科学に基づくネガティビティバイアスの理解

31 12月, 2019
人はネガティビティバイアスに支配されています。これは、私達が称賛より批判に影響をうけやすいためです。実際、良い知らせよりも悪い知らせの方が影響が大きく、記憶の中でポジティブな出来事よりもネガティブな出来事を強調します。なぜ、このようなことが起こるのでしょう?
 

ネガティビティバイアスとは、実際起ったことについて反省するのではなく、良くなかったものについて考えがちな人間の傾向に関するものです。ですので、私たちの心地よくポジティブな記憶は、愚かなで不快な出来事でかき消されてしまいます。ここでは、私達がネガティブなものに与えてしまっている価値についてお話します

ネガティビティバイアスは、トラウマになるような出来事や否定的な経験が、ポジティブなものと比べてなぜ私達の中に長く残り、大きく影響を与えるかを説明してくれます。いくらか不快な経験の方が、思考に強く残りやすいようなのです。さらに詳しく見ていきましょう。

 

ネガティビティバイアスの進化的基礎

ネガティビティバイアス

多くの場合、悪い知らせは良い知らせよりも影響が大きいものです。また、小さな批判は褒め言葉よりもずっと大きく影響します。

脳科学者リック・ハンソンは著書“Buddha’s Brain”の中で、このネガティビティバイアスの進化的性質の起源について語っており、これは多くの研究員により裏付けられています。

ハンソンによると、大昔の人が、リスクの高い状況で賢い決断をするためにネガティビティバイアスが生まれたそうです。この種の決断は、次の世代につなげるための方法のひとつでした。生きるか死ぬかに関わるものです。

 

危険になりうる出来事がある中で生きた人は、生存率が高かったようです。時間とともに、ゆっくりと脳の構造がポジティブな情報よりネガティブなものに注意を向けるようになったのです。

ネガティビティバイアスは幼少期の早い段階で発達すると示す研究はいくつかあります。ポジティブな表情よりネガティブな刺激に焦点を当てるようになるのは、生まれて最初の1年なのです。

「誰かが「ダメ」と言う時、それは自分ができないことを表すのではなく、単に、その人と一緒にはできないことを意味する」

-カレン・E・キノネス・ミラー-

 

生物学的バイアス

心理学者ジョン・カチオッポは、ネガティビティバイアスにまつわる神経プロセスの研究を行いました。この研究によると、知覚、認知、ネガティブな運動刺激に対する脳の反応は、ポジティブな出来事より大きく活発であることが分かっています。特に大脳皮質ではそれが顕著です。

その結果、ネガティビティバイアスは周りのネガティブなものに対し焦点を当てるよう、私達を動かします。これは、決断にも関わります。

また、タスクを行う際のモチベーションにも大きく関係するようです。ポジティブな刺激をもたらすタスクより、ネガティブな経験を避けることの方が動機が高まるというのは、非常に興味深い事実です

進化的アプローチによれば、これはネガティブな状況により生じるダメージを避けるために私たちが目指しやすい傾向だと言います。脳が私達を安全に保護するための方法なのです

 

ネガティビティバイアスが生活に与える影響

 

ネガティビティバイアスは、人の生存に役立ってきたようですが、日常生活ではあまり好ましくない影響を生み出しています。少なくとも、私達はそれを意識すべきです。

予期できるリスクや決断への影響に加え、他人の知覚の仕方にも大きな影響があります。親密な関係において私達は最悪の事態を考え、予期することにつながっているからです。

 

ネガティブな場合、フェイクニュースを信じてしまう

ネガティビティバイアスの理解

ネガティビティバイアスは、ポジティブなニュースよりネガティブなニュースを信じやすくさせます。このようなニュースに私達は惹かれやすいだけでなく、効力を感じます。例え、このようなニュースがウソだとしてもです

また、価値観やイデオロギーにも影響します。そして脅威と見られる曖昧な刺激や変化に直面した時、伝統や安心にしがみつく傾向とも関係するようです。

お分かりいただけたように、多くの状況で、ネガティビティバイアスの傾向が反映されていることに気が付いた方がいいでしょう。特に、より良い決断をしたい時、これを考慮しましょう。

 

 

Vaish, A., Grossmann, T., & Woodward, A. (2008). Not all emotions are created equal: the negativity bias in social-emotional development. Psychological bulletin, 134(3), 383–403. doi:10.1037/0033-2909.134.3.383

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