「この人を信頼しよう」と思わせる要因とは?

他人を信頼することで、私たちは相手から傷つけられたり害を与えられたり、あるいは失望させられたりする危険性に自分自身を晒すことになります。しかし、相手から助けてもらったりそばにいてもらったりできる関係に発展する場合もあるのです。信頼という思い切った行為を行うにあたり、主にどんなことが障害あるいはモチベーションとなっているのでしょうか?
「この人を信頼しよう」と思わせる要因とは?
Elena Sanz

によって書かれ、確認されています。 心理学者 Elena Sanz.

最後の更新: 21 12月, 2022

他人を信頼するのが苦手だと感じている人がいかに多いかということから、信頼という行為はリスクを伴うものであることが容易に理解できるでしょう。信頼とはつまり、コンフォートゾーンの安全性を放棄して他人から裏切られたり傷つけられたりする危険を冒すことを意味するのです。では、他人を信頼しようと思える要因はどこにあるのでしょうか?何がこの思い切った行為をさせる原動力となっているのでしょう?

これに関しては個人差がかなりあります。すぐに誰かを信頼できる人もいれば、反対に同じ度合いの信頼を他人に与えるのにテスト期間のようなものを設けねばならない人もいます。

いつも他人に多くを期待し過ぎるような人々がいる一方、他方では、人から裏切られることを当然のことのように考えている人々もいるのです。これはただその人のパーソナリティだけに左右される問題なのでしょうか?

私たちに「他人を信頼しよう」と思わせる要因とは?

「この人を信頼しよう」 思わせる 要因

人間の本質

人間は社交的な生き物であり、私たちは対人的なやり取りを必要としています。他者と有意義な関係性を築くことは私たちの健康にとって有益ですし、帰属意識というのは人間の基本的欲求の一つです。それだけでなく、社会化というプロセスにはやりがいがあり、自尊心やウェルビーイングに好影響を与えてくれます。

したがって、他人と絆を形成し、人が自分に近づくことを許すという過程において信頼は無くてはならない要素なのです。最低限の信頼の気持ちがないと、どんな関係性だとしても維持することは不可能です。このように、私たちの社会的本質は他人を信頼するよう人を動機付ける要因の一つであると言えます。

学習

さらに、互いに信頼し合う能力は大部分において学習によって獲得されるものです。 これは生まれてから最初の数ヶ月間における経験によって条件づけられる他、その期間に周囲の人から他人との関わり方をどう教えられたかによっても決まってきます。この基盤となるのは、自分と人との間の関係性です。つまり、最初に経験した愛着の質が重要になってくるということです。

これらの愛着が適切で調和がとれ、一貫した形で子どもの欲求を満たすことができれば、現実世界一般への信頼の基礎がその子の内側で作り出されます。反対に、子どもが受け取る関心やケアが気まぐれで無定見なものであった場合その子は他人を信頼しづらくなる可能性が高まるのです。

その結果、その後の人生における全ての経験がこれらの初期の印象を再確認あるいは形成するための一因となります。自らの関わる全ての重要な人間関係での経験が、信頼能力を向上させるか傷つけるかのどちらかの働きをするのです。

時間

他人に抱く信頼に最も大きく影響を与える要因の一つが時間であることは間違いありません。出会ったばかりの人を心の底から信頼することはできませんよね。まだ相手の価値観や思考態度をよく知らないのですから。

しかし時間とともにその人物がどんな人なのか、そして様々な状況の中でどのように行動し、反応するのかを確認することができます。そしてこれに基づいて相手に対する信頼の度合いが増加あるいは減少するのです。

この現象は、いかなる種類の感情的要素も伴わない関係性においても起こります。例として、ご自身が新しい会社で働き始めたばかりのシチュエーションを想像してみてください。この時最も当たり前の状態というのは、同僚や上司たちはまだあなたをあまり信頼していない、という状態でしょう。

しかしあなたが有能さを披露し始め、信頼に値する人物だということを示し始めれば、徐々にあなたにはより責任ある立場や仕事が割り当てられるようになるはずです。

ご自身の人間関係を分析していただければ、あなたが特に信頼している人々というのは付き合ってきた期間もそれ以外の人より長かった人々だという事実に気づくことができるでしょう。年月とともにその人の行動や態度の一貫性が示され、これが関係性の発展に好影響を与えるのです。

評判

最後に、行動は言葉よりも雄弁であることを思い出しましょう。そのため、人の評判というのはその人物を信頼すべきか否かを判断する際に欠かせないのです。あまりよく知らない人物と一緒にいるときには、相手に対してより開放的になるかあるいは注意深く接するかの決定に、その人の評判(他の人からその人物について聞いた情報)も影響します。

ですが時間が経つにつれ、そういった情報は自分自身で経験して得た情報と比べて重要性が低くなっていきます。信頼とは行動を通じて積み重ねられていくものであり、ある人物が信頼に値するか否かを決定する要因は、その人の行動や思考態度なのです。

「この人を信頼しよう」と思わせる要因とは?

「信頼したい」から「信頼している」へ

まとめると、信頼は両方の側で経験されます。もちろん、ほとんどの人にとって、誰かを信頼するためにはその人物のことを知っていく過程は必要不可欠です。しかし一方で、過去の裏切り行為で受けた傷によって他者と強固で健全な関係性を構築できないという人もたくさんいます。

もしこれに当てはまり、そのことで思い悩んでいるのであれば、専門家に助けを求めてご自身の状況を精査してもらうと良いでしょう。その査定と行動プランによって、他人と親密な関係を築くために必要な、信頼するための、そして信頼されるための方法が見つけやすくなるはずです。そうすれば、人付き合いが今よりグッと楽になること間違いありません。


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  • Luhmann, N. (2005). Confianza (Vol. 23). Anthropos Editorial.
  • Gallardo, R. Y., Figueroa, L. A., & Solar, F. C. (2006). Confianza y desconfianza: dos factores necesarios para el desarrollo de la confianza social. Universitas Psychologica5(1), 9-20.

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