自己欺瞞という名のアート

自己欺瞞という名のアート
Gema Sánchez Cuevas

によってレビューと承認されています。 心理学者 Gema Sánchez Cuevas.

によって書かれた Julia Marquez Arrico

最後の更新: 21 12月, 2022

自己欺瞞(じこぎまん)という名のアートは自分に嘘をつくという状況の事を指します。それは自分の心が自分自身を騙すという事です。自己欺瞞は、何かが真実でないと分かっていても、自分自身に真実だと言い聞かすような時に起こり、私達は日頃、無意識に行っているのです。

嘘をつくのと自己欺瞞の違いは明確です。嘘の場合、嘘をついている時に嘘を言っているという意識があるのです。一方自己欺瞞は、無意識に嘘ではなく真実だと自分を説得しているのです。

別の言い方をすると、自分を欺いている人が欺いているという事に気づいていない、又は、少なくとも、常に気づいているわけではないのです。それこそが自己欺瞞の強さです。欺いているという意識が無い限り、自己欺瞞は静かに、その独特な力を発揮します。

自己欺瞞にはいくつかの種類があります。中には他の種類より頻繁に起こるものもあります。さらに、それぞれの種類が異なる心理的効果を持っているのです。今日は最も一般的な4つの自己欺瞞とその心理的効果についてお話したいと思います。

1.自己欺瞞の技術:機能的な自己欺瞞

誰かが自分の決断は正しいと言い聞かせているような状況でみられる、機能的な自己欺瞞というものがあります。一番良く知られている機能的な自己欺瞞は、「すっぱいぶどう」というイソップ童話の中で見つけることができます。

この童話の中では、悪知恵の働くキツネが高い木に実ったぶどうを取る為に、何度かジャンプをします。しかし、数回挑戦した後、ぶどうが取れないフラストレーションを自分を欺く事によって落ち着かせます。キツネは取れなかったぶどうは、熟していない酸っぱいぶどうだったのだと自分に言い聞かせるという自己欺瞞を行うのです。

この「すっぱいぶどう」の中で行われた自己欺瞞は機能的な自己欺瞞と呼ばれています。ここではとても明確に機能性が表されています(したがってそのような名前なのです)。自分を欺くというキツネの行為は、ぶどうが取れなかったという失敗から起こるストレスを防ぐ事にとても役立ったのです。

手に雲を持つ女性

機能的な自己欺瞞の問題

短期間での機能的な自己欺瞞は明確な目的をもたらしてくれますが、長期的なものは何の利益も与えてくれません。なぜなら、ここで起こる心理的効果は、真実(目標を達せない)を嘘(その目標を達する価値はない)に変換することによって発揮されたからなのです。

心理学者のジョルジョ・ナルドーネによると、どのような良い意図でもそれが繰り返され過ぎると、逆効果になってしまうというのです。全てのものには機能が存在していますが、もしそれが長期的になったり、過度に規模を大きくしてしまうと、望んだものと全く逆の効果や影響を生み出してしまうのです。

このやり方を続けると、全く挑戦せず、ずっと自分の居心地の良い所に留まってしまうようになります。目標を達成する為に必要な技術や知識に向けて、自分を鍛えたり、努力する代わりに、自分を欺いてしまうのです。自分の決めた目標はそこまで大切ではなかった、それは努力をしてまで達成するような価値のある目標ではなかったと言い聞かせてしまいます。

「嘘をつくのは言葉のゲームです。それは他のゲームのように学ぶ必要のあるものなのです。」

ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン

2.価値と信用

「価値と信用」と呼ばれる自己欺瞞は、欲望の闘いを終わらせる必要がある時に現れます。このタイプの特徴は、多大なお金や時間、努力を必要とした何かが、あまり必要としなかった何かより価値があるという確信からきています。別の言い方をすると、私達は手に入りやすいものより、入りにくいものに価値を見出すという事です。

目標達成の為に頑張って働かなければいけない状況では、その目標が魅力的でも、そうでなくとも、その目標は価値があると示す全てのものに、自身の注意が向くのです。それは、自分が今まで費やした事を正当化する為に、価値があると信じこむ事で起こるのです。

この自己欺瞞はどこから来るのか?

人間という生き物として、私達は意識的に認知システム(信念、思考)と行動システム(態度、行為)の間に起こる不一致を長期的に調整する事は出来ません。この矛盾を解決する方法として、このような自己欺瞞があるのです。

この自己欺瞞の主な心理的効果は、自身の原理や価値に合わない目標でも、それを達成する為に突き進める事です。しかし、これは自己欺瞞で効果に期限がある為、大抵自分を欺いていると気がつき、失望を感じます。

3.慰めの自己欺瞞

この自己欺瞞は嫉妬をよくする人に見られる最も周到なものです。自分自身に対して、可哀想という気持ちを感じる為、誰かや何かに対して責める事で起こります。

例を挙げると、お母さんせいで、自分は犬恐怖症になったと思いこむ事や、恋人が嫉妬をさせるような理由を持っているから自分は嫉妬深い人間になったと思いこむ事などがあります。そこには自分を安心させる為に頻繁に行う考え方があるのです。

銅像の頭に登る人々

自分の自尊心やエゴを守る為にこのような自己欺瞞が使用される事があります。この欺瞞により、自分は何も悪くなく、いつも被害者なのだと信じこんでしまうのです。これをポジティブに捉える事も出来ます。自分自身に起こり得る全ての事に対して100%の責任を持つような状況は滅多にないので、責任を背負いすぎる事を避けることが出来ます。しかしやはり、過去の原因や外部要素に頼りきってしまう事は、私達の行うべき変化を遮ってしまうのです。

慰めの自己欺瞞を支える柱

この自己欺瞞は私達を守ってくれます。問題は、どのような自己欺瞞でも長期的に続く事は、私達の精神的な成長を妨げてしまうことです。ここでの心理的効果は、気分を悪くする問題と直面する事から守ってくれる事と、何かを克服する事は不可能だと思わすことなのです。

4.自分を納得させる為に他人に嘘をつく

自分を欺く繊細な方法の一つとして、他人に嘘をつくというのがあります。そうする事で、自分にも嘘をつくのです。誰かがストーリーを伝える状況では、実際の状況と捉え方に歪みが生まれます。あなたは最初、その真実にある少しの歪みに気づきますが、少しずつその人はストーリーや性格の影響を受けてしまうのです。

「嘘をついた彼は、同時にどのようなものを自分に課したのかを知らない。なぜなら、彼は最初の嘘を正当化する為に、これから20個もの嘘を作らなければならないから。」

-アレキサンダー・ポープ-

もし他人に嘘をつくのを繰り返すと、それが作られたものであっても、やがて真実となります。この現象に対しての説明として、脳は不誠実に適応し、嘘は現実に生きているというものがあります。嘘をついた人が嘘を作ってしまったことを忘れてしまうのです。もしそれが嘘だと分かる明らかな証拠があったとしても、このような人達は現実を拒否し続けます。それは、誠実さが無いのではなく、自己欺瞞からきているのです。

誰もこのようなタイプの欺瞞に対して免疫はありません。それはとても頻繁に起こる心理現象で、ある程度のレベルまで、とても正常なものです。自分自身の嘘から自分を解放するには、多くの個人的な反省を必要とします。自分と向き合い、自身の価値や理想、望みを理解することが、自己欺瞞からあなたを守る最初のステップであり、本当に達成したい目標の為に、自分を正しい方向に向ける助けをしてくれるのです。


このテキストは情報提供のみを目的としており、専門家との相談を代替するものではありません。疑問がある場合は、専門家に相談してください。