症状をわずらっていると、これらのヒューリスティック(経験知・直感による判断)が機能しません。なぜなら不安には、認知的要素と身体的要素が関係しているからです。認知的要素は、「これはこういうものだから変えることはできない」とか「自分はもう何をやってもダメだ、取り返しがつかない…」など罠として作用する考えばかりになります。

一方身体的要素は、口の乾き・震え・筋肉の痛み・頭痛・消化不良など不安に付随するすべての身体的プロセスのことです。ですから、このような状態で明確に考えるということは、現実的に非常に難しいことなのです。

「不安」に立ち向かうための33の方法

自分の不安、その黒い塊に立ち向かうためにどんな方法をとるかを考える時、誰にでも効く一つの方法があるわけではないということを覚えておかなくてはいけません。ここでの視点は常に多次元にわたり、行動領域・認知領域・身体領域をカバーしています。

「唯一恐れるべきは、自分自身の恐れである」

-フランクリン・D・ルーズベルト-

私たちが普段しばしば悩まされる、一瞬にして健康を奪ってしまう胃に重い塊は、以下に詳しく挙げるいくつかの方法を実行することで解決できるかもしれません。意志を持って継続し、今日感じる不快感や心配を明日まで放っておかないように気を付けることです。

クジラと女性と星空

不安を鎮める方法

  • ゆっくりと深い呼吸をする
  • 「~だから腹が立つ。それに~も起こる」などと自分の感じていることを声に出して自分に向かって言う。
  • 毎日30分間ウォーキングをする。
  • 曼荼羅に色を塗る。
  • マッサージをしてもらう。
  • 森の中を散歩する。
  • 自分に起こりうる最悪なことは何かと自問し、もしそうなったらどう行動すべきかを自分に答える。
  • 問題解決にアクティブに取り組む時間を確保し、心が落ち着いてプレッシャーなくそれを乗りこえられるようにする。
  • お風呂に入ってリラックスする。
  • 以前に起こった問題が再発生することを予見しなかった自分を許す。
  • 不要なもの、過去の人生に属するものを捨てて、部屋を片付ける。
  • スマホやテレビを消して、静けさに包まれてみる。
  • 一緒にいて心地よい人と会う。
  • 先延ばしにしていたことを、今日する。
  • 瞑想をする。
  • ペットを抱きしめる。
  • 失敗をしてしまったなら、今後繰り返さないように計画を立てる。
  • 性急で否定的すぎる結論を出していないか自問する。
  • 自分の考えの視点が悲観主義的でないか自問する。
  • 自分のどんなところが好きか、リストを作る。
  • 誰かの行動で動揺させられるなら、なぜそうなるのか分析し、どう対処すればよいか考える。
  • ヨガをする。
  • 一日のルーティンを変えてみる。
  • 寝る前に読書をし、これを一日の終わりの習慣にする。
  • 自分の人生がどんなふうになってほしいか、それを達成するために何ができるかを考える。
  • 友達に、不安に対処するために何をしているか聞いてみる。
  • 急がずゆっくり食事をするようにする。
  • 間違った考えに陥っていないか確認する。「自分にとって人生は白と黒しかないのか?」「いいことは全て他人の身に起こっているのか?」
  • 毎日自分にご褒美をあげる。散歩・映画・いい音楽を聴く時間など。
  • 過去の困難な時に、どう立ち向かったか思い出す。
  • 何かやりたいことに否定的な結果を想像しているなら、チップを変え、肯定的な結果を想像する。
  • 過去に心配していたけれども起こらなかったことを3つ挙げる。
  • 水泳・ズンバ・弓道などこれまでしたことのないエクササイズを試してみる。

これらの簡単な方法をできるだけ多く生活に取り入れてみてください。あなたの人生に起こりうる変化は驚くべきものかもしれませんよ。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。